「飛鳥昔語り」清原なつの(1978.5)
好きなマンガ家は誰ですか?と聞かれたときに、迷わず答えていたのが、清原なつのさん。
「りぼん」の常連さんでしたが、大ファンでした。
萩尾望都さんとか大島弓子さんのことは、手の届かない巨匠って感じでとらえていましたが、なつのさんはも少し身近な雰囲気で。
デビュー当時から知ってるし、作品も読み切り短編ばかりで、読み切り好きの私にはぴったり。
短編なので、舞台とかキャラとかがその都度変わり、楽しみも倍増でした。
「飛鳥昔語り」は歴史上に実在した有馬皇子を主人公にしたお話で、飛鳥時代の髪形や衣装をこれではじめて知りました。
目新しくてかわいくて、当時、真似して描いてたなあ。
実際は悲劇的な皇子さまですが、こちらはSF風味でハッピーエンド。そういう趣向も「りぼん」らしくてよかったです。
もう一冊、「真珠とり」のほうは、はっきりとSFです。主役がちがう3連作。
けっこう甘くない世界で切ないラストなんだけど、なつのさん流のおとぼけタッチというか、あっさりさっぱりな描き方で、深刻でなく読ませちゃう。
難しい説明もないから、アタマのついていかない読者でも大丈夫(笑)。
でも実はすごく深いことを言っているので、時間がたっても妙に記憶に残るんですよね。
SF界でも認知されている証拠に、早川書房から文庫本が出ています。
「りぼん」や「ぶ~け」に描いてたマンガ家さんだと思うと、すごーい! 読む人はちゃんと読んでくれてたんだわー、なんてうれしくなってしまったりして。
なつのさんの単行本はたくさん持っているので、次回にどーんと出しますね。
つづきます