ふくちゃんの兄弟

 ふくちゃんは、公園に捨てられた母猫と4匹の子猫のうちの一匹をもらってきたのである。ふくちゃんのほかに、黒と茶白ともう一匹黒白の子猫がいたが、黒と茶白ははやいうちにもらわれて、結局三毛の母猫と黒白の子猫が公園に残った。
 この母娘もとても人懐こくて遊び好きで可愛らしくて、貰い手はつかなかったけれど、猫ボランティアの人が小屋を作り、毎日の食事の世話をして、公園へ来る人たちの人気者になった。ふくちゃんよりも体の白い部分の面積が大きい黒白の子猫は、ゴマちゃんという名前がついた。その頃、私の父も毎日のように散歩がてら公園へ行ってゴマちゃんと遊んでは、ゴマちゃんは可愛いなあとしょっちゅう言っていた。
 それからしばらくして、今年の秋の、まだそれほど木々の葉が色づかないころだったと思うけれど、近ごろもゴマちゃんに会いに行っているのかと父に聞いてみたら、ゴマちゃんは交通事故で死んだらしいということだった。
 三毛の母猫のほうは、誰か貰い手がついたという話であった。
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