
2019年10月18日公開 125分 G
サヤカ(新津ちせ)は、赤い電車が通る湾岸の街に両親(坂井真紀、滝藤賢一)と暮らす8歳の少女。臨海学校に出かけた数日の間に愛犬のルーがいなくなったことが受け入れられず、ルーと一緒に過ごした場所を訪れては、その姿を探している。ある日、サヤカはかつてルーに導かれて見つけた、線路の跡が残る原っぱで一匹の犬と出会う。犬はすぐに姿を消すが、数日後、近所の喫茶店の前につながれていた。サヤカは、見るからに頑固そうなマスターのフセ老人(笈田ヨシ)に、犬の名前はルースで、ルースの方から店にやってきたのだと聞かされる。時の止まったようなジャズ喫茶を営むフセ老人もまた、数十年前に幼くして亡くなった息子の死を受け入れられずにいた。やがてサヤカは喫茶店に通うようになり、ルーの思い出話をしたり、フセ老人の息子コウイチロー(佐藤優太郎)の話を聞いたりするうちに、フセ老人と打ち解けていく。サヤカは、フセ老人が待っているという大切な「何か」を、ただ待ち続けるのではなく、一緒に探しに行こうと提案する。週末。サヤカとフセ老人とルースは海に向かった。「何か」とは一体なんなのか?そして二人は「何か」を見つけることができるのだろうか?(公式HPより)
少女と老人の出会いと友情を描いた伊集院静の同名短編小説の映画化です。有村架純が10年後のサヤカとしてモノローグで出演しています。
人生で避けて通れない、死=愛する者との永遠の別れを少女の視点で綴っていて、誰かと悲しみを分かち合い、正面から向き合ってまた新しい何かを築く姿が描かれます。映画で描かれている赤い電車は京急ですね
サヤカを演じている子がとにかく可愛いかった
でも細部の設定は特に現代においてはちょっと危なげで、本編とは無関係ながら気になる~~
少女が一人だけで誰もいない場所に出かけたり、暗くなるまで外にいるのって絶対危ないよね フセさんと出かけた時も両親には何も断っていないし、出かけた後も「秘密」のままで両親もそれ以上突っ込まないしなぁ。
病院での若い看護師のサヤカへの接し方も問題ありです。看護師長(余貴美子)の対応が正しいよね。
ペットを飼ったことがある人、ペットの死を経験した人の方がより一層共感できると思うけれど、個人的にはルーやルースが少女の顔をペロペロなめ回すのが気になってしまいました。
一種のファンタジーなので、コウイチローが現れる海辺のシーンがとても良かった
フセさんが亡くなって、秘密の場所に出現したプラットホームでサヤカが「私も連れて行って」と叫ぶシーンも彼女の哀切が伝わってきました。
喪失を肌身に感じた後に、いなくなっていたルースが現れて、サヤカが再び前を向いて歩きだす姿が印象的でした。
それにしてもサヤカの言葉遣いの丁寧さ、礼儀正しさは、際立っていますね。
彼女は背中に大きな痣(火傷痕?)があり、友人が出来ない一因になっているようです。映画では愛犬との突然の別れを受け入れられずにいた少女の心の整理が主眼のため、そこにはさらっとしか触れていないけれど、原作はもう少し掘り下げているのかな?
サヤカはルースと再び二人だけの世界に籠ってしまうのか、それとも友人を受け入れようとするのか、ちょっと気になりました。