文祥堂の猫

 京都の寺町通から、姉小路通を東へ少し入ったところに、文祥堂書店という小さな本屋さんがあります。私がはじめてこの本屋さんを知ったのは、同じ筋にある木版画の本荘先生のアトリエに行った帰りでした。たまたま前を通ったところ、店先に、新刊ばかりでなく古いもの新しいもの沢山の猫本が集めて並べてあったのが目に付いたのでした。しかも、平凡社の「作家の猫」や「猫の絵画館」、「招き猫亭コレクション猫まみれ」など、私の好みのものばかりの品揃えだったように記憶しています。
 そのときは、ちょっと自転車を止めただけで店には入りませんでしたが、後日、また近くへ行った折、お店に立ち寄って、雑誌「ねこ」を買いました。「ねこ」のその号は京都の猫特集で、ちょうどその文祥堂から2、3軒隣にある「茶房白い花」という喫茶店の看板猫ギンちゃんが表紙を飾っていました。
 そのとき文祥堂のご主人とお話したのですが、やはり、奥さんとご夫婦そろって相当な猫好きであるご様子。店の奥に掛かっているのれんも猫の絵を染めたものでした。
 その文祥堂さんが、先日猫の絵のブックカバーを送ってくれました(上の画像)。本屋さんで文庫本や新書を買ったときに掛けてくれる紙のブックカバーです。文祥堂オリジナルのその猫のブックカバーは、なんと長新太さんのデザイン。当時お店にいた猫をモデルに描かれたそうです。30年も前に作られたこの猫のブックカバーが、2003年、全国のブックカバー収集家で作る「書皮友好協会」が毎年選んでいるブックカバー大賞に見事選ばれたそうです。(このあたりのことは、今年1月17日付けの京都新聞に掲載されました。)
 最近では、本といえばamazonで買ったり、電子書籍を購入したりすることがほとんどなのですが、ずいぶん昔に、本屋さんで本を買い、その書店のロゴの入ったブックカバーを掛けてもらったことを、懐かしく思い出しました。
 今度文祥堂さんへ行って、長新太さんの猫をまとった本を買いたいと思います。


↓実際本につけてみると


↓裏表紙のうしろ姿も可愛いね。
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