3歳になってようやく「ま」の発音に成功。
その後はじょじょに、口にする音がふえてきた冬坊ですが、ことばというより、気が向いたとき好きな音を呟いている感じでした。
で、なぜかよく「パパ、ママ、テュテュ、ワアワア、ザー」とくりかえしていたので、まずワアワアというのを弟の呼び名にすることに決定。
まだ赤ちゃんだった夏坊。わあわあ泣いていたので、ぴったりです。
どうして呼び名なんかつけたのかというと、当時冬坊のやきもちがパワフルで困っていたので・・・。
名前を呼べれば弟への親しみがわくんじゃないかと思いつきまして。
このアイデアは、けっこう効果ありました。人って何歳であっても、名前を呼ぶこと(そして呼ばれること)で関係性を強められるんですね。
もうひとつ、テュテュのほうは、かわいい音だったのでおばあちゃま(私の母)の呼び名に。
これには後日談があって、なんとハワイではおばあちゃんのことを「tutu」と呼ぶそうなんです。
うれしい偶然に、びっくり!
おばあちゃま本人もすごく気に入り、以来ずーっとこの呼び名のまま。発音は文字にしやすい「チュチュ」に変わりましたけどね。
一方「ザー」というのはしばらく自分自身に使ってましたが、こちらはかわいくないため、早々に変更(笑)。
そして、しゃべらないまま幼稚園に入園しました。
とにかくちっちゃくて幼い外見だったせいか、おしゃべりしなくてもたいした違和感もなく(親の目には)。
先生方にもかわいがってもらえて、ことばの件で困ったことは、とくにありませんでした。困ったのは年少3学期の登園拒否・・・あ、これはややこしくなるので別の機会にでも。
年少さんなんて、おしゃべりできたところで、わけわからない発言が多いですからね。園内で無口でも、あんまり支障がないのかも。
ことばの教室には、幼稚園が早帰りの水曜日に直行していました。
そのころの冬坊は、「自分が発音できるという自信のある音」しか、口に出そうとしなくて。
これには、M先生も不思議がっていました。
幼児ってふつう、ほかの人がさっぱり聞き取れないような音でも、平気でしゃべりまくるらしいんです。
ところが冬坊は、「うまく言える」と思える音しか発音しない。言いかけても、口をとじてしまう。
要するに・・・完璧主義? 3歳なのに完璧主義って、筋金入りですよね・・・。
と、年少さん1学期のこのあたりで、冬坊の「数字マイブーム」が到来します。
とにかく数字が大好き。まあ昔から、絵本を読んであげていても、ページ数のところしか興味ないような子だったんですが。
それがエスカレートして、お散歩してても夢中で指差すのは、住所表示や車のナンバープレートばかり。
家の中ではもちろん、時計やカレンダー。いちいち答えてあげなきゃいけなくて、すごーくめんどくさかったけど・・・。
夏休み。
カレンダーへの愛が高じて、ついに読めるようになりました、大好きな数字が!
最初に発音したのがどの数字だったのかはわからないんですが、最後にできたのは6。
ラ行はやっぱりハイレベルだったようです。
それからは、あっというまにいろいろ言えるようになって。
2学期の始業式、入園以来はじめて先生に「おはよう」とごあいさつ。このころには、いつのまにか2語文もしゃべれるようになっていました。
いつのまにかと書きましたが、このあたりのことを育児ノートにあまり書いていなくて、よくわからないんですよね。
なんでだろうと不思議な気がしますが、たぶん、こまかく書こうと思わないくらい自然な成り行きだったからじゃないでしょうか。
ことばが出てきてあたりまえの、自然な流れ。
子どもにとって、時期がくるってそういうことなのかもしれません。
そのあとの冬坊はといえば、急におしゃべりになるわけでもなく、無口なまま幼稚園を卒園しました(笑)。
小学校にあがったいまも、おしゃべりに関してはほんとに不器用。思ったことを口に出すのは、もっとも苦手な分野です。
でも授業はふつうに受けられるし、お友だちもちゃんといるし、問題になったことはありません。
6歳にもなると乱暴な物言いをする子もいるようですが、そんな中で冬坊のポジションは「きついことを言わない子」。
個性を認めてもらえるって、うれしいですよね。
ところで・・・育児エッセイ編の前のほうに、子どもの笑えるおしゃべりを書き並べた章があるんですが。
そのとき、いちばん最初にご紹介した会話を、今回育児ノートを読み直していて久々にみつけたんです。
それが書いてあったのは、始業式の「おはよう」を記した文の、すぐ真下でした。
びっくりしました・・・そして、なんだか胸が熱くなってしまいました。
会話自体は覚えていたけど、前後のことは忘れていたので。
これ、ごあいさつができるようになったばかりのころの会話だったんだ。
けっこう長い道のりのあとに、たどりついたことばだったんだなあ・・・。
そういうわけで、それを再録させていただいて、この章の締めくくりにしたいと思います。
☆ ようやくセンテンスを喋り始めた冬坊とおふろに入っている時に、
なにげなーく訊いてみた。
「今日、幼稚園で何したの?」
「おならしたの」 (3歳7カ月)
たどりついた世界は、お笑いだった。
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