山なのに「モリ」と呼ばれるのは神が降りてくる場所だからだそうです。舟森山もかつては舟森と呼ばれていたかもしれません。東北地方日本海側には「モリ」と呼ばれる山が多くあります。鳥海山にも「モリ」と呼ばれる山が多くあります。
大正三年陸地測量部1/50000地形図吹浦より
地形図中央右寄り箕輪集落の北西に田圃の真ん中にぽつんと取り残されたようなところが舟森山です。⛩の記号がありますが祠は今もあります。またここは箕輪の集落の墓地にもなっていて墓石も並んでいます。神社に墓石、神仏習合の名残でしょうか。死者の霊は高いところに登るそうですからこの周辺の人々の霊はこの舟森山へ登り、それを祀ったということでしょうか。鳥海山、特に破方口は死者の霊を祀ったところのようです。
またこの⛩の記号の西北にもう一つ⛩がありますがこれは丸池神社。今は有象無象の観光客が訪れるところです。そこから西北に目を向ければ大物忌神社吹浦口の宮の⛩があります。そこからの登拝道も書いてあります。この登拝道は女鹿からの登拝道と陣屋のあたりで合流していたようです。現在はこれらの道は確認することは出来ないということです。上の地形図に見える等高線はすべて鳥海山から噴出した熔岩です。いたる所湧水があります。
舟森山
同じところを最新の国土地理院の25000地形図で見てみましょう。
国土地理院オンデマンド地形図25000より
ちゃんと標高も書き込まれていますね。⛩記号は省略されています。梅花藻で有名になった牛渡川の名称も記載されています。(かつては社格で地形図に⛩を載せたのでしょうか。)
亡くなった先代のラーメン味好の鈴木さんはこの牛渡川に水中カメラを構えて潜り撮影していました。体の大きな大将だったのでそれを見た人が、「トドが潜っている!」といったとか。子供を連れて味好にラーメン食べに行くと、「おじさんはお父さんの良い方の友達だからね、」と強調するのでした。
国土地理院の地図に表記する川の名称などの自然地名は、地元地方公共団体からの申請に基づいているのだそうです。なのでその自治体が歴史認識を欠いているか、無知であるかすれば誤った名称が記載されるわけです。いくら土地に根差す人々の呼称、名称があったとしても。
※オークションサイト等で陸地測量部の地形図が結構いい値で出品されていますが、これらは国土地理院に依頼すれば謄本として柾版地図を購入することが出来ます。しかも折り目なしできれいなものを郵送してもらえます。使用目的などを記入する申請書はひつようになりますがすべてオンラインで手続できますので必要事項を記入してボタンをポチ、後は到着を待つだけです。送料いれても大した金額にはなりません。
※国土地理院に昔の地図において鳥居記号を記載するための