
大澤 『水のたわむれ』 油彩
一件抽象画のようにも見えるこの油絵。水曜夜大人クラスの大澤さんのです。一体何をモチーフにした絵なのか、わかりますでしょうか?意味深なタイトルにも思わず心惹かれてしまいますよね。
せっかくなのでブログでは正解を!こちらの作品、アメリカの観光地として有名な「アンテロープ・キャニオン」の風景を描いたものです。幅の狭い渓谷の岩肌が鉄砲水や風の侵食されて地層を形成したもので、大澤さんご本人が旅行に行かれた際、ご自分で撮影した写真を元に制作しました。
キャンパスが小さかったのもあって狭い洞窟内の距離感を出すのが難しく、絵具を多めに盛ったりとかなり試行錯誤されていました。「岩」だからといって委縮せずにこれだけ鮮やかな色を使っていけるのも、大澤さんの強みですね!パッと見た印象は不思議な波模様が連なる抽象画のようにも見え、じっくり離れて見れば繊細な光が差し込む洞窟内部の風景が見えてきます。見る人の想像力をかきたてる絶妙な仕上がりのラインです。それぞれ上部から差し込む光の入り方の違いも、とても美しいですね。
キャンパスを3つ繋げた3連作。間に入ったピーコックグリーンがピリッと利いていると思いませんか?実はこれ、自作の額なんです!今年は大澤さんも含め何人か、ご自分で額を作った方もいらっしゃいました。これだけピッタリの色は、既製の物ではちょっと見つけられないでしょう。特注品ですね!額を制作された方の中には、「想像以上に大変でした。もうやりません・・・・。」という方もいらっしゃいましたが、自分の作品にピッタリの額を考えるのも、なかなか楽しいと思いますよ!
何百年もの時間をかけてゆっくりと形作られていった地層。水の痕跡。この独特の岩の通路の歴史を、展覧会の会場で是非感じて下さいね。