2020年2月21日公開 インド 164分 G
面倒見が良くて、曲がった事が大嫌い、周囲からアニキと慕われる下町の貧乏役者のプレーム(サルマン・カーン)の願いは、憧れのマイティリー王女(ソーナム・カプール)に一目でいいから出会う事。王女が、婚約者のプリータムプル王国のヴィジャイ王子(サルマン・カーン:二役)の王位継承式にやってくることを聞きつけたプレームは、相棒のカンハイヤ(ディーパク・ドブリヤル)と出かけたプリータムプルの街中で、王子の家来にスカウトされる。なんと、王子のヴィジャイは、継承者争いの暗殺事件に巻き込まれ意識不明。 そしてプレームと王子は瓜二つだったのだ!4日後に迫る王位継承に向けて王子の替え玉に仕立てあげられたプレーム。しかし、尊大で頑固な王子の性格が災いして、フィアンセのマイティリー王女はすっかり王子に心を閉ざしていた。さらに、異母兄弟だらけで複雑な王家の弟妹との関係も最悪で、二人の妹たち(チャンドリカとラディカ)からは、話をすることも拒絶される始末。しかも、弟のアジャイ(二―ル・二ティン・ムケ―シュ)は、配下のチラグ(アーマーン・コーリ)と共謀して密かに王子の命を狙う暗殺事件の張本人だった。はじめは大人しく王子を演じていたプレームだったが、問題だらけの王室の内情を知り、次第に下町育ちの本領を発揮。真っすぐな心で、頑なな人々の心を溶かしていくが、そんな中、王位を狙うアジャイたちの魔の手が迫っていた…(公式HPより)
イギリスの古典小説「ゼンダ城の虜」をもとに、ひょんなことから王子の替え玉になった貧乏役者の奮闘を描いたハートウォーミング・マサラムービーです。インド映画ならではの3時間近い長さも、豪華絢爛な城の内装や王族の美しい衣装に、お得意の歌とダンスが盛り込まれ、気が付けば時間が経っていました。特に「鏡の城」が素晴らしい
王子と貧乏役者の二役を演じるサルマン・カーンは、絶大な人気を誇るだけあって、孤独を抱える尊大な王子と下町のアニキをしっかりと演じ分けています。
宰相(アヌパム・カー)とサンジャイ警護長(ディープラージ・ラーナー)により身代わりに仕立てられたプレームは、「王女のため」と言われ、国のために尽くせることは誇りだと快く引き受け、憧れの王女にも会えて喜びますが、王族の内情を知るにつれ、ついつい世話焼きの本領を発揮します。彼の真っ直ぐな気持ちと行動が、頑なな王女たちの心も融かしていきます。特にサッカーでラディカ王女を誘い出すシーンが楽しかったな~~。つい、本物のサッカーの試合を連想してしまったのですが、「そうきたか!」なダンスと歌による楽しくて和める演出でした。
アジャイ王子を唆して兄を暗殺させようとしたのは王室資産管理人のチラーグ(アルマーン・コーリ)で、彼こそが悪人です。でも王子や王女の争いの発端は子供時代の些細な喧嘩に亡き王が彼らを隔離して育てたことにあるようでしたが。
長年の誤解やわだかまりを、プレーム兄貴の真っ直ぐで広く優しい心が融かしていく、まさにハートウォーミングな展開でした。初めは心を閉ざしていたマイティリー王女も、プルームの誠実な態度に徐々に惹かれていきます。もちろんプルームの方もなのですが、同時に身代わりである自分の立場を自覚し、もどかしい思いを抱えることになります。二人だけの夜、誘いかける王女を静かな自制心で見つめるプルームの視線が切ないです。
王子が回復し、兄弟姉妹の仲も修復され、マイティリー王女もプルームが影武者であることを知ります。当然身分が違う二人は結ばれることなく・・・・と思ったら、最後はそうきましたか!! 王子、変わり過ぎ!! でもこれってハッピーエンドよね