2019年10月4日公開 102分 G
ヒキタクニオ(松重豊)、49歳。職業は人気作家。サウナとビールが大好きで、ジム通いのおかげでいたって健康体。一回り以上年が離れた妻・サチ(北川景子)と仲良く暮らしている。年の差婚のふたりは、子どもは作らず、気ままに楽しい夫婦生活を送るつもりでいたが、ある日の妻の突然の一言ですべてが変わった。「ヒキタさんの子どもに会いたい」
サチの熱意に引っ張られる形で、妊活へ足を踏み出すことになったヒキタ。だが、彼は知らなかった。まだまだ若くて健康だと自負していたが、相反して、彼の精子が老化現象を起こしていたことを……。(公式HPより)
歳の差夫婦に子供が出来て巻き起こるドタバタを想像していたら全く違っていました。
作家のヒキタクニオが自身の体験をもとにつづった同名エッセイを映画化したもので、男性不妊に直面しながらも明るく前向きに乗り越えようとするヒキタ夫妻の姿をユーモラスかつ叙情的に描いた作品です。
サチの言葉をきっかけに妊活を始めたものの、一年経っても結果が出ないため、クリニックで検査したら、原因はクニオの側にあることがわかります。ショックを受けながらも、事実を受け止め、改善に向けて取り組むヒキタさんの涙ぐましい努力が可愛くもあり切なくもあり・・・。
編集者の杉浦(濱田岳)のところのように、望まなくてもポンポン出来ちゃう夫婦もいれば、ヒキタさんたちのように欲しくても出来ない夫婦もいて、世の中って不公平よね
サチの父親(伊東四朗)は妊活なんて対面が悪いと大反対します。元々、娘が年の離れた男に嫁ぐことさえ反対していたので、尚更反発があるのでしょう。でも彼等の真剣な思いを知り、費用援助を申し出る(その不愛想なやり方が逆に微笑ましいのですが)あたりは、やっぱり良いお父さんでした
クリニックの医師(山中崇)が、淡々と説明する妊活の流れを聞いていると、男性より女性の側により負担がかかることがわかります。それにあたりサチの心情があまり伝わってこないのが物足りなくもありますが、男性の視点で描かれているから仕方ないのかな。流産した時のエピソードと無理解な父親の言動に感情を露わにしたシーンが唯一女性目線でした。
自分の出来ることがあまりにも少ないことに苛立ち、医師に縋るヒキタさんのシーンは鬼気迫るものがありました。男だって辛いんだなぁって伝わってきました。
二度目の成功で、やっと出産の目途が付いたところで物語は終わります。この夫婦はそれでも妊活期間は短い方なのかも。
結婚して子供が生まれるのは当たり前という感覚を考え直させるお話でした。