「林檎物語」立原あゆみ(週刊ヤングレディ 1978年)
これはさすがに小学生ではなかった・・・内容的にもね。中学生のときに買った単行本だと思います。
「すーぱーアスパラガス」といっしょに並べてみましたが、カラーのセンスの良さがきわだっていて、ほれぼれ。
繊細な水彩画。ブルーグレーとセピアの濃淡だけで、こんなに描けるなんて・・・。
モノクロもハイセンスです。
こういう作品、残念ながらもはや書店で見る機会もないでしょうから、3枚続けて出しちゃいますね。
上の2枚は、両方とも短編の表紙。長いタイトルが、またおしゃれ。
下のは、表題作の中のひとこまで、海岸で教師(おじさん)が昔の教え子(カラー表紙の少女)を追いかけている場面ですが・・・。
いきなり見開きの大胆な構図、リアルな廃船、スクリーントーンをひっかいた空。
これだけ画力のあるマンガ家さんが、いまの少女マンガ界にいるでしょうか。
青年誌にならいるかもしれないけど・・・。
ストーリーのほうは、どれも「詩情」「抒情」「余情」などの形容がぴったりの小品です。
それでいながら、実はけっこう濃厚に、性についてを取り扱っていまして。
林檎の少女は、風俗店で働いている設定でした。いわゆる「トルコ嬢」。
えーとですね、風俗のことを「トルコ」という名称で呼んでいた時代があったんですよ・・・とんでもない名称ですよねー。いま考えると、ほんとひどいわ。
「すーぱーアスパラガス」のほうは、林檎より数年あとの短編連作。少年がなぞのアスパラを食べたら、女性に性転換しちゃって、オンナノコのカラダやココロにとまどう、なんつー・・・。
これは連載しているうちにエンタメ要素が強くなりすぎて、私の趣味からはずれてしまい、ラストを読んでないんですが。
立原さんは、かわいらしい絵柄できわどいネタを描いている不思議なマンガ家さんでしたが、あるとき突然(でもないのかもしれないけど)男性向け雑誌に場所を変えました。
そして「本気(マジ)!」などというヤクザものをヒットさせ、その後はその路線をばく進。
ど、どーしたの?? 少女マンガの反動か?
あ、立原あゆみさんは男性です。女性じゃないですからねー、念のため・・・。
つづきます