「あの、これ私が湯がきます。」
「いいのよ。
まだ正式に嫁になったわけじゃないんだから、台所の物には手を出さないで欲しいの。
サンヒョク、ユジンを向こうへ連れて行ってちょうだい。」
お義母様はやっぱりまだ機嫌が悪い。
婚約式のことを怒っていらっしゃるのだろうか。
当然よね。
でも…、いつもより冷やりとするような冷たい目で私のことを見るような気がするのは気のせい?
母からの贈り物の服もちらりと眺めただけで箱を閉じてしまわれた。
どうしよう、なんとかしなくちゃ。
食事の準備も整い、食卓を囲んでもお義母様の硬い表情は変わらない。
お義父様もサンヒョクもぎこちない雰囲気を察して気を使っているのが分かる。
お義母様のせっかくのご馳走も味が分からない。
いつもは三人で楽しく食卓を囲んでいられるのだろうに、私のせいでせっかくの誕生日のお祝いが、申し訳ない…。
私は思い切ってお義母様に話しかけた。
「サンヒョクがいつも自慢するとおり、本当にお義母様はお料理がお上手ですね。この和え物とっても美味しい。
今度是非教えてください。お願いします。」
私がそう言うと、お義母様もやっと少し表情を崩されて
「そうね、教えてあげてもいいけれど…。」
「おお、そうだ、ユジンも料理は上手らしいが、母さんに教えてもらえばもっと上達するだろう。
来年の誕生日にはユジンの手料理でお祝いができるな。
今から楽しみだなぁ。」
お義父様が気持ちを引き立てるように言ってくださる。
するとお義母様はまた表情を固くして
「ユジンは忙しくてなかなか来られないんじゃありません?
その家庭家庭で味も違いますし。
第一、料理は愛情ですから、家族に美味しいものを食べさせたいという気持ちがないと…。
ユジンにその気持ちがあるのかどうか…。
私、ケーキを持ってまいります。」
お義母様は台所に立ってしまわれた。
〈ユジンにその気持ちがあるのかどうか…〉
私はその言葉に、ぎくりとした…。
その気持ちを打ち消すように、慌ててお義母様の後を追う。
ケーキの取り皿を私が差し出すと、
「あなた、スキー場で本当に仕事だけしているの?」と私を問い詰めた。
お義母様の厳しい目が〈口答えは許さない〉と言っている。
お義母様は私の心を見抜いていらっしゃるのだ。
私は何も言えず、目を伏せるしかなかった。
こんな気持ちのまま、サンヒョクと結婚しても今日のような冷たい食卓が待っているだけだ。
こんなふうに、自分の心に嘘をついて誤魔化しても皆が不幸になってしまう。
昔、ヒジンと二人だけの食卓でもこんなに淋しくはなかった。
忙しく働いて、一人で夕食を済ませているであろう母を思いながら、学校でのことや時には父の思い出話をしながら二人きりでも温かい食卓だった。
肉も買えず、豆腐と野菜だけのチゲ鍋でも、一日活動してお腹がすいた私達には充分おいしかった。
私は決心した。
こんな冷たい食卓を囲むことはもうしないと。
サンヒョクの為にも…。
…でも、それをサンヒョクはわかってくれない…。
「いいのよ。
まだ正式に嫁になったわけじゃないんだから、台所の物には手を出さないで欲しいの。
サンヒョク、ユジンを向こうへ連れて行ってちょうだい。」
お義母様はやっぱりまだ機嫌が悪い。
婚約式のことを怒っていらっしゃるのだろうか。
当然よね。
でも…、いつもより冷やりとするような冷たい目で私のことを見るような気がするのは気のせい?
母からの贈り物の服もちらりと眺めただけで箱を閉じてしまわれた。
どうしよう、なんとかしなくちゃ。
食事の準備も整い、食卓を囲んでもお義母様の硬い表情は変わらない。
お義父様もサンヒョクもぎこちない雰囲気を察して気を使っているのが分かる。
お義母様のせっかくのご馳走も味が分からない。
いつもは三人で楽しく食卓を囲んでいられるのだろうに、私のせいでせっかくの誕生日のお祝いが、申し訳ない…。
私は思い切ってお義母様に話しかけた。
「サンヒョクがいつも自慢するとおり、本当にお義母様はお料理がお上手ですね。この和え物とっても美味しい。
今度是非教えてください。お願いします。」
私がそう言うと、お義母様もやっと少し表情を崩されて
「そうね、教えてあげてもいいけれど…。」
「おお、そうだ、ユジンも料理は上手らしいが、母さんに教えてもらえばもっと上達するだろう。
来年の誕生日にはユジンの手料理でお祝いができるな。
今から楽しみだなぁ。」
お義父様が気持ちを引き立てるように言ってくださる。
するとお義母様はまた表情を固くして
「ユジンは忙しくてなかなか来られないんじゃありません?
その家庭家庭で味も違いますし。
第一、料理は愛情ですから、家族に美味しいものを食べさせたいという気持ちがないと…。
ユジンにその気持ちがあるのかどうか…。
私、ケーキを持ってまいります。」
お義母様は台所に立ってしまわれた。
〈ユジンにその気持ちがあるのかどうか…〉
私はその言葉に、ぎくりとした…。
その気持ちを打ち消すように、慌ててお義母様の後を追う。
ケーキの取り皿を私が差し出すと、
「あなた、スキー場で本当に仕事だけしているの?」と私を問い詰めた。
お義母様の厳しい目が〈口答えは許さない〉と言っている。
お義母様は私の心を見抜いていらっしゃるのだ。
私は何も言えず、目を伏せるしかなかった。
こんな気持ちのまま、サンヒョクと結婚しても今日のような冷たい食卓が待っているだけだ。
こんなふうに、自分の心に嘘をついて誤魔化しても皆が不幸になってしまう。
昔、ヒジンと二人だけの食卓でもこんなに淋しくはなかった。
忙しく働いて、一人で夕食を済ませているであろう母を思いながら、学校でのことや時には父の思い出話をしながら二人きりでも温かい食卓だった。
肉も買えず、豆腐と野菜だけのチゲ鍋でも、一日活動してお腹がすいた私達には充分おいしかった。
私は決心した。
こんな冷たい食卓を囲むことはもうしないと。
サンヒョクの為にも…。
…でも、それをサンヒョクはわかってくれない…。
コメントありがとうございます。
冬がく~れば思いだす~♪(笑)と言う感じで又ぼちぼち書いています。
(いつまでやってんでしょうね~爆)
読んでいただきありがとうございます。
ところで、体調はいかがですか。
先日久しぶりにそちらのブログを覗かせていただいたのですが、しばらくお休みとのことでコメントを控えさせていただきました。
お互い、今年こそ健康に過ごしましょう!
こちらも読ませていただきました。
一言『やられた!』
最後の一行が効きました。
いやぁー、ホンマに、参ったなぁ(笑)
またお邪魔します。
今年もよろしく♪
あけましておめでとうございます。
コメントありがとうございます。
私は同居の経験がないので、気楽な反面、子育てや家事を教えてくれる人が側にいなくて大変な時もありました。
もっとも、家事全般苦手な私に、やり手のお姑さんがいたらとっても勤まらなかったと思いますが。(苦笑)
お姑さんに限らず、どんな人に対しても『感謝』の心を持つことができたら、人間関係うまくいくんですけどね。なかなかこれが難しい。
私にとって、常に課題です。
ご挨拶が遅くなりましてすみません。
「冷たい食卓」読ませて頂きました。
私も 姑さんと同居しているので ユジンの気持ちがよくわかります。同居はメリットもあればデメリットもあります。私は 料理も下手だし 姑さんには絶対勝てません…。仕事をしているので 子供のめんどうを見てもらっているので あまり文句は言えません…。感謝しなくては…ね!っと思います。
ようこそおいでくださいました。
そうですね。
もし、ユジンがサンヒョクのことを本当に愛していてるのなら、他の理由があっても許したかもしれません。
「結婚するのなら、愛がなければ…。」と言っていますね。
チヨンはユジンの心を見抜いていたのかもしれません。
いつもコメントありがとうございます。
このお題をいただいたとき、あの誕生日の寒々とした食事風景を思い出して、これなら書けるかなと思うと同時に、食事というものをとても大切にする韓国の人たちにとって、ああいう食卓はとても耐えられないものではないかと思いました。
その後、チヨンは大事なサンヒョクに、きっと初めてであろう、手をあげてしまいます。
ユジンはこのとき、この結婚は無理であることを決心したのではないかと、この話しを書きながら改めて思いました。
私も子狸さんと同じ考えです。
大事な息子の結婚だからこそ、妥協できない。幸せになってほしい。
息子四人を持つ私も、いずれ通らなければならない道かもしれません。
さっそくコメントありがとうございます。
チヨンはある意味とても普通の善良な主婦なのだと思います。
ドラマではユジンの良さを認めようとしない、意地悪おばさんのようにも見えてしまいますが、夫のため、可愛い一人息子のために一生懸命働いています。
チヨンは女性のカンで、ユジンがサンヒョクのことを友人以上には思っていないことを感じ取っていたのではないでしょうか。
それ以外にも、ユジンの両親の結婚のいきさつや、裕福な家庭でないことも気に入らない理由にはなっていたと思いますが、いずれにせよ、サンヒョクの幸せを思ってのこと。
もし、結婚しても、ユジンとチヨンのあいだでサンヒョクは苦しむことになったかもしれませんね。
年頃の息子がいる私には、チヨンの気持ちがよくわかります。やはり結婚となれば幸せになってほしいのが親心ですから。チヨンにとって一人息子であればなお一層想いが強かったのかもしれません。
ユジンが本当にサンヒョクを愛していたなら対応は変わっていたと思えます。やはり親の直感は侮れません
ね。
さすがお局様…味のあるお話ですね。ありがとうございます。
このお話を読んで、いろいろと考えてしまいました。
誕生日を祝う食卓が楽しくないどころか、味もわからないなんて…。そんな食事が、永遠に続くなんて、耐えられません。ユジンの辛さが、身にしみます。そして、その決意に納得します。
でも……
もしかしたら、登場人物の中で一番平凡な性格かもしれないチヨン。彼女がユジンを嫌う気持ち…愛する一人息子サンヒョクを心から愛していないのではないか…その直感は、ある意味正しかったのかもしれません。
私には息子はいませんが、何度も見返すうちにそのような考えも浮かんできました。息子が不幸になるのをだまって見ている母親はいませんから。
お局様のお考えと違っていたら、ごめんなさい。
僕が、男のせいでもあるのか、なかなか感情移入がしづらくて…。
まだギョンヒの方が寡婦ということもあり、書きやすいんです。
でも、よく考えると彼女が一番哀れに思える時もありました。
こういう時のサンヒョク…。
本当にイライラしてしまいますね。