杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ロスト・シティZ 失われた黄金都市

2018年04月16日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年1月27日公開 アメリカ 141分

20世紀初頭のイギリス。アマゾン奥地にあるという黄金の古代都市エル・ドラードの存在を信じる探検家パーシー・フォーセット(チャーリー・ハナム)は、ジャングルの猛威やピラニア、人食いナマズ、原住民からの攻撃など命を脅かす危機を潜り抜け、何度も命の危機にさらされながらも、資金とクルーを集めては何度もアマゾンの秘境に踏み込んでいった。はじめのうちは協力的だった家族や仲間たちも、次第にフォーセットに愛想を尽かすようになっていく。家族を犠牲にしてまでアマゾンに夢を追い求めたフォーセットがそこで見たものとは……。

 

インディ・ジョーンズのモデルとなった探検家パーシー・フォーセットの冒険を書いたデビッド・グランのノンフィクション小説『ロスト・シティZ 探検史上、最大の謎を追え!』の映画化で、ブラッド・ピット率いるPLAN Bがプロデュースしています。

もっとワクワクドキドキの探検が繰り広げられるのかと思って選んだのですが、ちょっと期待外れでした。

パーシーは軍人ですが、父親の素行が出世の邪魔になっています。勲章を挙げるために、王立地理学会からのアマゾン上流のブラジルとボリビアの国境線を測量するという危険な任務を受け入れ、妻子を残し現地に赴くんですね。出世は家族のためと言いますが、実は自らの名誉欲ってところがまず引っ掛かる

やっとたどり着いた川の源流で、先住民の高度な文明の跡(土器)を発見し、彼の探検魂に火が付きます。この時同行したコスティン(ロバート・パティンソン)らとは生涯の友になったようで、彼らの友情に関するエピソードも何度か登場します。任務を果たし上流社会の入り口に辿り着いたけれどまだまだ相手にされず、再び戦地へ配属され九死に一生を得ますが、激戦の最中でも彼の頭にあるのはアマゾンの失われた都市のこと。もうすっかり探検の虜です。

パーシーの、先住民がかつて高度な文明を持っていたという主張は上流階級の社交場のような地理学会において受け入れがたい提言です。白人優位性を唱える彼らにとって、偏見の目しかない先住民の文明を認めることは許しがたい屈辱なんですね。二度目の探検に同行した会員のマレー(アンガス・マクファーデン)は探検家を自任していますが、とんだ軟弱者で、探検隊のお荷物になった挙句に途中離脱します。死んだものと思われていた彼が生還し、自分は置き去りにされたとパーシーを非難する姿は本当に見苦しいものでした。

でもパーシーも妻のニーナ(シエナ・ミラー)が一緒に探検に同行したいという申し出を妻は家を守るものだと言って跳ね付けます。当時の男女関係についても端的に表現されているんですね。戦争中の負傷で探検を諦めていたパーシーを、最初は激しく反発していた長男のジャック(トム・ホランド)が共に行こうと誘った時も、当然のように次男や娘と共に置き去りです。しかもこの最後の探検の際、パーシーは地理学会での理解者にZを見つけたら戻らないかもしれないという発言をしてるんですから 

パーシーが先住民に対する偏見がなかった点は当時の白人としては、大いに評価できます。食人種とも等しく語り合う姿はまさに対等な人間としての接し方です。息子と行った最後の探検で消息を絶ったのですが、この時、食人種に捕まった二人の生死については想像の余地を残す終わり方です。ただ、前述の理解者へ託したコンパスの存在で、彼らがZに辿り着いたという推測ができるようになっていました。

男のロマンとして観る分には夢のある話なのかもしれませんが妻の立場ではちょっとね


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