「軽井沢シンドローム」たがみよしひさ(ビッグコミックスピリッツ 1981年1月号~1985年18号)
掲載雑誌が明らかに男性向けで、ストーリーもそのイメージを裏切らず、なんかもう男性の夢を実現してるかのような(笑)。
にもかかわらず。当時いたいけな高校3年生だった私でも、平気で読めたという不思議。
しかもほかの女性読者たちにも、とても人気があったと記憶しています。
かなりアクが強いとは思うので、好き嫌いは分かれるかもしれないんですが、クラスメイトに貸したところ拒否反応を示した子は1人だけでした。
・・・って、こんなのを学校に持っていったんかい、私!?(一応お嬢さん女子校)
はい、中表紙もどうぞ。ちなみに先に挙げた表紙の男性は、まんなかのグリーン頭と同一人物です。右側の人は彼の恋人。
しかしよく見ると、なんてことしてんでしょうね。このブログでこんなの出すのは初めてだわ・・・。
とにかくこんな感じで、八頭身のシリアスな絵と三頭身(左の人なんか二頭身ですらない)のコメディな絵とが、共存している作品です。
シリアスな絵は本当にかっこよく、コメディな絵は本当にかわいい。画力の高いふたつの絵柄が、同じページの中にぎゅうぎゅう詰まっている。
普通ならありえないと思うのに、たがみよしひささんの手にかかるとマジックみたいにオールオッケー。
そしてこの絵柄で展開されるストーリーをご紹介すると・・・。
フリーカメラマンの耕平ちゃんが、軽井沢に帰ってくる。そこには昔から彼に恋する薫さん(真面目で実直なタイプ)がいて、ふたりはすぐに恋人同士に。しかしその後にやってきたノン(かっこいいお姉さんタイプ)も彼に傾き、すぐに愛人関係に。その後やってきたまなみちゃん(しっとりタイプ)も愛人関係に。そのほか行く先々に「耕平ちゃんならいいわ」みたいな美女が何人も。それらをすべて薫さんは黙認。耕平ちゃんの暴走族時代の後輩である二郎は、絵里ちゃん(童顔タイプ)をひっかけるが本命はみるく(いいオンナタイプ)だった。薫の弟の純生くんは最初みるくと、次にまなみとつきあうけど、みるくの本命は二郎、まなみの本命は耕平だったため失恋、でも絵里ちゃんは純生のことが好きになって・・・。
こ、こ、こーんなストーリーが、たがみさんの手にかかるとマジックみたいにオールオッケー・・・。
なんで?? こんなストーリーなのにいいい。
出てくる女性陣が「男性側から見て都合のいい女」でおわらず、ちゃんと個性的に描かれてるんですよね。
少女マンガにも、美男子に囲まれるヒロインの図がよく出てくるけど、違いは異性の描き方でしょう。
それと、ときどきすごく印象的な台詞があって。
「俺はみんなのことを抱きたいけど、抱かれたいのは薫だけ」という、いまだに覚えている耕平ちゃんの名台詞には、なんだかとても納得できました。
ただし、こんな台詞をヘタなマンガ家さんが使おうもんなら、勝手なこと抜かすな~!ってなるのは当然です。
たがみマジックだからできるんです。
そういうわけで。
同じ話を別の人が描いたら絶対にこうはならない、というか、この話はこの人にしか描けない。
そう思わせてくれるマンガの典型的な例として、とても心に残っているのが、この作品です。
たがみさんのほかの作品では「我が名は狼(うるふ)」というのも1巻だけ持っていて、そっちも思い切り女好きな主役でした(笑)。
でも途中から編集部の意向なのかテイストが変わってきたので、読むのをやめちゃって。
軽シンも長期連載だったから、あとのほうはちょっと変わってきちゃったかな。
残念ながら未読ですが、シリアス路線のSF作品もあって評価が高いみたいなので、いまからでも読んでみたいなあ。
つづきます
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