180702 地方議会の意義 <地方議会 広報紙「議会だより」、議員名示し堂々と>を読みながら
早朝、軽やかに野鳥の声が響き渡っています。今朝はとりわけ威勢がいいのです。ヒノキの梢に視線を向けると、ホオジロが2羽少し離れた位置で留まって、お互いが軽やかに鳴いています。つがいなのでしょうか。結構長く鳴いていました。気持ちよさそうです。
野鳥も個々に個性を持っているのでしょうね。ホオジロとしか私たちは識別できず、ひとくくりにしますが、それぞれ実際は違うのでしょう。もっと観察を丁寧にしたいと思いつつ、識別能力がないため、なかなかうまくいきません。
地方議会の話に移りますが、その活性化を掲げたのはいつからでしょう。最近では?平成12年の地方分権一括法のとき、地方の時代、地方議会が躍進する時代と期待した向きもあったかと思います。私もそんな集まりに呼ばれて少し発言したのを記憶しています。
どうも大きな変化もなく、安倍政権になると中央政府のなかでも、内閣府にさらに権力が集中して、いくら地方分権と言っても、中身は抽象的で、実体が伴わない感じです。
そんなとき今朝の毎日記事は<地方議会 広報紙「議会だより」、議員名示し堂々と 専門家、活動や発言「オープンに」>との見出しで、<議会広報 質問者名なし>と銘打っています。えっと驚いてしまいました。野鳥の場合は私たち観察者の能力と努力が足りないから、個別識別ができませんが、議会広報では議員側、議会側が議員個人を識別させないようにしているというのですから、これはどういう感覚でしょうと思うのです。
橋本市の議会広報では、議員の名前顔写真が掲載されており、質問内容と行政側の回答を併記して、個々の議員の主たる活動分野が一応、分かるようになっています。私はこの程度は当たり前と思っていたのですが、ところが全国的に見るとどうやら先進的な?取り組みのようです。
各地の議会の対応については、<自治体の議会が発行する広報紙「議会だより」に、質問した議員の氏名を掲載するか否かで対応が分かれている。全国20政令市議会について調べると、4議会が名前を載せておらず、どの議員がどんな質問をしたか分からない体裁の広報紙もある。こうした中で、静岡市議会は投票率低迷や議会改革を理由に、「議会を身近に感じてもらう必要がある」と、6月発行分から氏名掲載を始めた。>
こういった議員名を出さないことに一定の理由があるようです。
<名前を掲載するか否かの判断は各議会に委ねられている。会派名のみを掲載する横浜市は「質問者は各会派を代表している」(市会議会局)と説明する>そうです。たしかに大きな議会だと個々の質問者といっても会派を代表する立場なのかもしれません。しかし、それでよいのでしょうか。
この点、<隣の川崎市議会は氏名だけでなく顔写真や選出区名も掲載する。川崎市議会局によると、以前は会派の代表が質問する代表質問の会派名のみだったが、市民から「(個々の議員による)一般質問も」との声があり、2008年から質問者の氏名と写真、11年からは一般質問は選出区名も載せている。担当者は「できる限りオープンにしている」と話す。>
結局、工夫次第というか、やる気次第でしょうね。首都圏で仕事をしているときは政令都市や中核都市の議員とは連携していろいろ業務をしていましたが、そういう方はとても熱心な活動をされていたように思います。むろん立場が違えば、違った見方もあり得ますが。
しかし、改善の必要はあるでしょうね。すでにその動きもあります。<改善に乗り出した議会もある。静岡市議会は6月分から、代表質問をした議員の氏名や、一般質問に立った議員の氏名と所属会派の掲載も始めた。従来は代表質問は議員の会派名と質問者の顔写真を掲載し、一般質問は質疑応答のみだった。議員数が少ない会派は質問が回ってくる回数が多いため、「名前が出る頻度が高く、不公平」などの意見があったためという。>
こういう動きの背景について<議会が動いた背景には、昨年3月の市議選時の過去最低の投票率(41・16%)がある。田形清信議長は「議員が自分の発言に責任を持つことが大切。どんな質問をしたかが分かれば市民も政策に興味が出る」と期待する。>
しかし、質問した議員の名前や顔がのるだけでは十分であるはずはないですね。だいたい、議会広報くらいに掲載される質問内容は、ほんのわずかで、議会事務局の編集で、換骨奪胎の場合もあるでしょう。逆に行政側に我田引水されるような内容になっている場合もあるかもしれません。
ま、議会事務局としてはそのようなことがないようにうまく編集しているとは思います。しかし、わずかな文字数では議員の個性や活動領域を理解するのは容易でありません。
その点、横須賀市などは、ずいぶん以前から議会の審議事項はウェブ上で質疑応答すべて見ることができ、検索も可能だった記憶です。横須賀市全体がネット利用をかなり早くから取り入れていて、航空地図などと都市計画など行政計画や規制をすぐに把握できるものが詳細な宅地一区画ごとに表示できるなど多様な情報提供を20年以上前から行ってきています。
私自身は市議会の傍聴をしたことはあまりなく、議員の活動的な部分をよくわかっていませんが、傍聴席が満員になるような興味深い議論や質問をどのくらいできているのでしょうか、少し心配です。
北米の市議会はなんどか傍聴しましたが、相当活発に議論していますし、とりわけゾーニングの変更などのときは、傍聴者もすごく多いですね。熱気も違います。
議会広報は、名前を載せる載せないも大事ですが、その内容がどうも単調に並べている印象をぬぐえません。むろん議会での審議を反映するものですから、それが活発でなければ、後方で脚色することも無理な話でしょう。紙面の分量の限界は、ネット情報で補えば、量的問題はクリアしますね。もっとネット配信を充実してもらいたいものです。
その前提の、審議を充実するにはどうするか、議会の権限を強化することも大事ですが、地方分権の実を上げて、権限強化を図らないと、質疑も充実したものになりにくいと思うのです。と同時に、議員個人のスタッフの増員と能力強化もありますが、最低でも議会スタッフの強化はあってもいいのかなと思うのです。
とはいえ、政治活動費の出費とか、調査旅行の現状を見ると、現在の地方議員に襟を正してもらわないと、安易にそういった支出増は住民の支持がえらえないかもしれません。
あちこち話が飛んでしまいましたが、議員に頑張って欲しい、期待したい気持ちは変わりませんので、こういった声が届くようなことがあれば、いっそう広報に、そして審議に力を注いでもらいたいと思うのです。
今日はこれにておしまい。また明日。