ペンタコン 6 Carl Zeiss Jena Biometar 80mm F2.8開放 1/60~1/8 一脚使用 GT-X970
T-MAX400(1.5増感) XTOL 1:1 20℃ 9.20min 1分おき5秒1回倒立 初期攪拌/前浴なし
タイトルをどうしようかと悩んでいた。
僕が写真を撮るスタイルはいつもならタイトルを考えてから、そのイメージを頭に置いてひたすら歩いて目に入ったものを写している。
所詮は下手な素人なので満足にイメージとおりの映像なんて出来ないのは分かりきっているが、せめてもの自己満足だ(笑)
この休日はもうすっかり陽も落ちてイメージも沸かないまま近くの川原に出かけたが、いちおう一脚を持って出たのは正解だった。
トップの掘っ立て小屋を見たときはシャッターを押す前に頭のなかで写真が出来たくらい気持ちが高ぶった。
川ひとつ隔てた向こう側は都市のイルミネーションが輝いてまるで別世界だ。
こちら側の蔦に覆われ板切れを打ち付けただけの小屋からは明かりも漏れないほど周りのグレー一色に溶けていた。
ただこの小屋の主が植えたのか、白い菊だけが妙に華やいで見えた。
小屋の周りにも次の浅い春に咲くだろう小さな木々が蕾をつけていた。
この川原で冬を越すのは辛いものがあるだろう。
そんなモニターに写った写真を見ながら、ある人の事を考えていた。
その人はいま病気と向きあっている。
立ち向かっているのでなく、飲み込まれているのでもなく、ときに挫けそうになりながらも頑張っている。
その姿を見ると春に咲く冬の蕾のように体を縮めながらもじっと息を潜めて耐えているようにも思う。
僕にはなにも出来ないがいつも心のなかでエールを送りつづけている。