佐藤K 透明水彩
岩田です。本日は、佐藤さんの作品をご紹介します。
こちらは、昭和に建てられたアパート。既に人は住んでおらず、網戸も外れっぱなしの状態で放置されています。今まで旅行先のヨーロッパなどの風景を描かれていらっしゃった佐藤さんですが、突然描いたこの廃墟。
美しく整然とした街並みを描かれていた時は、どうしてもデッサンの狂いなどが目立ってしまいましたが、ゆらゆらとしたペンで描いた線とラフな塗りが、傾きかけたアパートの様をよりリアルに感じさせくれます。
今まで使っていた鮮やかなトーンは影を潜め、全面が落ち着いたグレーに覆われ、枯れたような雰囲気に包まれていて、作者のこれまでの作品には見たことのない新しい一面を垣間見られたような気がします。
身近に見られる建物をどこか擬人化したような面白さを持つこちらの水彩。これから描き方を更に洗練させていきながら、シリーズ化していっても良いかもしれません。