鳥海山近郷夜話

最近、ちっとも登らなくなった鳥海山。そこでの出来事、出会った人々について書き残しておこうと思います。

古いパソコンに悪戦苦闘

2023年06月28日 | 兎糞録

  古いノートパソコンがある日突然Wi-Fi接続不能に。機種が古すぎて対処が不明、何やらそれらしき事例もあるようなのですがなんだかうまくいかない。これはwindows10の修復しかないかと。

 実行した所が

Your PC Ran into a Problem and needs to restart. これの無限ループに。BIOSもチェックしたけれど何も変わらず。

 それならばと、SSDを取り外しフォーマット。(無料のEaseUS Partition Masterが便利)

 そこからwindows10をインストール。ところがやはりWi-Fiは無効のまま。診断ツールを用いてもダメ。そこで思い浮かんだのがUSBタイプのWi-Fiアダプターを取り付けては如何。これはAmazonをポチるよりは近所の家電量販店に行った方が早いかと。どうせ古いPCにはUSB2.0しかついていないし部屋には有線の他にWi-Fi中継器もあるし、と一番安いものを購入。

※ 二階の旧居室に光回線の装置はそのままあるので一階へは有線のLANケーブルを30m延長。二階のWi-Fiは一階までは届くことは届きますが安定しません、なので現在使用中はスイッチングハブにTP-LinkのTL-WR802N、無線LAN ルーターは発熱のすさまじいものもありますので調べてから購入しましょう。TL-WR802Nは発熱もなく速度にも不便は感じません。

 結果はうまくいきました。雨の休日はこれで半日終了。ついでにofficeも入れておきましょう。


ブックスキャナーを導入

2023年06月26日 | 兎糞録

 ブックスキャナーの前に、今日見つけた変なものダイソーのBluetoothオーディオレシーバー。有線イヤホンを簡単にワイヤレス化できるというものです。

 PC に接続してみたらPCのBluetooth アダプタが安物のせいか、マウスは動くのですがこちらは音がブツ切れになって使い物にならず。iphoneにつないでみたら鳴りはするけれど音悪し。というお遊びでした。

 さて、本題のスキャナーについて、

 CZUR Shine Ultra Pro a3 を使ってみて便利ではあるけれど使い心地の悪いところも大。スキャンしたもの端の方がピントがずれることが多々あり、見開きの本のスキャンに適していて画像の歪みも補整機能がある、とは言うものの一冊スキャンした場合の歪みはかなりの数、読むに堪えないほど。これをページごとスキャンするのは至難の業。解像度は良い、A3までスキャンできるとは言っても画質はフラットヘッドスキャナーと比べれば歴然。

 資料として本をスキャンし文章を引用するために、また入手が難しい本を見つけた場合電子化しておくために、図書館で使っているような高価なものは買えないけれど何か良いものは、と探していたところ丁度良いフラットヘッドのブックスキャナーが中古でしかも未使用に近いものが安く手に入りました。

 初日からスキャンしたものの保存場所の設定が思った通りの場所にならずメーカーサポートとチャットでやり取りしながら進めたりと大変でしたがもう少し使えば慣れるだろうと試行錯誤中。家族からは何をそんなものを買って、と白い目が。

 メーカーはPlustek、台湾のメーカーです。品番はOpticBook 4800

 ガラス面が端に寄っています。ここに本を開いてのせます。

 エッジから2mmの所からスキャンできます。編集可能なPDF 、JPG、TIF 様々な形でスキャンできます。右頁から左頁へとスキャンして本は天地逆になりますがちゃんと補整してくれます。出来上がりはもちろん余計なものの映り込み等は修正する必要はありますが歪みは皆無。

 とりこんだものはそのままでも読めますが余計に映り込んだものや少しの傾きは別途補整、修正する必要はあります。

 少々傾いていますし、周囲も映り込んでいます。これはトリミングで

 これを再度A4等に印刷すれば体裁はそろいます。

 もちろんOCR化もできますから引用に必要な個所はコピー、但しOCRも100%の精度は無いので原文と照合、間違いのないことを確認する必要があります。

 非破壊スキャナーはオーバーヘッド型が主流のようですけれど、雑誌ではなく書籍となると図書館で使っているようなものは別として、個人が使うものとしてはフラットヘッドの方が遥かに良いです。なんといっても歪みがありませんしピンボケもありません。

 国産ではサンワサプライがあるくらい、これもOEMかもしれませんが。それにしても台湾のメーカーはすごいですね。中つ国に侵略されませんように。


ガサ海老

2023年06月24日 | 兎糞録

 ガサ海老、地方によって呼び方が違うらしいですが甘エビの隣に置いて売られています。見た目が悪いと思われるようで味を知らない人は甘エビの方を選びます。しかし刺身にした時のその甘さたるや。見つけたら買いです。これで480円。


開高を先導して清水屋デパートの五階に上っていくと、彼は妙な顔をしている。まさかデパートの食堂へ連れてこられるとは思わなかつたのである。果たして開高は、それまでにも増して不機嫌そうな顔つきで席に着いた。
 支配人の久一が青いグラスの小瓶を手に、滑らかな足取りで近づいてきた。
「これは、私の実家でつくつている初孫という酒です。アペリティフにお飲みください」
 久一は透明な液体をグラッパグラスに静かに注ぐ。グラスの外側がたちまち白く曇る。
フランス料に日本酒とは。開高は怪訝そうな顔でグラスの冷酒をー ロ啜った。とたちまち深山の湧水にも似た清冽な流れがロの中に広がつていく。
 かつてサントリ—社員だつた頃、開高は和食に合う酒としてウイスキ—の水割りを プロモ—ションしていた。これはその逆だな。
 開高は唸った。
 本物の酒だ。無垢にして 豊穣、香り高くかつ味に切れがある。すかさず、前菜の 「うずらの網焼き」が開高の前に置かれた。
 ル ポットフーの夜の、はじまりである。
 食事中、佐藤は幾度も開高をまじまじと見やった。こんなに食べることこ真剣な男に、初めて出会ったからである。グラスを重ねるごとに、寡黙だった開高の舌は渭ら かになっていったが、彼が話より料理に心奪われているのは明らかだった。
 「トマト入り牛せんまいのグラタン」のあと、酒はワイン、プーイィ・フュイッセの 白に変わる。「がさ海老のマリニエール」「真ソイのポワレ」と続き、ワインはボルドーの赤になる。メインディッシュの「アントレコート・マルシャン・ド・ヴァン (最高級牛ロースステーキ酒商人風ソース) 」の皿が目の前に置かれると、開高は会話を中断してじっと皿の一品を見つめ、挑むかのようにナイフとフォークを握りしめるや、肉厚のステーキを切り分けてロの中に放り込んでいく。(岡田芳郎「世界一の映画館と日本一のフランス料理店を山形県酒田につくった男はなぜ忘れ去られたのか」)より


 ここに登場する「がさ海老」です。子供のころからの大好物のひとつ。

 それともう一品、今日見つけたのは、

 地元で水揚げされたイカの塩辛。生臭さは一切ありません。これらを目の前にして飲まずにはいられません。


御倉座大國主大神

2023年06月23日 | 鳥海山

 今は完全に娯楽のための山になってしまっていますが地元に生まれ地元に住む人にとっては鳥海山は特別な山のままでしょう。昭和三十年頃まではまだ信仰の山でした。先達に導かれて拝所に祈りをささげながらの登拝行、すでに多くの拝所は忘れ去られつつあります。

 その中の一つ、今では訪れる人もない荒神嶽の大黒様、正式には御倉座大國主大神おくらざおおくにぬしおおかみと言います。前にも紹介していますが今一度見てみましょう。


行者嶽ぎやうじやたけ岩頭がんとうえん小角おづぬ道路みちとほしたる紀念きねんとして自其かたちきざみしたるものなりと傳ふ風雨蝕あめかぜしよくして古香高こかうたかし此より左折させつ鐵梯てつてい千歲せんざいたにくだれば陰崖いんがい幽暗ゆうあんひとをして悚然しようぜんとして毛髮もうはつ竪立ちよりつせしむ仰見あふぎみ一帶いつたい新山しんざん雄大豪宕いうだいごうとうとして巨嚴聳きよがんそびえて萬丈だんぢやう絕壁ぜつぺきつく大石陷たいせきおちいりて千仭せんじんたに異樣殊態いやうしゆたい形容端睨けいようたんげいすべからず漸くなゝめのぼれば〇御藏おくらに達す大國主少名彥名おほくにぬしすくなひこなの神を祭る〇胎内たいない奇洞きどうくゞ新山しんざんに登ること約三四町にして御本社に達す〇御本社は後ろうしろ尨大ばうだいなる巨巖傲然きよがんがうぜんとしてそばだ莊重さうぢう石壘せきるゐは高く四周を圍繞いぎやうなか蕭潔森々しようけつしんゝ莊麗瀟洒さうれいしようしやたる神殿しんでんあり是實に大物忌の大神を鎭齋ちんさいする處にして神境靈域しんきやうれいゐきたり



 上記文章の時代、明治末頃の大黒様

 登山道は蕨岡口、御峯から行者嶽に至り千歳が谷(現在の呼称では千蛇谷)に下りそこから荒神嶽に向かい大黒様を拝します。そこから新山に向かうのがこの頃の道だったということがわかります。

 現在は行者嶽から新山へ向かう道も巨岩の崩落で通行止めになって久しいです。又七高山から新山へ向かう道もそう長いことは無いでしょう。


おそらく昭和中頃、畠中善弥「影鳥海」所載の大黒様


昭和末の大黒様


2021年9月5日の大黒様、鳥海山登山ガイド佐藤正俊さん撮影

 既に相当風化しているようです。後ろの岩には墨で書かれた文字のようなものがあったのですがそのことについて書かれた物は一度だけ何かで読んだことがありますし、実際その文字のようなもの目にしました。

 鳥海山が長い眠りから覚めるのもそう遠い将来の事ではないかもしれません。自然の変化のみならず近年は人の手が加わったことによる登山道の崩壊、洗堀が激し勢いで進んでいるようです。

 一人でも多くの人が、鳥海山に

 

 来ないことを願います。


蕨岡大物忌神社旧拝殿

2023年06月22日 | 鳥海山

 先日鳥海山ガイドのSさんが山頂まで行ってその写真をFacebookにupしていましたが写真の説明にあるように七高山も縦に亀裂が入り割れかかり危ない様子。七高山から新山への道もかなり危険になっているようです。七五三掛から千蛇谷への道も荒らしく削りとられたまま。どこもいつ事故が起きても不思議はないようです。Facebookのアカウントがある方はこちらをご覧ください。又写真家の斎藤政広さんもFacebookに長坂道から鳥海湖への木道の荒れた姿をのせています。こんな斜面に木道を設置すれば崩れるのは時間の問題だったでしょう。膨大な雪が毎年その上にかぶさりそれがずり落ちていくのですから。これはここにこういうものは作るなという山の警告でしょうか。

 さて今回紹介するのはこちら。

 なんだ、唯の古い写真じゃないか、と。ところがこれ、明治末の写真。拝殿が松嶽山上にあったころの写真です。

「蕨岡は鳥海山の南麓にして其丘腹に家居す古來鳥海山上鎭座大物忌神社の拜殿一王子大堂(今は口の宮と稱す)の在る處にして拜殿は丘上に在り(古は丘腹にありしが幾多の變遷を經て明治廿八年今の地に建築せり)以て山上山下一連同體自一社の體裁を爲せり」(太田宣賢・鳥海山登山案内記)

 この案内板の図の一番上に拝殿跡とありますがそこにあったころの写真です。今は石碑が立っているだけです。

 案内図で見ると拝殿跡迄大したこともないように見えますが石段の数、太田宣賢「鳥海山登山案内記」には次のようにあります。

「境内の石階中最も長くして且つ急なるもの六十間にして階段三百四十を算ふ酒田の富豪本間氏老幼の昇降を援けんと慾し同長の鐵欄を架せり」

 そこへ行くまでの石の階段と手摺です。これからの季節は虫が多く飛び交い登には不適。挑戦しようとする方は秋がよろしいでしょう。

 以前にも紹介した写真、

 これも同じころです。

 これも案内図にある山の上の方です。

 現在の拝殿。古い写真の拝殿を解体して右方の山肌をワイヤーを用いて降ろしこの場所に組みなおしたということです。屋根は銅板葺きになっていますが旧拝殿は日檜皮葺だったそうです。鰹木の数も違います。

 なお遊佐町教育委員会の「鳥海山麓 遊佐の民族」にはその時の貴重な写真が掲載されています。