野中 油彩
ナツメです。先日紫陽花を見に鎌倉へ行ったのですが少し早かったようで、一面の葉っぱだけ眺めて帰ってきました。本日は大人クラスの野中さんの作品をご紹介します!
たんぽぽが咲く牧場でのんびり散歩する馬の親子。今の季節にぴったりな作品ですね。フォロワーズといって馬は離乳までの間親と子が常に行動するので、まさにこの時期にしか見られない光景です。馬の体は下塗りの効果が利いて、重量感やしなやかさが感じられますね。リラックスした様子で牧場を歩する親子の姿に、見ている側まであたたかい気持ちになってきます。ツヤツヤの毛並みも美しく、手触りまで伝わってくるかのようです。
茶色と緑、そして青と画面を占める色の数が少ない中、時間をかけて丁寧に塗り重ねられたためどこを切り取っても深みのある色合いになっています。草木の表現がとりわけ素晴らしく、奥に見える木々は茶色みがかった色も織り交ぜつつ暗い色をメインにしているのに対して、草原は青々としたフレッシュな若葉を描くために鮮やかな緑を使っています。そしてそのどちらも前後で描き込みの量に差をつけることで広い空間を作り出しています。
思わず微笑んでしまうようなのどかな光景ですが、きっと時間をかけたからこそここまで魅力的なずっと見ていたくなる作品になったのでしょう。親子の歩んできたこれまでの過程や、仔馬はどんな風に成長していくのかと見れば見るほど想像を掻き立てられ、絵の中に入りこみたくなるような不思議な力を感じる作品です。