2019年7月19日公開 114分
離島から家出し、東京にやって来た高校生の帆高(声:醍醐虎汰朗)。生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく手に入れたのは、怪しげなオカルト雑誌のライターの仕事だった。そんな彼の今後を示唆するかのように、連日雨が振り続ける。ある日、帆高は都会の片隅で陽菜(森七菜)という少女に出会う。ある事情から小学生の弟と2人きりで暮らす彼女には、「祈る」ことで空を晴れにできる不思議な能力があり……。(映画.comより)
「君の名は。」の新海誠監督が、天候の調和が狂っていく時代に、運命に翻弄されながらも自らの生き方を選択しようとする少年少女の姿を描いた長編アニメーションです。「RADWIMPS」が音楽を担当しています。
前作「君の名は」の立花 瀧(神木隆之介)は、冨美の孫として登場して帆高に陽菜へ誕生日プレゼントを贈るようにアドバイスしています。また宮水 三葉(上白石萌音)はジュエリーショップの店員役で出てきます。
陽菜は「天気の巫女」の能力を授かったのですが、人の力の及ばない“天”と“人”を結び天気を治療するといえば聞こえは良いけれど、要は人柱として自らの命と引き換えに晴れをもたらすことだったという。 能力を使うたび身体が透けて、ある日陽菜は消えてしまいます。
彼女がそんな能力を手にしたのは、廃ビルの屋上にあった鳥居を病気で入院中の母親に青空を見せたいという強い願いを持ってくぐったため。彼女が雲の上でみる世界は「彼岸」なんですね
帆高が歌舞伎町のゴミ箱から拾った銃を撃つシーンが二度登場しますが、彼にとって「銃」は社会や大人に対する「怒り」の象徴なのね。一度目は陽菜を助けようとして偶発的にでしたが、二度目は確かな意志を持って引き金を引くのです。
困窮した帆高を助けて住み込みで雇った須賀圭介もまた、社会や大人に反抗する帆高に過去の自分を見たのかな。彼自身も親に反抗して家出した過去があり、互いの両親に反対されながらも結婚した最愛の妻に先立たれ、娘の萌花の養育権も取られているんですね。 須賀が警察から帆高を逃したのは、帆高のすべてをかけて陽菜に会いに行こうとする姿を妻への想いと重ね合わせたからでしょうか。
ようやく陽菜を見つけた帆高は、「天気なんて、狂ったままでいいんだ!」と叫びます。それに応えるかのように雨は3年間振り続けました。帆高は保護観察処分となって陽菜と一度も会わないまま地元の高校を卒業します。殆どが海に沈んだ東京で、二人は再会し「僕たちは大丈夫だ」と言う帆高。雲の間から覗く眩しいほどの太陽を見つめながら二人は未来を想ったのかな。
この年頃に感じていた気持ちなんて、遠い昔に置いてきてしまった身には、まさにファンタジーでございます
この監督の作品ではやっぱり「言の葉の庭」か「秒速5センチメートル」が好きだなぁ