厚い大気に覆われた土星の最大の月タイタンは見るのが本当に難しい。超高層大気に浮いた小さな粒はほとんど透視不能な霞をつくり出し、可視光線の波長で光を強く散乱させ、覗き見る目からタイタンの表面を隠す。しかしタイタンの表面は、拡散が弱くまた大気の吸収が少ない赤外線波長でより良いイメージが撮られる。中心に置かれたタイタンの可視光線のイメージの周囲に配列された、この苛立つような月の最も鮮明かつ広域な赤外線の視界のいくつかがある。疑似カラーのこの六つのパネルは、カッシーニ宇宙船に搭載されたカシーニ可視光・赤外線マッピング分光計からの赤外線画像データの、13年間の一貫した処理を示している。これらはカッシーニの可視光の視界との驚くような比較を提供している。
<出典>: 「今日の天文写真(Astronomy Picture of the Day)」
<大判>: イメージをクリック。
<ひとこと>: 土星の衛星タイタンは、土星探査宇宙船カッシーニが、土星本体、そのリングと併せて、最も詳しく調べた対象であった。タイタンはほとんどメタン(シンプルな炭素化合物)から成り、メタンの雲、霞、雨、湖、川があり、地球の水を全てメタンに置き換えたと考えれば、その構成がほぼ推測できる。タイタンには生命体は見つかっていないが、地球の人間と異なり、メタンなど他の物質から構成される生命体があっても不思議ではないという画期的な考えもまた提起され、宇宙における生命体探しに一石を投じている。