杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

プレーム兄貴、王になる

2020年09月13日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2020年2月21日公開 インド 164分 G

面倒見が良くて、曲がった事が大嫌い、周囲からアニキと慕われる下町の貧乏役者のプレーム(サルマン・カーン)の願いは、憧れのマイティリー王女(ソーナム・カプール)に一目でいいから出会う事。王女が、婚約者のプリータムプル王国のヴィジャイ王子(サルマン・カーン:二役)の王位継承式にやってくることを聞きつけたプレームは、相棒のカンハイヤ(ディーパク・ドブリヤル)と出かけたプリータムプルの街中で、王子の家来にスカウトされる。なんと、王子のヴィジャイは、継承者争いの暗殺事件に巻き込まれ意識不明。 そしてプレームと王子は瓜二つだったのだ!4日後に迫る王位継承に向けて王子の替え玉に仕立てあげられたプレーム。しかし、尊大で頑固な王子の性格が災いして、フィアンセのマイティリー王女はすっかり王子に心を閉ざしていた。さらに、異母兄弟だらけで複雑な王家の弟妹との関係も最悪で、二人の妹たち(チャンドリカとラディカ)からは、話をすることも拒絶される始末。しかも、弟のアジャイ(二―ル・二ティン・ムケ―シュ)は、配下のチラグ(アーマーン・コーリ)と共謀して密かに王子の命を狙う暗殺事件の張本人だった。はじめは大人しく王子を演じていたプレームだったが、問題だらけの王室の内情を知り、次第に下町育ちの本領を発揮。真っすぐな心で、頑なな人々の心を溶かしていくが、そんな中、王位を狙うアジャイたちの魔の手が迫っていた…(公式HPより)

 

イギリスの古典小説「ゼンダ城の虜」をもとに、ひょんなことから王子の替え玉になった貧乏役者の奮闘を描いたハートウォーミング・マサラムービーです。インド映画ならではの3時間近い長さも、豪華絢爛な城の内装や王族の美しい衣装に、お得意の歌とダンスが盛り込まれ、気が付けば時間が経っていました。特に「鏡の城」が素晴らしい

王子と貧乏役者の二役を演じるサルマン・カーンは、絶大な人気を誇るだけあって、孤独を抱える尊大な王子と下町のアニキをしっかりと演じ分けています。

宰相(アヌパム・カー)とサンジャイ警護長(ディープラージ・ラーナー)により身代わりに仕立てられたプレームは、「王女のため」と言われ、国のために尽くせることは誇りだと快く引き受け、憧れの王女にも会えて喜びますが、王族の内情を知るにつれ、ついつい世話焼きの本領を発揮します。彼の真っ直ぐな気持ちと行動が、頑なな王女たちの心も融かしていきます。特にサッカーでラディカ王女を誘い出すシーンが楽しかったな~~。つい、本物のサッカーの試合を連想してしまったのですが、「そうきたか!」なダンスと歌による楽しくて和める演出でした。

アジャイ王子を唆して兄を暗殺させようとしたのは王室資産管理人のチラーグ(アルマーン・コーリ)で、彼こそが悪人です。でも王子や王女の争いの発端は子供時代の些細な喧嘩に亡き王が彼らを隔離して育てたことにあるようでしたが。

長年の誤解やわだかまりを、プレーム兄貴の真っ直ぐで広く優しい心が融かしていく、まさにハートウォーミングな展開でした。初めは心を閉ざしていたマイティリー王女も、プルームの誠実な態度に徐々に惹かれていきます。もちろんプルームの方もなのですが、同時に身代わりである自分の立場を自覚し、もどかしい思いを抱えることになります。二人だけの夜、誘いかける王女を静かな自制心で見つめるプルームの視線が切ないです。

王子が回復し、兄弟姉妹の仲も修復され、マイティリー王女もプルームが影武者であることを知ります。当然身分が違う二人は結ばれることなく・・・・と思ったら、最後はそうきましたか!! 王子、変わり過ぎ!! でもこれってハッピーエンドよね


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マッドマックス 怒りのデス・ロード

2020年09月13日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)

2015年6月20日公開 アメリカ 120分 R15+

2020年9月12日 「金曜ロードSHOW!」放送

愛する者を失ったマックスと2人の反逆者。自由と生き残りを賭け、3人のMADな戦いが、いま始まるー。石油も、そして水も尽きかけた世界。主人公は、愛する家族を奪われ、本能だけで生きながらえている元・警官マックス(トム・ハーディ)。資源を独占し、恐怖と暴力で民衆を支配するジョー(ヒュー・キース=バーン)の軍団に捕われたマックスは、反逆を企てるジョーの右腕フュリオサ(シャーリーズ・セロン)、配下の全身白塗りの男ニュークス(ニコラス・ホルト)と共に、奴隷として捕われた美女たちを引き連れ、自由への逃走を開始する。凄まじい追跡、炸裂するバトル……。絶体絶命のピンチを迎えた時、彼らの決死の反撃が始まる!(公式HPより)

 

これは好き嫌いがはっきり分かれる作品ですね。過去にメル・ギブソンが演じたシリーズも一作も観ていないのに、去年流れた「ホットペッパー」のアフレコCMがインパクトあって記憶に残っていたので、地上波放送に思わず録画して観てしまいました・・・が、荒廃した世界での逃走&闘争劇がこれでもかというほど繰り広げられるばかりで、観ているだけでも口の中がじゃりじゃりしてきそうな映像に閉口です。こういうジャンルが好きな人にはたまらん迫力の映像美だとは思いますが

核戦争で文明が崩壊し荒廃した世界が舞台です。マックスは元警官で、妻子を殺された過去のフラッシュバックに悩まされながらV8インターセプターに乗って放浪を続けているんですね。(過去シリーズ知らないから、そもそも冒頭から意味不明だったけど)ところが、旅の途中でイモータン・ジョー(元軍人)の配下に襲われ砦に連行されて「血液袋」にされてしまいます。

何?血液袋??・・・核の影響が残る世界で、生まれながらに病気に冒されている者たちには新鮮な血液が必要で、それを提供するのが血液袋の役割らしい 最早人間じゃなく消耗品扱い ジョーは彼らを洗脳し、「ウォーボーイズ」を組織していて、彼のために戦いで死ぬことは名誉であり復活の手段であると信じ込ませているのです。太平洋戦争の神風特攻隊じゃあるまいし・・・いやいや、狂気的世界ではあり得る話かも 

砦の外側にも大勢の人間がいますが、ジョーは水源を独占して支配しています。健康で美しい女たちが攫われて連れて来られ「子産み女」としてハーレムの一員にされ、ジョーの健康な世継ぎを産むための道具にされているという。女性の権利も何もあったもんじゃない!まさにやりたい放題だぁね。 

そんな状況の中、フュリオサは女たちを連れて脱走を図ります。(彼女が女隊長としてジョーの片腕に上り詰めたのは何故か、どうして女たちを連れて脱走する気になったのかはすっぽり割愛されている)それに気づいたジョーは部隊総出で追跡を開始。ニュークス(ニコラス・ホルト)の血液袋となったマックスも車に括りつけられて、「武器将軍」や「人食い男爵」等も加わって、壮絶な追跡劇が始まります。巨大なタンク車や、途中に待ち構える別の敵の襲撃など、スクリーンで観たら血沸き肉躍るシーンの連続で、男性受け間違いなしです。

マックスは、逃げるためにフュリオサたちを利用するのですが、内心、安心して暮らせる楽園の<緑の地>が本当に存在するのか懐疑的です。女たちを奪い返すというミッションに失敗したニュークスも自分の身を守るために彼らの仲間に加わります。途中から女たちの一人と良い雰囲気二なり、最期は彼女たちを守るために犠牲になるという・・・なんだ~心優しい青年だったじゃん

やがて辿り着いたフュリオサたちの前に現れたのは、既に失われて久しい「楽園」。更なる楽園を求めて旅立とうとする彼女たちの前に、別れたマックスが戻り、砦を奪う提案をします。まさに逃走から闘争に変わる瞬間です。 勝利は与えられるものではなく自らつかみ取るものだということですね。

この物語の主役はフェリオサであり、マックスはその戦いのサポート役に徹していました。激闘の末、ジョーを破って砦に凱旋した女たちを見届けて去っていくマックス。これはまさに男の美学ですね。 でもやっぱり、こんな世界には生きたくない


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