大物忌神社の山小屋宿泊料金、今季は終了しましたが今年の分を見ると素泊まりでなんと税別七千円。コロナの影響で寝具はなし。これに食事が朝夕の二食がつくとなんと10,000円です。鳥海山の山小屋の宿泊料金はどのように変遷=値上がりしてきたのでしょう。斎藤政広さんんの「山と高原地図 鳥海山・月山」では2013年版ですが宿泊料金の記載はありませんでした。インターネットの発達によって簡単に調べられるし、料金の変動に出版物の改定が追いついていかない、不正確な情報を届けてしまうことになるのでやむを得ない事とは思われます。
WEB上では過去の山小屋料金の情報を調べるのは不可能のようです。手元にある資料で宿泊料金の書いてあるのは、「秋田の山歩き」(1987年、無明舎出版)、「東北の避難小屋144」(2002年、随想舎)、「山と高原地図 鳥海山」(1976年~、昭文社)。祓川の浅吉小屋、祓川神社、旭荘の料金も書いてありますが割愛します。直近の山小屋料金は大物忌神社HP, 各管轄自治体のHPを参考としました。「秋田の山歩き」(1987年)は1986年の下の表と同じ、「東北の避難小屋144」(2002年)の小屋料金は1999年と変わっていません。よって表はすべて「山と高原地図 鳥海山」に依りました。
山頂小屋 |
御浜小屋 |
河原宿小屋 |
滝の小屋 |
鉾立山荘 |
祓川ヒュッテ |
出版年 |
出 典 |
出版社 |
素泊り |
食事付き
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素泊り |
食事付き |
素泊り |
食事付き |
素泊り |
食事付き |
素泊り |
素泊り |
|
|
|
1,200円 |
2,500円 |
1,200円 |
2,500円 |
改築中 |
1,200円 |
2,500円 |
400円 |
200円 |
1976 |
山と高原地図 鳥海山 |
昭文社 |
2,500円 |
4,000円 |
2,500円 |
4,000円 |
2,500円 |
4,000円 |
2,000円 |
3,500円 |
600円 |
1,000円 |
1986 |
山と高原地図 鳥海山 |
昭文社 |
3,000円 |
5,000円 |
3,000円 |
5,000円 |
3,000円 |
5,000円 |
2,060円 |
3,660円 |
1,230円 |
1,030円 |
1991 |
山と高原地図 鳥海山 |
昭文社 |
3,000円 |
5,000円 |
3,000 |
5,000円 |
3,000円 |
5,000円 |
2,060円 |
3,660円 |
1,230円 |
1,030円 |
1992 |
山と高原地図 鳥海山 |
昭文社 |
3,000円 |
5,000円 |
3,000 |
5,000円 |
3,000円 |
5,000円 |
2,160円 |
3,960円 |
1,300円 |
1,300円 |
1995 |
山と高原地図 鳥海山 |
昭文社 |
3,500円 |
6,000円 |
3,500 |
6,000円 |
3,500円 |
6,000円 |
2,500円 |
4,500円 |
1,300円 |
1,370円 |
1999 |
山と高原地図 鳥海山 |
昭文社 |
7,000円 |
10,000円 |
7,000 |
10,000円 |
閉 鎖 |
2,500円 |
5,000円 |
2,500円 |
1,830円 |
2021 |
大物忌神社HP、管轄自治体HP |
山頂小屋、御浜小屋、河原宿小屋は大物忌神社の経営、その他は各所在する町の管轄です。河原宿小屋は2011年(平成23年)、東日本大震災にこじつけて閉鎖されました。(当時の大物忌神社のHP には震災の影響により、と書いてありました。)採算が取れなかったんでしょうね。食事に関しては夕食、朝食の二食付きの値段です。鉾立山荘は1987年以前は昔の建物です。鉾立山荘の1986年と1991年の料金上昇幅が祓川ヒュッテと比べて大きいのは新築になったためと思います。
消費税導入は1989年(平成元年)4月1日ですのが上記表の1991年以降、税別表記と思われます。2021年の大物忌神社は税別と記載されていましたがその他の施設に関しては税別か税込みかは書いてありませんでした。
1976年頃、給料はどのくらいだったか、いろんなものの値段はどうだったか、記憶はほとんどありません。2021年を物差しにして昔は安い、今は高いと考えるのは簡単ですが、こういった値段というものは同時代として考えなければいけません。当時として山小屋を利用する人にとって高かったのか、妥当な値段だと感じていたのか、ということですね。こういった歴史的な事柄は今を物差しに考えてはいけません。
山頂の夕食といえば昭和の終わりころでしたでしょうか、小屋番のおば(あ)さん、袋に入ったレトルトハンバーグを温めてそれを袋から出さずにそのまま登山客用の発泡スチロールの皿へのせて出していました。ある日、交代で山頂へやってきた神主さん、それを見て慌てて客へ出す前にハンバーグの袋を切り、盛り付けしなおしました。先日蕨岡の山本坊へ行ったときに、その時の話が出て鳥海さん「あのハンバーグはないよなあ」。そのおば(あ)さんご夫婦の前は山本坊御夫婦が山頂小屋の炊きをしていました。
今年御浜迄行ったとき、前の滝の小屋の管理人Sさんと一緒になりましたが町営の小屋で予算が決められているものだから食事はなかなか大変だったといっていました。まあでも山小屋はレストランではありませんので山小屋に下界と同じかそれ以上のメニューを求めて登っていくのもどうかと思いますね。
小さい画面だと表が見にくいと思いますがご容赦ください。