あなたを見つめて。。 monochrome life

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消えゆく街たち 大阪 Rolleiflex 2.8F Planar 80mm f2.8〈film〉

2007年08月07日 20時40分29秒 | 消えゆく街 Rolleiflex 2.8 Planar
もう、この光景を誰も見ることはできません
この地区は再開発によってすべて取り壊されて、いまはフェンスが張られた赤土の更地になっています
数年後にはすべてが高層マンション群に変わろうとしています
建物も木々もツタや雑草もすべて消えてしまいました
むしろ都会の真ん中にこんな光景が残っていることのほうが可笑しいのだけれど…
取り壊されるまえフェンスの間からかろうじて撮影した建物たちは植物に侵食されているというより植物と一体化した美しい 「物」 のように感じました。。。
この地名の阿倍野はこの地で生まれて平安時代に陰陽師(呪法師)として活躍した安倍晴明が祭られている阿倍晴明神社から由来しています
安倍晴明の母は葛の葉(くずのは)という 「白狐」 だったと伝えられています
幼い晴明に隠した自分の姿を見られ、おびえて泣くのを辛く思った葛の葉は泣く泣くわが子と別れる決心をします
葛の葉が幼い晴明を残して家を出るとき縁側の障子に 『 恋しくば尋ね(たずね)きてみよ和泉なる信田の森のうらみ葛の葉 』 の一首を書き残しました
「うらみ葛の葉」 とは3枚のうち下の2枚が裏を向いて白くなっている葛の葉を言い和歌では恨みと裏見を掛言葉として使われるそうです。
我が子に物の怪の姿を見られた己への恨みと葛の葉の裏のように白い狐をかけているのです
「あなたが慕う母は醜い白狐です。それでもあなたが大きくなって母を恋しいと思うならどうか信田の森にわたしを探しにきてください」
という母親の愛情あふれる句なのです
そんな言い伝えすら思い浮かべることのできない街になってゆきます。。。
コメント (2)
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