杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

薬屋のひとりごと3

2024年11月13日 | 
日向夏(著)ヒーロー文庫

玉葉妃の妊娠により、再び後宮に戻ってきた猫猫(マオマオ)。 皇帝の寵妃ということもあって、それは秘密厳守。 しかし、女たちの腹の探り合いは日常茶飯事で、しかも、後宮内だけでなく外部からも怪しげな動きが見え隠れする。 それとともに、後宮外では壬氏たちが隣国の特使の要求に頭を悩ませていた。 特使たちは、数十年前にいたという妓女、それが見たいと無理難題を言ってきたのである。花街の事情に詳しい猫猫に相談を持ちかけてくるが、それは意外な人物であり――。 猫猫はその美女にかわる絶世の美人を用意することとなる。 茸中毒で死んだ妃、後宮内の廟の秘密、先帝がかかった呪い、その謎を解くにつれ、壬氏が宦官の枠を超えて扱われていることに猫猫は気が付く。 そして、猫猫はその壬氏の願いで、後宮を出て北の避暑地へと同行することになる。そこで待っていたのは、腹に一物持った高官たちと再び壬氏の命を狙う者たちだった。 猫猫たちは、無事、宮中に戻ることはできるのか!?(あらすじ紹介より)


シリーズを順番通りに読めなかったため、今頃手に入った3巻の目玉は何と言っても「月精」(壬氏様の女装姿)と「そこそこの蛙」でしょう😍 
1巻のあと2,3巻を飛ばして4巻に行ってしまったため、その後も時々登場する「そこそこの蛙」の意味が何となくは想像できてもエピソード自体がわからずもやっとしていたのが解決しました😁 
子翠 が登場します。既に彼女の正体を(読んで)知っているため、色々勘ぐってしまうぞ。

序話
壬氏の幼い頃の夢の話のようです。彼にとって母は皇太后・安氏であり、父は先帝と認識されています。母と祖母、父の関係についても触れられています。

一話 書
やぶ医者の所で薔薇から香油を作っている猫猫を訪ねてきた壬氏に、実家(緑青館)から届いた荷物の中身を知られたことで、後宮の下女の識字率向上のために策が講じられることに。皇帝から妃に配られた小説が写本され下女たちが回し読みする中、小蘭は自分で読んでみたいと猫猫に字を習い始めます。まずは自分の名前からですが、猫猫が次に教えようとしたのが「葛根」「冬虫夏草」といった薬の名というのが受ける!

二話 猫
鈴麗公女と散歩中に拾ったのは猫の毛毛。子翠登場です。小蘭の知り合いの侍女ですが実は彼女の正体を既に知っているのでちょっと斜め上から見てしまうぞ。

三話 隊商
西の国からやってきた隊商に娯楽の少ない後宮の女性たちは沸き立ちます。妊娠を秘密にしていた玉葉妃に勧められた服が妊婦向けのものであることを猫猫は訝しみます。最終日に小蘭、子翠と買い物を楽しんだ猫猫はジャスミン茶を購入します。

四話 香油
隊商で売られていた香油が後宮で大流行しますが、妊婦に害がある薔薇や安息香、青桐 、乳香、桂皮といったその種類を不審に思った猫猫は、流行に敏感な水晶宮の梨花妃の侍女の服を剥いて壬氏に怒られます。
猫猫が飲もうとしていたジャスミン茶を飲みたそうにしていた壬氏に、これも堕胎薬になることや男性の不妊に効果があると言って飲ませようとしない猫猫。でも壬氏はちゃっかり飲んじゃうのね😄 

五・六話 冬人夏草 前・後編
壬氏から毒茸についての調査依頼を受ける猫猫。
中級妃・静妃の葬儀に紅娘と参列した猫猫は、妃の顔がただれていたのは毒茸が原因と推察します。紅娘が静妃を快く思っていないのは、以前玉葉妃が鈴麗公女妊娠の折に毒を盛ったのが静妃だと疑っていたからです。
女官の行方不明の噂との関連に気付いた猫猫はこれを見事に解決します。
実は、静妃は1年前に既に死亡していて、行方不明となった女官が身代わりを演じていましたが、彼女の任期が明けることに焦った侍女たちが共謀して毒殺し、その死体を静妃とし、女官は失踪したことにしていたのです。
静妃は下級妃と揉めたことで事故か事件かは不明ですが死亡し、元々その性格故か侍女たちにも嫌われていたため、その死を身代わりを立てることで隠していたわけね。本人の死体は毒茸が群生する地面の下に埋められていて、腐敗する臭いで発見に繋がったという。
壬氏は、静妃に毒茸を盛った者が玉葉妃の侍女の可能性も考慮していたと気付いた猫猫は玉葉妃に肩入れしているわけではなく公正に各妃を見ている壬氏を見直します。

七話 鏡
西の特使が玉葉妃ら上級妃に鏡を献上した理由について考える猫猫。これって女同士の張り合いか?
高順が壬氏の使いで胆嚢を持参しながら二人の箱入り娘の片方の妊娠の謎解きを頼んできます。鏡を使ったトリックでした。この娘たちがしていたという刺繍は西国人が好む趣味ということが後の伏線になっているようです。

八話 月精
特使は二人の美女で、昔曽祖父から聞かされた「真珠の涙を持つ絶世の美女」に会ってみたいと無理難題を押し付けられた壬氏が猫猫に相談します。
その絶世の美女が緑青館のやり手婆なんですね。まさに時の流れは残酷です。
婆を呼んで改めて話を聞いた猫猫は彼女が持参した絵姿からヒントを導きだし、壬氏に女装をさせて見事に解決します。雄の蛾が雌の匂いに弾きつけられて集まる習性を利用していますが、蛾の雌雄判別や確保には虫好きの子翠の手を借りています。
壬氏にとっては災難ですが、この絶世の美女の描写はぜひともアニメで観たいものです。まさに月の精のような姿に衝撃を受ける特使(勝気な方)でしたが、彼女たちの目的は帝と皇弟を誘惑すること?

九話 診療所
風邪を引いた愛藍と診療所を訪れた猫猫は、深緑(後に猫猫が連れ去られる場にいたっけね~)と出会います。後宮の診療所は先帝のお手付きだったため後宮を出ることができない女性を集めた場所のようで、皇太后が作ったとされています。

十、十一話 みたび、水晶宮 前後編
梨花妃の侍女の容体を気にする深緑に頼まれ、やぶ医者と水晶宮を訪ねた猫猫は、物置に隔離されていた侍女を発見した際に侍女頭の杏が隠していた香油を見つけます。
杏の目的は堕胎薬を作って梨花妃を流産させることでした。(おそらくは誰かに入れ知恵されたもの)
梨花妃の従姉妹の杏は、自分が妃に選ばれなかったことを憎んでいました。
梨花妃は杏を庇って解雇という形で後宮を追い出します。本来なら極刑だよね。

十二話 選択の廟
小蘭が字を教わっている宦官から、国の成り立ちの話を聞いた猫猫は、その夜、主上の呼び出しを受け、壬氏と一緒に廟に入ることになります。色の異なる3つの扉から一つを選ぶ謎解きを解いた猫猫はゴールに辿り着きます。うん、これは色盲・色弱の遺伝が関係しているわけね。
国の祖である王母が、自分の血縁を繋ぐために考えた巧妙なからくりなのです。
男系皇族の主上は王母の血が薄れているため正解に辿り着けなかったわけ。でも濃くなり過ぎた血は、病気などのデメリットも出て来るわけで、廟を守る宦官は、血が薄まるのは避けられないなら猫猫のような聡明な者と血縁を結ぶのも良いのではと言います。彼は壬氏の正体も知っているようですね。

十三話 皇太后
診療所の前で皇太后を見かけた猫猫と子翠。
その後、玉葉妃を訪れた安氏から謎解きを依頼される猫猫。それは彼女が先帝に呪いをかけたのかという問いでした。安氏が先帝を嫌っていたことが示される回です。

十四話 先帝
先帝がロリコンだった原因は母への怖れから大人の女性に委縮したからのようです。
妾腹だった安氏は、童顔で初潮が早かったことから、父の思惑で侍女として後宮に送り込まれ、狙い通りに国母となります。10歳足らずで産んだ子が現帝で、帝王切開で取り上げたのが羅門でした。
成長した安氏に興味を失くした先帝を憎んでいた彼女は、弟帝を半ば強引に迫って孕みます。(その子は阿多妃 によって取り替えられ後に死亡)
安氏の言う「呪い」とは、死後1年経っても先帝の死体が腐らなかったからです。
猫猫は先帝が晩年を過ごした部屋に入って、絵を趣味としていた先帝が、絵具に含まれていた毒に冒されていたことを指摘します。
安氏は取り替え子と承知で壬氏に愛情を感じているようです。彼に「お気に入りは隠しておかないと、誰かに隠されてしまうわよ」と忠告したのも猫猫を気に入ったと同時に立場の危うさも知っていたからでしょうね。

十五話 怪談
小休止の回かな?
紅娘に誘われ怪談会に参加した猫猫。子翠も参加していて、彼女が語った話は後に起こる「蝗害」を示唆するような内容でした。
禁じられた森に入った母子の話の謎解きを子翠に解説する猫猫。毒茸が関わっていました。

十六話 避暑地
子昌(楼蘭妃の父)の招きで狩りのため避暑地に行く壬氏に同行する猫猫。
冒頭で玉葉妃と猫猫を返して問答が繰り広げられるのが愉快。完全にからかわれているのが見え見えな壬氏、可愛い。
覆面を被り「香泉」と名乗る壬氏。護衛は馬閃で、高順は宦官の壬氏の名代として参加しています。状況がいまいち呑み込めない猫猫ですが、そこは敢えてスルーを決め込みます。馬閃は馬の一族は代々皇族に仕える一族だと話します。護衛として来ていた李白は狩猟犬と仲良くなっています。この犬が後で大活躍です。
香泉に供された食事は強壮剤がてんこ盛り。猫猫は平気ですが、馬閃は撃沈😓 

十七~十九話 狩り 前・中・後編
食事も水も摂らず覆面を外さないせいで熱中症になりかけた壬氏は宴席を離れ森へ。異変に気付いた猫猫が後を追いますが、突如鉄砲で狙われ、危険を察した壬氏は猫猫を抱きかかえ滝へダイビング。泳ぎが不得意な猫猫は溺れかけますが、壬氏が(おそらくは人工呼吸と心肺蘇生 )助けます。濡れた着物を脱いで絞る描写で既に何かが起きる前兆を感じさせます。
滝の裏の洞窟からの脱出方法を探る中のアクシデントで壬氏が宦官でないことに気付いた猫猫ですが、それ以上のことを知ることを拒んだ彼女は真実を話そうとする壬氏をはぐらかします。これが「そこそこの蛙」のエピソードですね。
そこそこを強調された壬氏が熱くなって猫猫に迫ったタイミングで、猫猫の指笛に反応した例のわんこが降って来るのはある意味お約束ですね。

宴席に戻ってこない壬氏たちを捜索していた馬閃たちは、暗殺者の正体を暴くために一計を案じます。うん、壬氏が狙われたのは銃であって矢ではないものね。😁 
李白に助けられた猫猫は、わんこを使っての犯人探しを提案し、無事犯人を捕まえます。この暗殺未遂事件は表沙汰にされることなく終わるのですが、後の子一族の反乱に繋がっていきます。そもそも祭祀を行う壬氏を事故に見せかけて殺そうとしたのも今回の銃を使った暗殺未遂も子昌が背後にいるのよね。😨 

壬氏は猫猫に改めて身分を明かそうとしますが、先に牛黄を渡したのが間違い!興奮した猫猫の耳にはただの雑音でしかないという。可哀相な壬氏様。

終話 
高順は壬氏に付き合うため、表向き「馬」の名を剥奪されたことになっているようです。皇弟が無能と判断し、次の東宮の後ろ盾となりそうな者に胡麻を擦ろうとする
宦たちを横目に月を愛でる高順の胸中やいかに。
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