たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

水道工事の不可解さ <大阪市水道工事不正 掘削土、再利用ゼロ>などを読みながら

2018-07-05 | 企業・事業・研究などの不正 適正な支援

180705 水道工事の不可解さ <大阪市水道工事不正 掘削土、再利用ゼロ>などを読みながら

 

ここ数日、いろいろ相談や交渉があって、のんびりとブログのテーマを考える余裕がなくなってきています。宗教法人の公告方法とか、墓地使用権承継手続とか、農地か非農地かとか、施設職員の行為と施設の責任の問題とか、建物賃貸借の契約締結上の過失とか、その他あげると切りながないほどです。

 

とはいえ、それが弁護士の仕事ですので、特段変わった話ではありませんが、普段は認知症にならないためのブログ更新?をやっているような環境では、ようやく落ち着ける6時過ぎが暑さも和らぎ?いい感じでしょうか。

 

さて昨夕の毎日記事で、前川氏講演 後援を拒否という見出しは気になるものの、<大阪市水道工事不正掘削土、再利用ゼロ 試験偽装 工事費数億円過大か>も見過ごしにできず、こちらを取り上げることにしました。

 

どうやら奥が深いようです。昨年1110日付けの<大阪市水道局発注工事における不適正な施工について>とか、本年330日付け<スラグ混合改良土使用工事に係る不正事案に関する調査報告>があります。

 

前者は昨年1110日の調査結果で、工事で使用された土の材料に次の問題があったとしています。

 

<ウ 「埋戻土」については、当該工事で掘削時に発生した残土がそのまま埋め戻されたものではなく、改良土が使用されていたものの、受注者より当局に提出された品質試験成績書の粒度分布とは異なること>と品質的に問題の改良土が使われていたこと、

 

<エ 「上層路盤材」については、再生砕石(RC)が使用されており、当局の土木工事共通仕様書で定める粒度調整砕石(M25)とは異なること>と仕様書と異なる材料が使われているとしています。

 

これは専門的な表現で、これだけ読んでも、その不適正さの度合いがぴんときませんね。専門的な報告だからそれでいいではすまないと思うのです。大阪市のウェブサイトとしては、市民にわかりやすい説明責任があると思うのです。

 

後者の調査報告は、私の記憶ではこの問題の方がイメージとして残っており、下水汚泥のスラグを再利用するはずが、されていない問題としてクローズアップされたと思うのです。これもまた大阪市の内部調査で、建設局によるものですが、だいたい最初の「調査に至った経過」でも、なぜ「下水処理の過程で発生する下水汚泥溶融スラグ」の利用が問題になって、調査するに至ったかが具体的に示されていません。

 

なにが問題か、その問題点が示されていないのですから、その調査対象をどう絞り込んだか、どのように調査したかの適切さが判断できにくい記述となっていると思います。

 

技術的な調査報告だから、これでよいと内部的にはいいのかもしれませんが、市民への説明としては十分とは到底思えません。

 

この点、毎日記事<堺市水道工事改良土不正、掘削調査へ 業者立ち入りも検討>を手がかりに、堺市のウェブサイトで見つけた<第1回堺市上下水道局発注の管布設工事埋戻し工に関する検証委員会>は、スライド用ファイルですが、弁護士を含む第三者委員会として調査を行い、その概要が的確に指摘されていて、市民にも理解しやすいようになっています。

 

興味深いのは、その調査経緯について触れた部分です。

<大阪市水道局発注の管布設工事における不適正な施工についての報道

大阪市発注の下水道工事における不適正な施工についての報道

・本市においても上下水道局発注の管布設工事埋戻し工について調査>

 

と大阪市の不適正施工の報道を受けて、他山の石として、堺市も調査をしたというのです。そこには下水道工事をめぐる関係企業などに共通の基礎があることが要因と言えるかもしれません。

 

改良土をめぐる内部調査では不適正が明らかにならず、外部調査を実施して一定の解明になったようです。そこには構造的な問題があったと指摘されています。

 

たとえば<平成30年3月1日 改良土メーカーA社のプラントが平成2710月から休止状態という情報をA社から得る>といった点です。そこに伝票を通じて適正な材料使用を確保していたシステムに破綻が生じていることが容易に判明できるわけですね。

 

すなわち偽造伝票です。その背景について、次のような指摘がされています。

 

<・過積載することにより運搬回数を減らし経費を削減

・建設発生土を埋戻し材に流用することにより経費を削減

・建設発生土の搬入先と改良土の購入先が違う(仕様書に反する)

・グループ企業共有の資材置き場にある改良土を使用したため伝票がない>

 

わかりやすいまとめですが、それで済むのか、また全体の工事の不適正さが解明されたのかは、今後の調査を待ちたいと思うのです。

 

で、昨夕の毎日記事は、<大阪市発注の上水道工事で、最初に掘削した土の一部を埋め戻し材として再び使えば工事費が抑えられるのに、全く再利用されていないことが、市への取材で分かった。施工業者は掘削土を埋め戻せるか現場で試験をする決まりだが、複数の業者は取材に「再利用できないよう試験を故意に偽装し、利益を水増ししていた」と明かす。近年は市への再利用の報告は一件もなく、年間工事費が数億円過大だった可能性がある。【遠藤浩二】>

 

大阪市の事例では、掘削土を埋戻土として使えるものがあるのに、高価な改良土を利用して、費用が増大しているわけですね。

 

先に述べたのは<市の水道工事を巡っては、改良土を使ったと偽装し、実際にはコンクリートを砕いた安価な砕石を使う不正が横行していた>ということですが、今回の報道は別の不適正使用ですが、実質的には共通していると言って良いでしょう。

 

ところで、これらの報道で見落とされている、下水汚泥のスラグや、再利用されなかった掘削土は、一体どうなったかです。いずれも産廃です。本来、これらもマニフェストとして伝票により発生源から産廃処分場まで明確に流れが残っていないといけないはずです。

 

本来と異なるルートに流れたわけですから、この流れについてもきちんと調査してもらいたい、そこに介在している業者なども明らかにしてもらいたいと思うのですが、どうも調査がそこまで手が回らない雰囲気です。

 

途中で、電話が入り、長話となり、一時間で終わるつもりが、8時になろうとしていますので、こんへんでおしまいとします。いつも中途半端ですが、ご寛容ください。また明日。