吉村 透明水彩
ナツメです。急に涼しくなりましたね。朝の登校にTシャツは寒く、長袖の服を引っ張り出して来ました。本日は大人クラスの吉村さんの作品をご紹介します!こちらの作品は、先日の展覧会に出品されていたので、記憶に新しい方がほとんだだと思います。実物はもっと瑞々しく繊細で、旅の記憶が蘇ってくるような懐かしさを感じさせます。
カメラのレンズの光沢や観葉植物のちょっとした葉の厚みなど、一つ一つのモチーフをとても丁寧に描いていますね。特に質感の表現は難しかったと思いますが、細かな部分まで見つけて描画しているため、どこをとっても質が落ちないほど高いクオリティとなっています。
空気感も素晴らしいですね!一方向(手前左に窓があるのでしょう)から当たる光がやわらかく、明るい中にもどこかに旅が終わった寂しさが漂う雰囲気へと繋がっています。透明水彩はその名の通り、暗い色の上に明るい色を塗っても透けて明るくはなりません。そのため明るい部分は初めから残し、段々と暗さをつけていく画材です。とは言え、少しずつ暗くしていくと淡くなりがち。吉村さんは濃い影や黒いカメラにぐっと強い暗さを入れたため、一かたまりに置かれたモチーフに光が当たり、奥へ行くほど仄暗くなっていく様子が巧く表現されています。
近頃はスマホ一台ですぐに撮影・画像の保存が可能ですが、カメラを片手に旅路を記録し、写真として残すところが懐かしさを感じる一因かもしれません。先程寂しさとも書きましたが、今後この相棒たちとどんな旅をするのかと、これからの行先も楽しみな気持ちも湧いてくる一枚です。