人生百年時代、ヂヂババ奮起せよ?
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」364/通算795 2025/令和7年2/8 土曜】 産経2025/2/5 浅野和生・平成国際大学副学長の「正論 成長する米国と老け込む日本」は面白かった。 「明日を信じている明るい人」のようで、なんとなく仏教やキリスト教の先生の「暗いと不平を言うよりも進んで明かりを点けましょう。明日を信じなさい」と説教を聞いている感じ。「日本は危機意識が薄すぎ!」とガックリしている小生の痛んだ心が癒される感じだった。以下転載する。
<第2期トランプ政権スタートの号砲となった大統領就任演説は、トランプ氏らしさと米国らしさに満ちていた。埋蔵地下資源を掘り出して、世界で最も安いエネルギーの大量供給国となり、製造業で世界に冠たる地位を取り戻し、世界一繁栄した強い国になる、というメッセージは、世界に脅威と驚異をもたらした。
◎:トランプ大統領の就任演説▶ さてトランプ氏が「米国を再び偉大に(Make America Great Again!)」というとき、「偉大な米国」の中身は何なのか。演説の結論部分でトランプ氏は「市民への最大のメッセージ」として、勇気と活力、そして偉大な文明の歴史を実現してきた生命力をもって行動する国になると語った。そしてもう一度、米国は「成長する国(growing nation)」になると宣言した。
「成長する国」とは何か。それは「停滞した国」や「衰退する国」ではなく、「現状維持の国」や「老成した国」でもないだろう。冷戦終結後、米国による平和に慣れるうちに、いつしか若さを失い、すっかり老け込んでしまった米国が現状の殻を打ち破り、「新たな成功と勝利の高みを目指す」というのが、トランプ氏が思い描く姿である。
だからトランプ氏は、これからの米国は「もっと豊かになり、領土を拡張し、街を建設し、目標を引き上げ、米国の旗を美しい地平線の彼方にもたらす」と述べた。さらに「明白な宿命(manifest destiny)」を追い求めることを宣言して、その行く先として地球上の領土獲得競争ではなく星の世界への雄飛を、星条旗を火星に打ち立てることを掲げた。
ところで、大統領就任式の直前から、トランプ氏はグリーンランドの領有やパナマ運河の獲得を語り、カナダはアメリカの51番目の州になればよい、と発言した。このため、「領土拡張」発言を字義通りに受け止めて懸念を示すメディアもあった。しかし、「領土拡張」が、地球上の領土でないことは文脈から明らかだ。安全保障上の措置とは別の話なのである。
◎:若さ溢れる米国への回帰▶ 「明白な宿命」は、新大陸にたどり着いた建国の父たち以来、神の加護の下、苦難のなかで西部を開拓し、太平洋岸へ到達し、さらに水平線の彼方にまでフロンティアを押し広げようとしてきた歴史的な使命感である。それが結果として、米国の歴史において、正視に堪えない現地人への暴虐や人種差別を伴ったことは事実である。
しかしトランプ氏は、祖国を愛する代わりに恥じ入るようにさせている教育をただちに変えさせると述べ、米国が偉大な成果を世界史に刻んできたことを強調した。そしてこれからの4年間で国民とともに地球上で最も偉大で、力強く、最も尊敬され、畏怖される国にしようと語った。
就任時に78歳7カ月のトランプ氏は、4年前のバイデン氏を5カ月上回り史上最高齢での大統領就任となったが、その意識においては若い。トランプ氏にとって「明白な宿命」を追い求めたかつての米国こそ、偉大な米国の姿なのであり、若さ溢れる米国への回帰を求めているのである。多くの人がトランプ氏は何を言い出すか、何をやりだすかわからないと懸念しているが、それこそが若者の特徴、若さの特権ではないか。
◎:伝統に新たな日本像を▶ 翻って日本はどうか。1月24日、石破茂首相は施政方針演説で、少子高齢化でさらなる人口減少が続く日本は「人材希少社会」になるとして「人財尊重社会」を目指すと語った。日本の政治家は、少子高齢化という人口動態の統計数字に洗脳されて、日本そのものが老境に入った心持ちになっているのではないか。しかし国家は自然人と同じではない。高齢者が総人口に占める比率が高くなったからといって、国家そのものが老境に入る必然性はない。
米国は間もなく建国250年を迎えるが、トランプ氏は再びかつての若さを取り戻せると考えている。では2000年の歴史を持つ日本にはそれは無理なのか。そうではあるまい。日本の歴史は確かに米国の8倍だが、日本のさらに2倍の歴史を刻む中国は、今まさに「中華民族の夢」を追い求めているではないか。日本は、さらに2000年の歴史を刻めるはずなのである。
老け込むのはまだ早い。日本は、人口統計上の少子高齢化の現実を吞み込んで消化し、高齢者が社会の刷新を主導するとともに、若い世代に活躍の場を用意する、世界初の国家像を提示するチャンスを迎えている。そして、米国に「明白な宿命」があるように、日本には聖徳太子の十七条憲法がある。高齢者の比率が高い社会だからこそ、「和をもって貴しとなす」に加えて、礼儀正しさや仕事の丁寧さという、日本の伝統の価値を新たな日本像に溶け込ませることもできるはずである。
「人生百年時代」を迎えた日本は、長寿が幸せを倍加させる不老長命の国家モデルを創り出してはどうか。(あさの かずお)>以上
・・・・・・・・・・・・
宗教家のように随分楽天的と言うか明るいが・・・浅野和生氏とは何者か。調べたら2024/12/25上梓の「日台関係研究会叢書11 中台関係の展開と『一つの中国』(展転社) の著者の一人として浅野和生氏の名があった。このシリーズは、無血革命で台湾に自由民主人権法治をもたらした李登輝先生などの足跡、思想を紹介しているようで、浅野氏は初期の「中華民国の台湾化と中国: 台湾は中国なのか? 」(2014/12/1、日台関係研究会叢書 1) から関わっている。氏は「李登輝先生の遺志を継ぐ」リーダーの一人で、WIKIにはこうあった。
<浅野和生は、日本の政治学者(英国政治史、日台関係論)。平成国際大学教授。「日本李登輝の会」副会長。1982年、慶應義塾大学経済学部卒業。1988年、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。法学博士。1991年7月 慶應義塾大学 法学博士 「大正デモクラシ-と陸軍」。2005年10月に、東京財団主催の研究発表会で、日本版「台湾関係法」の私案として「日台関係基本法」を発表している>以上
「人生百年時代、ヂヂババ奮起せよ!」・・・コルセットで腰痛をどうにか抑えている小生は我が家の営繕作業だけでもヒーヒーハーハー、これ以上奮起したら病院かアノヨ行きだが、まあお迎えが来るまで無理せずにボチボチやっていこう。ボチボチじゃダメ?
・・・・・・・・・
*読者諸兄の皆さま、御意見を! https://note.com/gifted_hawk281/ または ishiifam@minos.ocn.ne.jp までお願いいたします。小生の記事は以下でもお読みいただけます。
渡部亮次郎 「頂門の一針」<ryochan@polka.plala.or.jp>
必殺クロスカウンター ttps://www.mag2.com/m/0001690154.html
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
ishiifam//1951@outlook.jp
・・・・・・・・・・・・
“シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」364/通算795 2025/令和7年2/8 土曜】 産経2025/2/5 浅野和生・平成国際大学副学長の「正論 成長する米国と老け込む日本」は面白かった。 「明日を信じている明るい人」のようで、なんとなく仏教やキリスト教の先生の「暗いと不平を言うよりも進んで明かりを点けましょう。明日を信じなさい」と説教を聞いている感じ。「日本は危機意識が薄すぎ!」とガックリしている小生の痛んだ心が癒される感じだった。以下転載する。
<第2期トランプ政権スタートの号砲となった大統領就任演説は、トランプ氏らしさと米国らしさに満ちていた。埋蔵地下資源を掘り出して、世界で最も安いエネルギーの大量供給国となり、製造業で世界に冠たる地位を取り戻し、世界一繁栄した強い国になる、というメッセージは、世界に脅威と驚異をもたらした。
◎:トランプ大統領の就任演説▶ さてトランプ氏が「米国を再び偉大に(Make America Great Again!)」というとき、「偉大な米国」の中身は何なのか。演説の結論部分でトランプ氏は「市民への最大のメッセージ」として、勇気と活力、そして偉大な文明の歴史を実現してきた生命力をもって行動する国になると語った。そしてもう一度、米国は「成長する国(growing nation)」になると宣言した。
「成長する国」とは何か。それは「停滞した国」や「衰退する国」ではなく、「現状維持の国」や「老成した国」でもないだろう。冷戦終結後、米国による平和に慣れるうちに、いつしか若さを失い、すっかり老け込んでしまった米国が現状の殻を打ち破り、「新たな成功と勝利の高みを目指す」というのが、トランプ氏が思い描く姿である。
だからトランプ氏は、これからの米国は「もっと豊かになり、領土を拡張し、街を建設し、目標を引き上げ、米国の旗を美しい地平線の彼方にもたらす」と述べた。さらに「明白な宿命(manifest destiny)」を追い求めることを宣言して、その行く先として地球上の領土獲得競争ではなく星の世界への雄飛を、星条旗を火星に打ち立てることを掲げた。
ところで、大統領就任式の直前から、トランプ氏はグリーンランドの領有やパナマ運河の獲得を語り、カナダはアメリカの51番目の州になればよい、と発言した。このため、「領土拡張」発言を字義通りに受け止めて懸念を示すメディアもあった。しかし、「領土拡張」が、地球上の領土でないことは文脈から明らかだ。安全保障上の措置とは別の話なのである。
◎:若さ溢れる米国への回帰▶ 「明白な宿命」は、新大陸にたどり着いた建国の父たち以来、神の加護の下、苦難のなかで西部を開拓し、太平洋岸へ到達し、さらに水平線の彼方にまでフロンティアを押し広げようとしてきた歴史的な使命感である。それが結果として、米国の歴史において、正視に堪えない現地人への暴虐や人種差別を伴ったことは事実である。
しかしトランプ氏は、祖国を愛する代わりに恥じ入るようにさせている教育をただちに変えさせると述べ、米国が偉大な成果を世界史に刻んできたことを強調した。そしてこれからの4年間で国民とともに地球上で最も偉大で、力強く、最も尊敬され、畏怖される国にしようと語った。
就任時に78歳7カ月のトランプ氏は、4年前のバイデン氏を5カ月上回り史上最高齢での大統領就任となったが、その意識においては若い。トランプ氏にとって「明白な宿命」を追い求めたかつての米国こそ、偉大な米国の姿なのであり、若さ溢れる米国への回帰を求めているのである。多くの人がトランプ氏は何を言い出すか、何をやりだすかわからないと懸念しているが、それこそが若者の特徴、若さの特権ではないか。
◎:伝統に新たな日本像を▶ 翻って日本はどうか。1月24日、石破茂首相は施政方針演説で、少子高齢化でさらなる人口減少が続く日本は「人材希少社会」になるとして「人財尊重社会」を目指すと語った。日本の政治家は、少子高齢化という人口動態の統計数字に洗脳されて、日本そのものが老境に入った心持ちになっているのではないか。しかし国家は自然人と同じではない。高齢者が総人口に占める比率が高くなったからといって、国家そのものが老境に入る必然性はない。
米国は間もなく建国250年を迎えるが、トランプ氏は再びかつての若さを取り戻せると考えている。では2000年の歴史を持つ日本にはそれは無理なのか。そうではあるまい。日本の歴史は確かに米国の8倍だが、日本のさらに2倍の歴史を刻む中国は、今まさに「中華民族の夢」を追い求めているではないか。日本は、さらに2000年の歴史を刻めるはずなのである。
老け込むのはまだ早い。日本は、人口統計上の少子高齢化の現実を吞み込んで消化し、高齢者が社会の刷新を主導するとともに、若い世代に活躍の場を用意する、世界初の国家像を提示するチャンスを迎えている。そして、米国に「明白な宿命」があるように、日本には聖徳太子の十七条憲法がある。高齢者の比率が高い社会だからこそ、「和をもって貴しとなす」に加えて、礼儀正しさや仕事の丁寧さという、日本の伝統の価値を新たな日本像に溶け込ませることもできるはずである。
「人生百年時代」を迎えた日本は、長寿が幸せを倍加させる不老長命の国家モデルを創り出してはどうか。(あさの かずお)>以上
・・・・・・・・・・・・
宗教家のように随分楽天的と言うか明るいが・・・浅野和生氏とは何者か。調べたら2024/12/25上梓の「日台関係研究会叢書11 中台関係の展開と『一つの中国』(展転社) の著者の一人として浅野和生氏の名があった。このシリーズは、無血革命で台湾に自由民主人権法治をもたらした李登輝先生などの足跡、思想を紹介しているようで、浅野氏は初期の「中華民国の台湾化と中国: 台湾は中国なのか? 」(2014/12/1、日台関係研究会叢書 1) から関わっている。氏は「李登輝先生の遺志を継ぐ」リーダーの一人で、WIKIにはこうあった。
<浅野和生は、日本の政治学者(英国政治史、日台関係論)。平成国際大学教授。「日本李登輝の会」副会長。1982年、慶應義塾大学経済学部卒業。1988年、慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。法学博士。1991年7月 慶應義塾大学 法学博士 「大正デモクラシ-と陸軍」。2005年10月に、東京財団主催の研究発表会で、日本版「台湾関係法」の私案として「日台関係基本法」を発表している>以上
「人生百年時代、ヂヂババ奮起せよ!」・・・コルセットで腰痛をどうにか抑えている小生は我が家の営繕作業だけでもヒーヒーハーハー、これ以上奮起したら病院かアノヨ行きだが、まあお迎えが来るまで無理せずにボチボチやっていこう。ボチボチじゃダメ?
・・・・・・・・・
*読者諸兄の皆さま、御意見を! https://note.com/gifted_hawk281/ または ishiifam@minos.ocn.ne.jp までお願いいたします。小生の記事は以下でもお読みいただけます。
渡部亮次郎 「頂門の一針」<ryochan@polka.plala.or.jp>
必殺クロスカウンター ttps://www.mag2.com/m/0001690154.html
https://blog.goo.ne.jp/annegoftotopapa4646
ishiifam//1951@outlook.jp
・・・・・・・・・・・・