杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

LBJ ケネディの意志を継いだ男

2019年05月04日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2018年10月6日公開 アメリカ 97分

リンドン・B・ジョンソン(ウディ・ハレルソン)は民主党の院内総務として精力的に活動していたが、1960年の大統領予備選挙で、党の大統領候補としてジョン・F・ケネディ(ジェフリー・ドノヴァン)が選出され、ケネディは米大統領に当選を果たす。43歳の若きライバル、ケネディの副大統領となることに同意し、その職に就いたジョンソンだったが、副大統領の執務が国政の蚊帳の外に置かれていることに気付いてしまう。しかし1963年11月22日、ダラスで暗殺されたケネディ大統領に代わり、ジョンソンは大統領に昇格。ケネディの遺志を尊重し、公民権法を支持するジョンソンは長い間敵対していたロバート・F・ケネディ司法長官(マイケル・スタール=デヴィッド)や、師弟関係にあったリチャード・ラッセル上院議員(リチャード・ジェンキンス)と争うことになる。映画.com

 

ケネディ暗殺後、わずか98分で大統領に就任したLBJは、人種差別撤廃を目指して公民権法、投票権法を成立させた辣腕の大統領として評価される一方、退任前はベトナム戦争を継続させた事で抗議にさらされています。本作は彼の埋もれた功績にスポットを当てた物語になっていました。

北東部のエリート議員であるケネディ(JFK)と、南部の成り上がりジョンソン(LBJ)。二人は大統領予備選から比較されるようになります。華やかで人を惹きつけるカリスマ性を持つ大統領を前に、議員時代には持ち前の政治的手腕で精力的に活動していたジョンソンは、その持ち味を発揮する機会もなく国政の主力から外れていきました。ところがケネディ暗殺により突如第36代アメリカ大統領に就任することになって、ジョンソンに重くプレッシャーがのしかかります。映画はその苦悩する姿や彼の抱える不安とともに、彼がとった驚くべき政治的手腕を描いています。 演じたウディ・ハレルソンは、ジョンソン本人の話し方や仕草を完璧にマスターして臨んだそうです。

ジョンソンを献身的に支えた妻レディ・バード(ジェニファー・ジェイソン・リー)の存在も大きいですね。弱気になった彼を慰め励ますシーンは心温まるものです。本来は実力で勝ち取りたかった大統領の座は、悲劇によって転がり込んできたわけで、正当に選ばれたものではないことが、彼のプレッシャーになったことは疑いもありません。ロバート・ケネディを筆頭に、ハーバード大学出身のエリート閣僚たちの冷ややかな目にさらされ、JFKと比べられることへのジレンマもあったでしょう。そんなジョンソンがまず着手したのは、これまでの立場を変えての公民権法案の可決です。南部出身の彼にとって、この法案を支持することは南部の票を失い議員たちを敵に回すことに繋がるのですが、ケネディの遺志を継ぐと決めたジョンソンは、ケネディのスピーチライターだったセオドア・C・ソレンセンに上院下院合同会議での大統領就任演説のスピーチを依頼します。初めはジョンソンの真意を疑っていたソレンセンですが、彼の本気を認め、このスピーチは盛大な拍手と感動を持って迎えられます。

LBJの功績はベトナム戦争がなければ燦然と輝く偉業として称えられるべきものであり、この失敗は致命的でしたね~~ うん、どんな大義があったとしても、やっぱり戦争はダメだよ


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする