ピンクの肉球

 みゆちゃんは、肉球を触られるのが嫌いである。眠っているときに、丸まった胴体の下からピンク色の肉球のついた足がはみでているのがあまりに可愛いので、ついつい撫でたくなってしまうのだが、ちょっと触るとすぐ足を引っ込めて、身体の下に隠してしまう。
 それに対して、やっぱり大雑把なふくちゃんは、全然気にしない。だらりと身体を伸ばして寝ているから、肉球をぷにぷに押してみたり、握手してみたりするのだけれど、知らん顔して眠り続けている。
 みゆちゃんの肉球は、ピンクの地に、身体と同じように茶色や黒のぶちがついている。ふくちゃんのは、淡いピンク一色である。もちろん、みゆちゃんのまだら模様の肉球も愛しているが、客観的にはふくちゃんのピンクの方が可愛いだろうと思う。もっとも、ふくちゃんはそこらじゅうをうろうろするから、ふくちゃんの肉球は、ときどき黒ずんだピンク色になっている。
 猫トンネルの中に入ったふくちゃんと猫じゃらしで遊んでいたら、トンネルの側面にあるのぞき窓から、白い前足が一本、にゅっと出てきた。ピンク色の柔らかい肉球が可愛いので、こちょこちょとなでたら、トンネルの中から、ごろごろいう音が聞こえだした。
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