komaの こまごまひとりごと

気が向いたときに更新しています。ただいま「歌の力」カテゴリ工事中。すみません。

愛読書は、がまくんとかえるくん

2014年01月22日 | 子育て甘辛ホンポ(上の子入学~現在)

  絵本作家アーノルド・ローベルの作品に、がまくんとかえるくんを主人公にしたシリーズものがあります。
 「ふたりはともだち」「ふたりはいっしょ」「ふたりはきょうも」「ふたりはいつも」の4冊。
 絵本というより絵がいっぱいの短編集といった感じです。
 

 4年生の冬坊は、これが大のお気に入り。
 ふだんは図鑑とか迷路の本しか読まない彼が、唯一、図書室でしょっちゅうえらんでくる貴重なシリーズ。
 ところが、そんな冬坊にちょっと悲しいできごとが。
 この本が、「1年生限定」になっちゃった。図書室に行ったら、本棚になんと「1年生しか借りられません」の張り紙が!

 「ぼく、借りたいんだよ」と、切なげな顔で訴える冬坊。そういう訴えは、図書の先生にしてくださいよ・・・。


 このシリーズの中の「おてがみ」という短編が、1年生の教科書のラストに採用されてるんですね。で、3学期はみんなそれを読むわけです。
 たぶん、1年生にいっぱい借りてほしいから、ほかの学年禁止令を出したんじゃないかと。
 4月になったら解除されるんじゃないかと想像してるんですが・・・。

 要するに、1年生にぴったりだと思われているこのシリーズが、ほかの学年にもそれだけ貸し出されていたということ。
 作品の人気のほどがわかります。
 私も、教科書ではじめてこれを読んだときは、「いいお話だなあ・・・」と思いました。
 なんか、大人が読んでも、癒される。心がほっこりするんですね。


 「おてがみ」のあらすじは、こうです。
 ガマガエルのがまくんは、お手紙をもらったことがないので悲しい気持ちでいました。
 それをきいたおともだちのかえるくんは、がまくんあてのお手紙をかいて、出してあげました。
 手紙が届くのをふたりで待って、やっと届いたので、喜びあいました。おしまい。


 ・・・シンプル。
 テーマはもちろんふたりの友情や思いやりだと思いますが、たわいないというかなんというか。
 これのどこがそんなにほっこりするのか。子どもだけでなく大人の心まで癒すのか・・・?


 と、前から不思議に思ってたんですが、先日、この話に批判的な文章を読む機会がありまして。
 それによると、
 「お手紙がほしかったら、自分で書いて出さなきゃ。自分から書けば、返事がもらえるんだから。
 自分の力で手紙がもらえるということを、教えてあげるべきなのに、かえるくんが手紙を書いてしまったおかげで、がまくんはそれに気づくことができない。かえるくんがやったことは、がまくんに対するスポイルだ。
 教科書に載せる話なら、どうすれば本人のためになるかという道徳的なしつけも同時に教えるべきではないか」。


 なるほど・・・ごもっとも。たしかにそういう見方もありますね。
 でも、それを読んだときにわかったんです。どうして心がほっこりしたのか。どうして子どもたちが、「おてがみ」を好きなのか。


 かえるくんが、「自分で書かなきゃ」って言わないからです。
 もし、かえるくんが「自分で書いたらお返事もらえるよ」って言ってたら。それが物語として成立するかというと・・・。
 成立しない。道徳の教材ならありかもしれないけど、物語にはならないと思う。
  かえるくんがしたのは、相手にああしなさいとかこうしなさいとか言わずに、自分だけが動くこと。
 相手に何も求めずに、ただ喜ぶことだけを考えること。
 それって、現実の世界ではとても貴重でめずらしい。
 それだけで物語になりえるくらい、めずらしい。


 かえるくんがしたことを、親や先生がしたのなら、たしかに過保護かもしれません。
 将来のことを考えれば、もっと教育してあげたほうがいいのかもしれません。
 でも、かえるくんは、おともだち。友達は、しつけようとか教育しようとか、考えなくていいんです。
 親ではなく友達といたほうが楽しいのは、そういう理由じゃないでしょうか。
 がまくんが怠け者でもわがままでも、かえるくんはがまくんが好き。
 今のままの、きみが好き。
 将来のきみではなくて、今のきみが、お友達。


 よく言いますよね。
 「仲間に入れてほしかったら、自分から話しかけなきゃ」
 「あいさつしたら、あいさつを返してくれるよ」
 「やさしくしてあげたら、意地悪されないよ」
 「勉強がんばったら、いい点とれるよ」
 「仕事をがんばったら、評価があがるよ」
 「ママ友作りたかったら、自分から心を開いて」
 「勇気を出して歩みよらなきゃ、理解なんかしてもらえない」


 わかってる。
 わかってるから、そうするために、日々がんばっている。
 自分からできるようになるために。自分で切り開けるようになるために。
 大人も、子どもも。
 もちろん、小学1年生だって。
 だからこそ・・・。

 「がんばらなくてもきみが好き」といってくれるこのお話は、緊張しているみんなの心を温めることができるんですね。



 1年の頃からこの本を何度も借りてきている冬坊ですが、最近ますます好きになってきたようで。
 お誕生日のプレゼントはこれがいいなんて言い出しました。

 おお、本をねだるなんてすばらしい!
 たとえ1年生向けの本だとしても、喜んで買ってあげますとも。
 でも、癒されるものがほしいなんて・・・もしかして、世間の荒波を感じ始めたお年頃なのかなあ?
 学校生活、大変なの? いや、大変なのは、おうちでの生活か?


 ・・・なんか、大人の読書感想文みたいになってしまいました。

 が、最後にひとこと。
 たしかにこの本、好きなんですが・・・あの~、わたくし、カエルは得手じゃないと申しましょうか・・・。
 イラストもけっこうリアルな色調で・・・のねずみのグリグラみたいだと、とっつきやすいんですけど。

 まあこれは、明らかにかわいく見えるキャラはさけようという、大作家の深遠な意図のせいかと思われます・・・けどね(笑)。

 
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