2019年10月4日公開 アメリカ 122分 R15+
アーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)はコメディアンを夢見る心優しい男。母親から「どんな時も笑顔で人々を楽しませなさい」と教わった彼は、大都会で大道芸人として暮らしながら、いつの日か世界中に笑顔を届けようと心に誓う。しかし、周囲から冷たい反応や暴力を受け、しだいに精神を病んでいった彼は、自ら施したピエロメイクの悪“ジョーカー”へ変貌を遂げる。(MovieWalkerより)
「バットマン」の悪役・ジョーカー。道化師のメイクを施し、恐るべき狂気で人々を恐怖に陥れる悪のカリスマが、いかにして誕生したのかを、原作にはないオリジナルストーリーで描いています。
ヒース・レジャーがジョーカーを演じた『ダーク・ナイト』が強烈なインパクトがありましたが、今作では、悪役としての姿より、彼をそのようにした背景・状況の方に焦点が当てられていて、恐さより哀しさを強く感じました。
心優しく繊細なことが仇となって、自分を追い込み精神的に破綻し壊れていく様が何ともやりきれません。
持病としてストレス状態になると笑いが止まらなくなるという症状を抱えていることで、より困難な状況に追い込まれていくアーサーー。彼の母親はトーマス・ウェインの屋敷で働いていたことがあり、何故かアーサーは彼の子供だと思い込んでいます。彼の精神破綻の原因の一因に母親の妄想気質を引き継いでいる?母の言葉を信じたジョーカーでしたが、やがて「真実」に辿り着いた時、彼の中で守るべきものも失うものも何一つなくなったのですね。
人を形作るのは、遺伝子ではなく環境だということに異論はありませんが、なんとも残酷で切ない結末です。