「こういうこと。」

震災から半年がたった。
稲穂は黄色く色づいて頭をたれ、もう何事もなかったかのようにいつもの秋を迎えているように見える。

テレビを見て、イーグルスのマー君の活躍に祝杯を挙げる。
子どもたちはなかなか勉強しなくて困るけれど、明日は今日の続きに違いない。そう思っている。でも、本当にそうなんだろうか。

福島の原発から仙台は90ｋｍ離れている。だから、大丈夫。本当だろうか？
チェルノブイリの原発事故では、120ｋｍ離れたキエフの子どもたちを3ヵ月半かけて全員避難させた、という。
日本では、福島の子どもたちでさえ、全員避難させていない。
そのせいで、家族で考え方が違い、お母さんだけが孤立してしまっている人、子どもたちを避難させるために離婚してしまった人、家族が友人が引き裂かれている。

去っていった子どもたちは、心に傷を負っていることだろう。
でも、お母さんたちは、心は慰めてあげられるけれど、身体が傷ついたら治せないからと、決断した。

そう、私たちは、政府や東電や学者先生の「大丈夫です。」「安全です。」という嘘のためにすでに被爆させられている。
そして、毎日毎日汚染された水を飲み、食べ物を食べている。

原発を許し、引き受けてしまった大人たちは仕方がない。
しかし、より放射線に対し感受性の高い子どもたちを被爆させるのは、人殺しだ。

なのに、私たちは本当のことを知りたがらない。
嘘でもいいから、「安全だ。」「大丈夫だ。」といってくれるほうを信じたがる。それも現実。

テレビや新聞の報道が少なくなっても、原発の事故が収束したわけではない。
今日も、大量の汚染水が流出し、大気中に放射性物質が放出されている。

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