[前回までのあらすじ]
ミニョンは余命三年の宣告を受け、ユジンと距離を置こうとする。
しかし、ユジンはその事実を知るとミニョンの側にいることを決意し、ミニョンに愛を告白する。
ユジンの真摯な姿に触れたミニョンはユジンの記憶を取り戻したのだった。]
[ユジンの母からの手紙]
「ユジン、元気ですか。
手紙、どうもありがとう。
先日ジュンサンのご両親がご挨拶に見えられました。
あなたからの手紙が来たときは、事の成り行きが良く飲み込めず本当に驚きましたが、サンヒョクやヒジンに話を聞き、ジュンサンのご両親にお会いしてよくわかりました。
ユジン、やっとあなたは望んでいたものを手に入れたのね。良かったわ。
私は最後までサンヒョクとの幸せを望んでいたのだけれど、それはあなたを苦しませるだけだったのね。
あなたの気持ちを分かって上げられなくてごめんね。
あなたとジュンサンのお陰でミヒさんとの長年にわたる蟠り(わだかま)も解くことが出来ました。ありがとう。
学校を卒業したらこちらへ二人で帰ってくるそうですね。
ヒジンもとても喜んでいました。
でも、あちらのご両親に申し訳ないような気もします。
アメリカに居るうちによくお仕えしてください。
あちらのご両親が私とヒジンをニューヨークに招待してくださったのだけれど、あまり無理が出来ないので、せっかくですがお断りしました。
あなたからもよくお詫びを申し上げておいてください。
本当はジュンサンにもお会いしたかったのだけれど…。
では、体に気をつけて、ジュンサンを大切に…。
母より」
ジュンサンとユジンは入籍を済ませると家族とごく近しい人だけで祝いの会食をした。
本来であれば、セウングループの会長を父とし、世界的ピアニストカン・ミヒを母とする新進気鋭の建築家イ・ミニョンの結婚披露パーティーはアメリカで盛大に行われるべきだったろう。
しかし、韓国に戻りカン・ジュンサンとして残りの時間を生きたいというジュンサンの願いをイ氏は尊重したのだった。
新しい生活を始めたジュンサンとユジンは早速『不可能の家』の建築の為に動き出した。
この作業を進めながら、これから二人でやってゆく仕事のペースを掴むと共に、『不可能の家』が出来上がったらそこで結婚式をする計画なのだ。
[自宅マンションの仕事部屋 『不可能の家』の図面を広げている]
「ねえ、ジュンサン、ここなんだけれど…」
「ジュンサン、どうしたの?」
気が付くとジュンサンはユジンの顔をじっと見つめていた。
「ユジン、僕はこの『不可能の家』の図面を描いている時、まだ君が会いに来てくれる前のことだけど、一人で描いているんだけれども、君と二人で君と話しながら作業しているようでとても楽しかったんだ。
ある時、思わず『ねえ、ユジン』と話しかけてしまったことがあってね、でも、見るとそこには、隣に君はいなくて、君と離れている現実を思い知らされて…辛かった。
ふふふ…。
もう二度と会わない様にしようなんて自分で言ったくせに、僕はそんなふうだったんだよ。
僕は、ユジンと離れて生きていかなければならない現実に淋しさに耐えられなくて、君の記憶を消してしまったのに…。
ユジン、…ありがとう。
僕を信じて待っていてくれたこと、本当にありがとう。
もう決して君のそばを離れない、何があっても。
…たとえこの肉体が滅んでしまっても、僕の『命』は君の側にいるよ。
許してくれる?
ユジンには、また辛い思いをさせることになる。
それは、僕にとっても何より辛いことだ。
でも、もうその苦しみから逃げることはしない。
ユジン、ごめんよ、辛い思いばかりさせて…」
「ジュンサン、…もういいの。
…ごめんなんて…言わないで」
「ユジン、やっと山頂のレストランでの約束を果たすことが出来るんだね。
覚えている?」
「ええ。
これからは一緒に感じて、一つ一つ一緒に作っていこうって。
あの時は、母にもあなたのお母様にも結婚を反対されていた時だったから、とても嬉しかったわ。
ほんとうに、諦めないでよかった…」
[キム次長からの電話]
「ミニョン、元気か?
頼まれていた土地の件なんだが、いい所が見つかったんだ。
ソウルからは離れているから住むにはちょっと不便だが、別荘のように使うならちょうどいい、お前の言っていた条件にもぴったりなんだ。
どうする?本当はユジンさんと二人で見に来てもらえれば一番なんだが、無理だろう?」
「ええ、先輩にお任せしますよ。よろしくお願いします」
「そうか。とりあえず写真を送っておくから見ておいてくれ。
ちょっと交渉に手間取るかもしれないが、また報告するから。
ところで、こっちにはいつ来るんだ?
まだしばらくニューヨークにいるのか?」
「ユジンの研究論文が出来上がって、卒業が決まったら帰ります。
またマルシアンで働かせてもらいたいんですが、席はありますか、キム理事。」
「おい、おい、ちゃんと理事室は開けてあのままにしてあるんだぞ。
お待ちしてますよ、イ・ミニョン理事!」
ミニョンは余命三年の宣告を受け、ユジンと距離を置こうとする。
しかし、ユジンはその事実を知るとミニョンの側にいることを決意し、ミニョンに愛を告白する。
ユジンの真摯な姿に触れたミニョンはユジンの記憶を取り戻したのだった。]
[ユジンの母からの手紙]
「ユジン、元気ですか。
手紙、どうもありがとう。
先日ジュンサンのご両親がご挨拶に見えられました。
あなたからの手紙が来たときは、事の成り行きが良く飲み込めず本当に驚きましたが、サンヒョクやヒジンに話を聞き、ジュンサンのご両親にお会いしてよくわかりました。
ユジン、やっとあなたは望んでいたものを手に入れたのね。良かったわ。
私は最後までサンヒョクとの幸せを望んでいたのだけれど、それはあなたを苦しませるだけだったのね。
あなたの気持ちを分かって上げられなくてごめんね。
あなたとジュンサンのお陰でミヒさんとの長年にわたる蟠り(わだかま)も解くことが出来ました。ありがとう。
学校を卒業したらこちらへ二人で帰ってくるそうですね。
ヒジンもとても喜んでいました。
でも、あちらのご両親に申し訳ないような気もします。
アメリカに居るうちによくお仕えしてください。
あちらのご両親が私とヒジンをニューヨークに招待してくださったのだけれど、あまり無理が出来ないので、せっかくですがお断りしました。
あなたからもよくお詫びを申し上げておいてください。
本当はジュンサンにもお会いしたかったのだけれど…。
では、体に気をつけて、ジュンサンを大切に…。
母より」
ジュンサンとユジンは入籍を済ませると家族とごく近しい人だけで祝いの会食をした。
本来であれば、セウングループの会長を父とし、世界的ピアニストカン・ミヒを母とする新進気鋭の建築家イ・ミニョンの結婚披露パーティーはアメリカで盛大に行われるべきだったろう。
しかし、韓国に戻りカン・ジュンサンとして残りの時間を生きたいというジュンサンの願いをイ氏は尊重したのだった。
新しい生活を始めたジュンサンとユジンは早速『不可能の家』の建築の為に動き出した。
この作業を進めながら、これから二人でやってゆく仕事のペースを掴むと共に、『不可能の家』が出来上がったらそこで結婚式をする計画なのだ。
[自宅マンションの仕事部屋 『不可能の家』の図面を広げている]
「ねえ、ジュンサン、ここなんだけれど…」
「ジュンサン、どうしたの?」
気が付くとジュンサンはユジンの顔をじっと見つめていた。
「ユジン、僕はこの『不可能の家』の図面を描いている時、まだ君が会いに来てくれる前のことだけど、一人で描いているんだけれども、君と二人で君と話しながら作業しているようでとても楽しかったんだ。
ある時、思わず『ねえ、ユジン』と話しかけてしまったことがあってね、でも、見るとそこには、隣に君はいなくて、君と離れている現実を思い知らされて…辛かった。
ふふふ…。
もう二度と会わない様にしようなんて自分で言ったくせに、僕はそんなふうだったんだよ。
僕は、ユジンと離れて生きていかなければならない現実に淋しさに耐えられなくて、君の記憶を消してしまったのに…。
ユジン、…ありがとう。
僕を信じて待っていてくれたこと、本当にありがとう。
もう決して君のそばを離れない、何があっても。
…たとえこの肉体が滅んでしまっても、僕の『命』は君の側にいるよ。
許してくれる?
ユジンには、また辛い思いをさせることになる。
それは、僕にとっても何より辛いことだ。
でも、もうその苦しみから逃げることはしない。
ユジン、ごめんよ、辛い思いばかりさせて…」
「ジュンサン、…もういいの。
…ごめんなんて…言わないで」
「ユジン、やっと山頂のレストランでの約束を果たすことが出来るんだね。
覚えている?」
「ええ。
これからは一緒に感じて、一つ一つ一緒に作っていこうって。
あの時は、母にもあなたのお母様にも結婚を反対されていた時だったから、とても嬉しかったわ。
ほんとうに、諦めないでよかった…」
[キム次長からの電話]
「ミニョン、元気か?
頼まれていた土地の件なんだが、いい所が見つかったんだ。
ソウルからは離れているから住むにはちょっと不便だが、別荘のように使うならちょうどいい、お前の言っていた条件にもぴったりなんだ。
どうする?本当はユジンさんと二人で見に来てもらえれば一番なんだが、無理だろう?」
「ええ、先輩にお任せしますよ。よろしくお願いします」
「そうか。とりあえず写真を送っておくから見ておいてくれ。
ちょっと交渉に手間取るかもしれないが、また報告するから。
ところで、こっちにはいつ来るんだ?
まだしばらくニューヨークにいるのか?」
「ユジンの研究論文が出来上がって、卒業が決まったら帰ります。
またマルシアンで働かせてもらいたいんですが、席はありますか、キム理事。」
「おい、おい、ちゃんと理事室は開けてあのままにしてあるんだぞ。
お待ちしてますよ、イ・ミニョン理事!」