2019年9月27日公開 119分
困っている人は見過ごせない、義理と人情に厚すぎるヤクザ”阿岐本組”。
組長(西田敏行)は社会貢献に目がなく、次から次へと厄介な案件を引き受けてしまう。今度はなんと、経営不振の高校の建て直し。いつも親分に振り回されてばかりの阿岐本組NO.2の日村(西島秀俊)は、学校には嫌な思い出しかなく気が進まなかったが、“親分の言うことは絶対”!子分たちを連れて、仕方なく学園へ。待ち受けていたのは、無気力・無関心のイマドキ高校生と、事なかれ主義の先生たちだったー。それでも義理人情の正義を貫こうとする阿岐本組の情熱に、学園内の空気は徐々に変わっていくが……。
社会奉仕がモットーの地元密着型ヤクザたちの奮闘を描いた今野敏の小説「任侠」シリーズを映画化したコメディです。
阿岐本組は日村の他、柄シャツ大好きツッコミ担当の二之宮(伊藤淳史)、料理上手な武闘派の三橋(池田鉄洋)、一見チャラ男な志村(佐野和真)、IT系頭脳派な市村(前田航基)。若干5名の組員の弱小ヤクザです。それぞれキャラが立っています
兄貴筋の永神(中尾彬)が持ち込むのはこれまでも厄介な案件ばかりなので、彼が事務所に現れたと聞いて動揺する日村にまず笑いが。
親分の命令は絶対なので渋々ながら学園の立て直しに向かった日村たちを迎えたのは、事なかれ主義の校長(生瀬勝久)に、学園一の問題児(葵わかな)や彼女の追っかけカメラ小僧(葉山奨之)、ワケあり優等生の小日向(桜井日奈子)の面々。先が思いやられます。
生徒会のメンバーが校舎のガラスを割って鬱憤晴らしをしていたり、問題児のレッテルに苦しんでいたりの生徒たちへ熱血指導というか、真摯に向き合い彼等の心を開いていく過程も清々しいくらいの学園ものの王道の筋書きですが、それをしているのがヤクザというところが異色
日村自身の高校へのトラウマや、ヤク中だった舎弟の過去とかも出て来ますが、全体として深刻になり過ぎないユーモアあるエピソードが続きます。
後半は、父母会の代表の小日向の父親(光石研)が善人のふりした半カタギ(暴力団・隼勇会のフロント企業)で、数年後から開始される高速道路の用地候補となっている学園に目をつけて土地売却の利益を得るために経営権を狙って引っ掻き回します。
阿岐本組と隼勇会・唐沢(白竜)の組長同士の対決の際に見せる、普段温厚な阿岐本組の親分の凄みに圧倒されます。さすがの西田さんの演技力!締めるところはきっちり締めてきますね 小日向の横領を指摘し、鞘を納めさせるのもスカッとしますが、汚いやり方の父親に食らわせる娘のビンタもパンチがありました。(こんな父親嫌だ~~
)
事態は解決したものの、日村たちの素性が保護者にばれて、阿岐本組は経営から手を引くことになり、生徒たちの信頼と感謝を背に日村たちは学校を去るのです。めでたしめでたし・・・じゃなくて、すぐにまた親分が厄介を引き受けた模様で・・・続編も作れるね
エンドクレジットに高木ブーの名前を見つけどこで登場したっけ?と思ったら高木のオジキ役・・・ん?カメオ出演だったっけ
アウトレイジにどこか雰囲気が似ている弱小の阿岐本組ですが、こちらはコメディ色が強いので暴力シーンが苦手な人も楽しめると思います。