たそかれの散策

都会から田舎に移って4年経ち、周りの農地、寺、古代の雰囲気に興味を持つようになり、ランダムに書いてみようかと思う。

浜の真砂と不法投棄 <西日本豪雨 不法投棄土砂、住宅目前に・・>などを読みながら

2018-07-26 | 災害と事前・事後

180726 浜の真砂と不法投棄 <西日本豪雨 不法投棄土砂、住宅目前に・・>などを読みながら

 

緑豊かな山の頂上に裸地がむき出しで無残な様子が映っています。キャプションには「不法投棄などで土砂崩れの原因となった造成地」とあります。たしかにひどい「造成」地と見えます。しかも場所は京都・伏見で、夜景や散策で有名?な大岩山の南斜面というのですから、こんなひどいことをと思わざるを得ません。

 

それは今朝の毎日記事<西日本豪雨不法投棄土砂、住宅目前に 崩落防止工事中に豪雨 京都・伏見>で、見事に切り取られた写真が物語っています。

 

どんな場所か、改めてGoogle Earthで確かめました。北方を見れば東山の名峰が続き、南に転じればは、木津川の沿いに広がる平野です。すぐ西方には桃山大地震で全壊した伏見城跡があり、決して安全なところともいえませんが、著名寺社仏閣が一杯ですね。

 

それはともかく、驚いたのは当該裸地をアップすると、とても造成地とは思えません。畑作地か以前水田耕作をしていたところに見えます。そして、道路付けを見ると、そこまでに膨大な数の太陽光発電装置が設置されています。そのための維持管理用道路かもしれません。それが土砂の不法投棄に利用されたのかもしれません。

 

それにしてもこの東山連峰に続く、南端に位置するこの緑豊かな山に太陽光発電装置をここまでやるかと慨嘆します。太陽光発電装置は、写真では設置してあまり時間が経っていないようです。周辺が裸地のままの状態です。通常は、草が繁茂するので、たとえば南高梅の畑の下で使われるような防草シートを設置することが多いと聞いていますが、ここではどうなんでしょう。

 

余分の話が長引きました。本論に戻ります。

記事によると、<京都市伏見区の大岩山(標高189メートル)の南側斜面で、不法投棄や無許可造成を理由に崩落防止の工事中だった土砂が、今月5~7日の西日本豪雨で崩れ、ふもとの農業用ため池を埋め尽くした。関係者が25日、明らかにした。ため池の10メートルほど下からは住宅街。市の指導で業者による工事は再開され、ため池の土砂も撤去される計画だが、作業の完了時期は未定。住民は台風シーズンを前に不安を募らせている。>

 

土砂の不法投棄と、無許可造成の土砂が、崩落防止工事中に、西日本豪雨で崩れて、下方にあるため池を埋め尽くしたというのです。

 

ところで、Google Earthの写真では不法投棄土砂が小山状に積み上がっていて、上記の通り田畑のような利用状況でした。それが今朝の写真では、小山状の部分がまだ残っていて、他方で田畑で会ったところが、階段状になっています。それが無許可宅地造成の跡としたら、あまり考えにくいですね。単純に崩落防止のために階段状の法面を作っていたとみるか?

 

いずれにしても階段状の法面からさらに一部が下方のため池に向かって土砂流出の後があります。

 

このような状態で、どのような崩落防止工事をしていたというのでしょう。それが問題だと思ったのです。

 

というのは私も15年以上前、無許可開発で山林を伐採し、土砂を不法投棄して山盛りにした業者を相手に、長い時間をかけて戦ったことがあります。いろいろな事情で、仮処分とか、裁判上の手続をとらず、行政の監督権限行使を要請したり、議会に嘆願して指導させたりして、相当程度改善させることができました。そのときむろん、山盛りにした土砂(条例上高さ規制などがあります)を削らせたり、下方に土砂が崩落しないように、H鋼を全面に打ち込ませて(これは私の方で提案したものではありません)、崩落を止めることができました。それがベストではないことはたしかですが、現在の崩落防止工事がどのような安全設計の元に指導したのか気になります。

 

私はさまざまな開発案件に取り組みましたが、斜面地での開発の場合、土砂崩れはかなりの頻度で起こっていたように思います。それに対する監督是正措置なるものが、さまざまな法制の中で抽象的に規定されているだけで、実際の安全対策は行政には持ち合わせていないのが現状ではないかと思います。

 

行政がもっているのは、国交省なりが過去決めた開発許可なりの技術指針を基にした

開発に向けての安全基準であって、違法な工事の場合の対応指針は具体的なものがないはずです。今回も当該業者に任せています。そうなんです。監督権とか是正措置といっても、具体性を欠いており、業者任せです。業者は採算に合わないことをいやいややるわけですから、そこには明確な基準もないため、費用を度外視してなんてことは考えないわけです。

 

記事では<不法投棄の土砂、崩落 法規制が必要 京都大防災研究所・釜井俊孝教授の話>も紹介されていますが、釜井教授の指摘するとおりです。私も以前、釜井教授やその弟子の方にお世話になりましたが、熱心で実践的です。

 

行政指導では、なかなか期限を指定して行うことがありませんが、その違法性が顕著であったり、あるいは危険性が迫っているときは、しっかり期限を指定して行うべきでしょう。以前、私が関与した別の事件で、横浜市がそういった指示をしたことがあった記憶です。

 

記事では、<崩落防止工事を請け負う業者は「不法投棄は別の企業が主導したもので、土地の所有企業は損害賠償訴訟を検討している。>と誰も直接的な責任をとらないような姿勢です。土地所有者は工作物責任を負うべきでしょうが、これは民事法の世界ですから、下方の危険に脅かされている住民の権限行使となりますね。では行政は生ぬるい方法でたいおうしてもよいのか、そろそろ考え時でしょう。

 

太陽光発電用の管理用道路の利用の仕方も問題と思います。最近、作業道を切り開いたところで、その先にわずかな森林が残っていて、その先に道路があり、その森林の一部に道を作れば道路が接続することになるので、そのような要望が上がりました。たしかに道路がどんどんつながると便利とも言えますが、それによって不法投棄や関係のない車の進入というデメリットも考えないといけない時代です。奥まった山では道ができると不法投棄が増える状況にあります。そのようなリスク対応を考慮せずに、開発することなど愚の骨頂かもしれません。

 

書き出すと切りがないのと、そろそろ1時間ですので、この程度でおしまいとします。また明日。


閑話休題 <カテゴリーのカオス状態を少し手直し>

2018-07-26 | 日記

180726 閑話休題 <カテゴリーのカオス状態を少し手直し>

このブログを再開したのが、一昨年の10月ですから、今日で相当な日数を毎日継続してきました。当初やり方が分かっていないので、最初はカテゴリーも知らず、日記として、日々積み重ねていました。カテゴリー分けの項目を知った後も思いつきで、次々と付け足してきました。しかもカテゴリーの内容も適当に改訂して。そうなると、いつの間にかどんなカテゴリーがあるのか自分でも分からなくなりました。ごった煮状態です。少し整理してみようと、暫定的に、適当に似通った?ものを集めました。いつか合理的な目安で整理してみたいと思いますが、とりあえずの整理でやってみます。

思いつきで日々、書いているので、整理すること自体、あまり意味がないかもしれませんが、私の心の整理に役立つかもしれないと思っています。


医師と教育への信頼が揺らぐ <文科省汚職 前局長起訴 賄賂性の認識争点 地検、音声データに着目>などを読みながら

2018-07-25 | 医療・医薬・医師のあり方

180725 医師と教育への信頼が揺らぐ <文科省汚職 前局長起訴 賄賂性の認識争点 地検、音声データに着目>などを読みながら

 

定期的に診察を受けている主治医の先生からは、症状自体が改善傾向にある中、熱中症を心配されました。あまり外で活動しないので、日中はほとんど暑さを感じず、クーラーをつけない自宅での暑さは少し大変ですが、熱帯調査をしばらく経験したので、それに比べるとなんでもないですと答えました。ま、いろいろと気遣ってくれていますので、きちんとした回答になっていないことを自覚しつつも、主治医の心遣いには感謝する次第です。

 

こういう医師と患者の関係性は長く治療を受けていく中で生まれてくるものでしょうけど、それでも最初に対面したときからこの先生ならお願いしようと考えるのではないかと思うのです。そういう医師に出会うのは容易でないですが、一旦信頼関係が生まれると、後はあっちこっちの医療機関に頼ることがなくなり、気持ちも楽です。長い旅路でした。

 

さて、そういう医師が生まれるような教育体制にいまなっているのか、懸念される事件が起こりましたね。ま、こういった事件は氷山の一角かもしれませんが、ここまでリアルだと、他の医学部も大丈夫かと心配になります。

 

今朝の毎日は文科省汚職の起訴事実を報じる中で、否認している収賄側の争点と癒着の背景をとりあげた<クローズアップ2018文科省汚職 前局長起訴 賄賂性の認識争点 地検、音声データに着目>と、その贈賄側の事情をより詳細に伝える<文科省汚職東京医大贈収賄 前局長を起訴 前理事長ら在宅で 東京地検>と、2つの切り口で取り上げていました。

 

大学補助金について政府が競争的資金の割合を増やした結果、癒着の温床の可能性が広がったかのような指摘でした。競争的資金が増えること自体が必ずしも問題ではないかもしれません。その割り当ての基準や選択が必ずしも明確でなかったり可視化されていないところに、文科省前局長が選定に関与するような可能性が生まれているのかもしれません。

 

それは加計学園問題となにか似たような構造にも見えます。ただ、今回は補助金の問題よりも、贈賄側が認めている不正合格という問題を中心に書いてみたいと思います。

 

その前に、クローズアップで取り上げている収賄側の争点について一言触れておこうかと思います。

 

記事では争点について、<受託収賄罪は「公務員が職務に関し、請託(要請)を受けて賄賂を受け取った」場合に成立する。今回の事件でのポイントは、(1)佐野前局長に「職務」上の権限があったか(2)前局長が「息子の不正合格」を賄賂と認識していたか--の二つだった。>とまとめています。

 

(1)について、東京地検特捜部は、前局長が<「私立大学研究ブランディング事業」の対象校選定を巡って臼井前理事長から便宜要請を受けた当時、佐野前局長は同事業を直接担当しない官房長の地位にあった。そのため、前局長は「助言はしたが、職務権限はなかった」>との反論に対し、<各省庁において官房長は幅広い権限を持つとされており、前局長の過去の経歴なども踏まえると同大側に有利な助言ができる立場だった--。>と判断しているようです。

 

この特捜部の見解で職務権限性がクリアするのか疑問ですが、法的権限だけでなく、実際の影響力を過去の実績からいえるような材料でも掴んでいるのでしょうかね。結構ハードルが高そうです。でも国民の立場からすると、そんなに要件を厳しくしたら、収賄罪が成立するような自体は、よほど厚顔無恥な人間でないとありえないことになりそうです。その意味では特捜の努力に期待したいのが心情かもしれません。

 

(2)については、<前局長は「不正合格を依頼していないし、息子が不正合格だったかも知らない」と否定しているという。>と弁解しているようです。これに対し特捜部は<昨年5月10日に佐野前局長と臼井前理事長が会食した際の音声データを入手。会食の場で前局長は息子が同大進学を志望していると明かし、前理事長に対して「よろしく」と発言したという。別の機会でも、前理事長が前局長に「正規合格がいいか、補欠がいいか」などと確認したとされ、賄賂性の認識を補強する証拠とみている模様だ。>とのこと。

 

音声データは贈賄側がとっていたのでしょうね。この会食はおそらく贈賄側が払ったのではないかと思うのですが、これも賄賂性がありますが、この程度だと対象校選定といったことに対する賄賂性が弱いと考えたのでしょう。

 

ここで前局長は<息子が同大進学を志望していると明かし、前理事長に対して「よろしく」と発言>といったことは間違いないのだと思います。これは一線を越えていると、公務員であればだれもが思うのではないでしょうか。合格したのでよろしくということでも怪しいですが、進学志望でその大学の実力者によそしくはないでしょう。教育行政のトップにある人間が、息子の進学先を告げ、その大学トップによろしくと告げること自体、とても李下に冠を正さずの域を超えている発言としか思えません。恥ずかしい限りです。なぜこのような官僚を生み出しか、安倍政権や与党は深刻に考えて欲しいと思うのです。

 

両者を仲介したとされる谷口元役員が<前局長の息子が今年2月の受験前、フィリピン・セブ島に旅行した際の費用の一部を谷口元役員の関連会社が負担していること>は、前局長も知らないでは済ませられないでしょう。それは受験前に息子が旅行すること自体、合格を確信しているかのように見えますし、その費用を支払わせているわけですから、少なくともそのような出費をさせてもよいとの認識があったと思われます。まったくもって信じられない前局長および一家の姿勢です。

 

ちょっと前置きが長くなりすぎました。今日のポイントは不正合格です。

音声データにあるのでしょうかね、<別の機会でも、前理事長が前局長に「正規合格がいいか、補欠がいいか」などと確認した>という部分。これはそのとおりだとすると、前理事長は、前局長の息子が合格点をとっていないことをすでに確認しているとしか思えません。この質問に対する前局長の回答はオフレコなのか、記事になっていませんが、たしか最終的には点数を嵩上げして合格させているのではなかったでしょうか。

 

これこそ時代錯誤的な大胆不敵というか、医師を育てる大学のトップのやることか、それは大学スタッフのそれなりの人間が関与してやることでしょうから、お粗末というより、大学教育自体を疑わざるをえなくなります。

 

少し前の記事で<文科省汚職受験者をランク付け 東京医大裏口リスト>というのがありました。

 

裏口入学リストがあるのですね。<贈賄側とされる東京医科大(東京都新宿区)の内部で作成された「裏口入学リスト」とみられる複数の資料を毎日新聞が入手した。一部には、受験生名の横に「◎」「○」といった印が付けられ、同大関係者は「合格優先度を示したもの」と証言。>

 

その手口も紹介されています。

<毎日新聞が入手したリストは5~10年ほど前の入試で使われていたとみられ、手書きのほか、パソコンで作成されたものがある。大学関係者は取材に対し、「入試の点数を加点する受験生のリスト」と証言した。>これはこの大学だけの問題なのでしょうか、医学部への入学が狭い門であることは有名ですが、他方で、裏口入学といううわさは昔からあったかと思います。それが現代でも行われていることが赤裸々になったわけですね。

 

医師は患者との間で、人と人との関係をづくりをして初めて適切な医療行為を行えるのではないかと思うのです。画像診断だけを頼りにしたり、検査結果だけに注目して、人の心やバックグラウンド、体全体を見ない医師が増えたとも言われています。医学部入学のために成績だけよくすることにしゃかりきになり、人と人の交流をおろそかにしてきたような人が医師になることは避けてもらいたいと思いますし、ましてや不正合格してまで医師になろうなんて人は、まともに患者を診察できるでしょうか。

 

その画像診断はすでに検査結果を見落としたり、他の専門分野についてはまったく無関心であったりといった医師が目立つようになっているようです。TVで登場するような医師や研修医はほんとに一生懸命にやっているように見えます。そういう心ある医師を育てて欲しいと思うのです。ついでにわが子もそういう心ある医師になってもらいたいと勝手な親の希望です。

 

今日はそろそろ時間となりました。また明日。

 


異彩に期待 <昔の仕事仲間が小説家としてデビューしたことに驚嘆>

2018-07-24 | 人間力

180724 異彩に期待 <昔の仕事仲間が小説家としてデビューしたことに驚嘆>

 

先週末頃だったでしょうか、知り合いのIさんから「白い雲」という事務所報というより、個人的な定期便を頂きました。彼は弁護士として有能だけでなく柔和で包容力があり、どんどん事務所を大きくして、いまでは弁護士の数も100人を超えたのでしょうか。

 

その冊子はなかなか手の込んだ作りで、今回は謝さんという男性棋士とも互角以上に打ち合う女流本因坊との対談がメインでした。彼は宝塚通で、謝さんともそこへ招待して知り合ったそうで、今回は日本棋院幽玄の間というとても格式のある場での対談でした。

 

で、その話はこの程度にして、彼の本の紹介のところで、なにか引っかかりました。見出しで「弁護士作家が著す本格的時代小説」ということでしたので、私自身あまり時代小説に関心がないため、本来パスするところでした。ただ、「環境法の専門家」とか「日弁連嘱託」というのが目に入ったのか、えっと思いました。

 

まさに私と10年以上にわたっていくつもの環境事件を手がけたOさんでした。彼が文学部出身であることは知っていましたが、まさか小説を書いているなんて驚きでした。

 

彼との出会いは、20年以上前で、彼が弁護士になってまもなくの頃だったと思います。東京弁護士会の公害環境委委員会で、環境問題110番を始めるに当たり、想定問答集を作ることにしたのですが、そのときメンバーで原稿を提出してもらったところ、とびっきり優秀なのが彼ともう一人の新人会員だったと思います。それ以来注目する弁護士となりました。

 

その後彼はいろいろな経験をしながら、どういうきっかけか忘れましたが一緒に環境事件をやるようになりました。彼は当時、行政事件訴訟法など行政訴訟分野の改正が政府で議論しているとき、日弁連代表のサポート役としてずっと関与していたと思います。その一方で、環境訴訟を手がける私ともタッグを組むようになったのでしょうか。私とだけでなく、他の環境事件にも積極的に関与していたのではないかと思います。私の場合彼の強力な支援があって、いくつかの環境訴訟で勝訴を勝ち取ることができました。

 

彼は改正行政事件訴訟法について審議段階から準備作業をしていましたから、改正で新設された仮差止め制度など、熟知していました。それを有効に活用したのが、鞆の浦世界遺産保全訴訟でしょうか。そのとき彼の構想力のすばらしさやその実践的な遂行力も脇で堪能できました。

 

彼が書き上げる準備書面は、中身の濃い、説得力のある内容で、多くの優秀な仲間と仕事をしてきましたが、比類ないというと他の仲間に失礼になりますが、少なくとも遜色がない優秀さでした。

 

私は、若手の弁護士とも時折一緒に仕事をしたことがありますが、私がほとんど書いてしまうことになっていることがあります。しかし、彼の場合はむしろ私以上に書いてくれていたように思います。

 

その彼がある時期から大学教員となり、とても通読できそうにない(失礼)博士論文を書き上げ、准教授、教授になってもとくに驚きはありませんでした。研究者として将来楽しみな彼でした。

 

ところが、時代小説を彼が書いた、しかも日経小説大賞を受賞したというのですから、これは驚かざるを得ません。たしかに文学部出身ですから文才はありましたが、まさか小説を書いているとは・・・

 

で、早速、彼にメールしました。タイピングの早さでは群を抜く彼から素早い返信がありました。すでに相当数の原稿を書いているそうで、今回の受賞作が人気を呼んで、次々と大量の発刊の話になっているとのこと。そしてすでにもう次作が先日発刊されたというのです。

 

私の場合、時代小説は、とくに戦国時代ものについては、昔はおもしろく読みましたが、おそらくここ30年くらいは読んだことがないと思います。最近は古代にはまっていて、戦国時代の権力闘争とか関心がないといってよいかもしれません。でも彼の作品だからと、受賞作を早速注文していました。彼のメールを見たら、次作も注文することにしました。

 

彼は環境小説も書いているそうで、いまは時代小説の依頼が集中しているそうですが、将来はこの分野にも乗り出したい意欲を示しています。期待をしつつ、私なりに考えを伝えました。私がいま関心を抱いているのは、時代の権力者ではなく、庶民の生活や意識であって、庶民の目線で時代を捉えるような小説です。彼はそのような私の勝手な意見にも耳を傾けてくれます。年長者にとても丁重で、紳士なんですね。

 

さて、あまり本を買わない私が、しかも時代小説を購入し、さきほど手元に入りました。受賞作の赤神諒著『大友二階崩れ』と次作の『大友の聖将』です。

 

で、受賞作を数頁読みました。期待を裏切らない滑り出しです。時代小説ファンなら、次の頁を早くみたいと思うほど、序の舞のごとく何か起こりそうな、人物と状況描写を簡潔に、リズミカルに描いています。これを通読すると、他の本が読めなくなるので、少し楽しみをとっておこうかと思います。

 

やはり彼は文才があると改めて感心してしまいました。だいたい私なんぞがどうこういう話ではないですね。日経小説大賞では、選考委員の辻原登氏や伊集院静氏という大家が太鼓判を押しているのですから。

 

で、このブログの読者の中に興味が芽生えた方は、是非、「新人ですでに大家の風格」との書評すらある、彼の作品を読んでみてはとおすすめする次第です。

 

今日もそろそろ時間となりました。また明日。


西日本豪雨その6 <船、漁網塞ぐ漂流ごみ 流木など3503立方メートル回収>を読みながら

2018-07-23 | 災害と事前・事後

180723 西日本豪雨その6 <船、漁網塞ぐ漂流ごみ 流木など3503立方メートル回収>を読みながら

 

NHKの<グレートネイチャーSP 地球事変ギガミステリー(4)「革命を生んだ小氷期」>という、以前録画してあった番組を昨夜見ました。小氷期は歴史的にも環境的にも大きな影響があったので、時折気になるテーマの一つでした。主にフランスの専門家の見解を基にした筋書きのように思えました。

 

12世紀から18世紀までを小氷期としてとらえつつ、1780年代頃、それまで干ばつと長雨などの異常気象が続いた後、アイスランドで100数十という火山噴火が長さ25km以上の断層で連続して発生し、数ヶ月にわたってヨーロッパ全体(画面上では西ヨーロッパ?)が雲と霧で覆われ、寒冷化が急速に進んだのです。

 

その結果、穀物がとれず、パンなどの値段が上昇し、庶民が飢えに苦しみ、主婦がパンよこせなどでたちあがったことを契機にフランス革命が起こったというのです。

 

たしかにわが国も平安期の11世紀頃?から18世紀まで地震津波はもちろん、干ばつ、火山噴火に台風・豪雨など自然災害が多かったと思われます。平穏だった江戸時代も、享保、天明、天保の飢饉で、百姓一揆や打ち壊しが各地で起こり不穏な状況もあったと思いますが、革命は起こらず、享保、寛政、天保の改革でなんとか乗り切ったのでしょうか。

 

小氷期だけで革命への道筋を説明するのは地域的には可能な側面もあるかもしれませんが、さまざまな条件を考慮する必要があるように思うのです。いずれにしても、わが国は災害がとても多いところではないでしょうか。明治維新までは海岸にも河川にも西洋風の堤防もなく、人は生活してきたのだと思います。その後各地で堤防が設置されてきました。

 

地震・津波・台風などで大規模な被災に遭うと、その都度、それがさらに進んだように思います。でも自然の驚異は人工物による対応を超えることはこれまでの歴史が示してきていないのでしょうか。東日本大震災・津波で被災のあった海岸線は、以前、湿地や潟湖といった低地であったところに堤防が敷設された地域が少なくなかったとの指摘もあります。

 

つい小氷期のTV番組を思い出し、前置きが長くなりましたが、今日の本題は毎日朝刊一面の<西日本豪雨船、漁網塞ぐ漂流ごみ 流木など3503立方メートル回収>を取り上げたいと思います。

 

西日本豪雨の被害は多様で、そのすべてを取り上げることはできませんが、漂流ゴミと船の航行妨害や漁業被害については触れてこなかったので、少し関連する問題と一緒に取り上げてみようかと思います。

 

記事によると<西日本豪雨により海に流れ込んだ大量の流木などの漂流ごみの影響で、旅客船や漁船が出港できないなどの被害が広範囲で続いている。国土交通省は8日以降、漂流ごみの回収を進めており、中国、四国、九州地方整備局によると、21日までに流木や木くずなど計3503立方メートルを回収した。年間回収量の7割を超える量だが、「現在も川からの流入は続いており、まだ先は見えない状況」という。>

 

流木や木くずゴミが3503m³といっても多いか少ないかわかりにくいですが、容積的にはとくに大きいとはいえないでしょうけど、海では漂流することによる被害が小さくなく、また、回収も容易でないため、実際は深刻とならざるをえないでしょう。

 

船の航行に影響を与えているようです。<船のスクリューが流木などを巻き込み、航行に影響するケースも出ている。広島湾で高速船を運航する「しまなみ海運」(広島県三原市)では、スクリューに漂流ごみを巻き込み1隻が故障。漂流ごみの多い航路で、夜間の往復1便を19日まで欠航した。津エアポートライン(津市)でも伊勢湾内に流木が漂流しているため、津と中部国際空港(愛知県常滑市)を結ぶ夜間便を18日まで運休した。>

 

漁業被害も各地で起こっているようです。<愛媛県大洲市では肱川(ひじかわ)上流が氾濫した影響で沿岸に大量の流木が流れ込み、底引き網が破れた。島根県では定置網に大量のごみが引っかかる被害が出ている。>など。

 

ところで、広島湾内で回収した流木が388本という数が多いか少ないかも簡単にはいえませんが、私見では、膨大な数の立木や倒木が流されたものの、途中の河川や決壊で町中に流れたりとどまったりしたため、海にまで運ばれた数はさほど多くなかったという印象です。

 

ここで言いたいのは、それでも海洋に流れ出された多様なゴミは漂流したり、海中に沈んだりして、多大の被害を与えると言うことです。その意味で、豪雨による土砂崩れ、ダムの貯水量を超える放流、堤防決壊による洪水など、多様な要因が被害を拡散、増大させていることを改めて感じます。

 

で、ここで付け加えたいのは、豪雨による海洋へ流れ出す多様なゴミも問題ですが、いま世界で注目されているプラスチックゴミについても、同時に、日常生活において意識を改める必要を感じています。

 

毎日の昨日の記事<プラスチック危機包装材規制、欧州が加速 海の環境、悪化の一途>が気になっていました。

 

<プラスチックごみによる海洋汚染の深刻化を受けて、使い捨てのプラ製品の規制に向けた動きが欧州を中心に急速に進んでいる。一部の業界では法規制に先行してストローなどの使用の禁止に踏み切る。自然に分解されにくいプラごみは、気候変動に並ぶ地球規模の環境問題として認知が広がっていることが背景にあり、国際社会の協調した取り組みが求められている。【ブリュッセル八田浩輔】>

 

この対策としてEUは本格的なプラスチック削減策を提示しています。

<欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は今年初め、2030年までに食品容器などを含む使い捨てのプラ包装材を全廃する方針を打ち出した。

 一連の対策として、5月末にはストローや食器類など一部のプラ製品の流通禁止を盛り込んだ法案を加盟国に提示。生活に関連した10種類の製品と釣り用品を対象に個別に規制を定め、スプーンやフォーク、皿などの食器類や、綿棒のうち軸がプラ製のものは流通を禁じ、代替素材への切り替えを求める。容器や飲料カップは禁止しないが、加盟国に削減目標の数値設定や有料化などの対策を課す。>

 

わが国は、なかなか前向きになりませんが、海に囲まれた島国として、そろそろ本気で取り組むべき時期にきているように思うのですが、国会も含め国全体として、そのような風が吹いてきそうもないですね。西日本豪雨災害を契機に、災害ゴミ対策から日常ゴミ対策に、拡大する旋風でも起きないかと期待しているこの頃です。

 

今日はこれにておしまい。少しいい話があったのですが、別の機会にします。また明日。