
土曜日担当の岩田です。今回は午前クラスの松尾さんの油彩です。今までは物語性のある油彩で人物をモチーフに絵を描くこと多かったのですがこちらの油彩は松尾さんがクロアチアに旅行にいらした時にあった時計台をモチーフにしています。
いつも描かれている絵とは大分雰囲気が違います。
文字盤の錆びた印象とても美しいですね。同系色の色の中で様々に遊んでいるのが見て取れます。この古びた質感を出す為に筆運びにも工夫が凝らされています。文字盤が付いている壁面との質感対比も見ごたえのある見せ場となっています。
石造りであろう壁の質感表現も見事です。そこに使われているマチエールも面白いですね。
こういったマチエールの完成度が高いのももしかしたら今回松尾さんが描いているのがキャンバスではなく木製パネルだということが関係しているかもしれません。ご本人もパネルの方が描きやすいとおっしゃっていました。
古典技法のテンペラ画などは木の板を支持体にしています。そういった意味でもキャンバスよりその歴史は古いんです。パネルなどに描く場合は下地にジェッソなどを塗っておくと良いですね。
パネルは支持体としては固いので筆を置いた時の抵抗感があります。キャンバス特有のあの筆を置いた時の布の弾力がありません。どちらが描きやすいかはそれぞれの好みですが一度皆さんも試してみると面白いかもしれません。
そう言えば、私が大好きな熊谷守一も木の板きれに油彩を描いていましたね。
それではまた来週!