旅先の猫①

 このあいだの土日に、三重県の鈴鹿方面へ行ってきた。土曜日は鈴鹿サーキットで遊んで、湯の山温泉で一泊し、次の日曜日の朝、御在所岳にロープウェイで登ってから、甲賀の忍術村へ寄って帰ってきた。
 旅先で出会った猫たちを、並べて書いてみる。

 鈴鹿サーキットの遊園地「モートピア」にいた猫。人通りの多いメインストリートから外れた、裏の小径を歩いたとき、曲がりくねった道のカーブの向こうを黒猫が横切った。道の両側には大きく伸びたつつじの木が並んでいて、その赤い花の下に黒猫は潜り込んだ。小柄な黒猫で、まだ子猫のぎこちなさがうしろ姿に残っていた。
 ぐるりと曲がった下り道を降りて見上げると、芝生の斜面のつつじの木の下に、その黒猫がちょこんと座ってこっちを見ていた。たくさんの人が訪れる遊園地の中なので、食べ物には不自由しないだろうと思う。あるいは、その小径はレストランの建物の裏を通っていたから、誰かご飯をあげている人がいるのかもしれない。

 夕方、鈴鹿から、宿泊するホテルのある御在所岳の麓の湯の山温泉まで移動した。道路わきにぽつぽつと立った、田舎らしい民家の砂利を敷いた庭に猫がいた。家の人も庭に出て立ち話をしているその横で寝そべっているのが一匹、車の下で猫座りしているのが一匹、さらに奥の玄関前の敷石の上で丸くなっているのが一匹いた。
 道は少し混んでいて、車はスピードが出なかったから、その家の横をゆっくり通った。だいぶ日は傾いていて、その人たちや猫たちを、夕日が側面から橙色に照らしていた。
コメント ( 4 ) | Trackback ( 0 )