杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

『罪と罰』を読まない

2021年02月03日 | 

著者:岸本佐知子、三浦しをん、吉田篤弘、吉田浩美 

文藝春秋(出版)

「読む」とは、どういうことか。何をもって、「読んだ」と言えるのか。ドストエフスキーの『罪と罰』を読んだことがない四人が、果敢かつ無謀に挑んだ「読まない」読書会。(「BOOK」データベースより)

 

罪と罰を読んだことがない作家4名が集まって、それぞれの曖昧な記憶と拾い読みしたわずかなページからの情報で、物語を推理していくという、居酒屋雑談感満載の座談会の様子を書いています。

全員が作家ですから、物書きの視点での推理と、それぞれの作風の個性が出ていて楽しめました。とはいえ、私は彼らの作品を全く読んでいないのですが 一人でも作品を知っていてその作家の読者であれば、より一層面白く感じたかも

ドフトエフスキーの「罪と罰」・・・遠い昔に児童文学全集で読んだような記憶がかすかに残っている・・かな

金貸しの老婆を身勝手な理由で殺した青年が、次第に罪の意識に囚われていったような・・・なんか大地にキスして最後は自らの罪を告白したような・・・おぼろげな記憶しかありません。この時点では4人の作家さんと同程度の知識です。

作家たちが作者である偉大なロシアの作家をドストと略して読んでたり、登場人物たちのこともラスコ(ーリニコフ)、スベ(スヴィドリガイロフ)と略した挙句、マメや猿や(松岡)修造なんて呼び始めてしまいます。これが妙にはまっていて可笑しいの

散々推理した後で、本編を読むんです、この4人。え?読まないんじゃなかったのかい でも、読まなければ推理が当たっているか外れているかわからないから、やっぱり読むのは必然なんですよね。

中盤に小説のあらすじが載っているのですが、噛み砕いた文章が面白くて、こっちだけでもいいやと思ってしまったぞ

後半は、それぞれが読んだ感想と自分の推理を考察したり、推しキャラを熱く語っています。

特に三浦しをんさんの初めの推理(というか妄想)がぶっ飛んでて、読後もテンション高く語っています。

これを読んだ後のラスコーリニコフ像は、中二病のすぐぶっ倒れて、すぐ逃げ出す頭でっかちなニートになっちゃったぞ

全く覚えていなかった登場人物、例えばソーニャの義母のカテリーナを絶賛推してたり、スベの人物像を上方修正してたり、ラスコの妹のドーニャがモテモテだったり、金貸しの老婆の義妹がしょっちゅう妊娠していると描写されてたり・・・これだけでも本編ちゃんと読んで見ようかなと思わされるのですが、ポルフィーリ=片岡愛之助、ルージン=スティーブ・ブシュミ、スベ=ヴィゴ・モーテンセンを当てて語っている場面で、あ~この配役で映画で観たい!と いや、ありえませんが

現代の犯罪摘発能力とは比べようもないけれど、結局ラスコの自白がなければ冤罪が生まれてたようだし、2人も殺しておいて8年の実刑で済むのも何だかな~。シベリアは過酷な地なので、そこでの重労働はただ刑務所に収監されるより遥に辛いのでしょうけれど、ソーニャも、後に母や妹たちもついていくってどうよ?なわけで・・・う~~ん、やっぱり一度はちゃんと読み通すべきかも。

小説でも映画でも、仲間と直接向き合って感想を寄せ合い話し合うというのは最高の楽しみ方だよねって改めて思います。コロナ禍、憎し!

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