いよいよ最終回!
ここまで来るのに時間はかかりましたが、
大事に大事に観たいなぁと思えるドラマでした。
みんな大好きだー!!!!
《あらすじ》
かつてセチャンが担任した少女は、問題ばかり起こす生徒だった。
家庭に問題があり、手を焼いた。
だが、セチャンは「僕を信じろ」といい、彼女を立ち直らせたいと願っていた。
そんな少女が「相談がある」とたずねてきたとき、セチャンは「後にしてくれ」と言ってしまったのだ。
様子がおかしいと感じていたのに、後回しにした。
彼女はトイレで首を吊り、セチャンの背中で息絶えた。
「責任を持つ」と言ったのに……。
インジェには、かける言葉が見つからなかった。
ジョンホは暴力対策委員会にかけられて退学になってしまうのだろうか?
事の発端となったウネは、かたくなに自分は悪くないと言い張る。
クラスの不良のために何かしてやる義理などなかった。
いったいこの子に、心はあるのだろうか?
勉強がどんなにできても、こんなに人の心を傷つけても平然としているなんて。
インジェはがっかりするが、自分の責任も痛感している。
大事なことを教えないで勉強ばかりさせて、怪物を育ててしまっているのは
自分たち教師の責任なのかもしれなかった。
ヘソンは、ケ・ナリを許した。
自分を求めていた親友の心を知ったから。
大事にしていた友達が、どんなに傷ついていたか、わかったから。
絆は再び結ばれて、ふたりはクラスに受け入れられた。
いじめられっ子だったヨンウは、ジフンを許した。
手紙を書いて、彼に謝ってくれたジフンに笑顔で礼を言ったのだ。
「お前の分まで謝っといたぞ」
ジフンはジョンホに声をかけた。
何も言わなかったが、ジョンホも何かを感じていたようだった。
ケ・ナリは、セチャンを許した。
「最初は好きじゃなかったけど、先生が来年も担任だったらいいな、と思ってる」
彼女の言葉に、セチャンは何を思ったのだろうか?
こうなると、問題はジョンホである。
暴力対策委員会には父親を呼ばなければならない。
だが、父親に言うくらいなら退学になるほうがマシだ。
彼はもう退学になることを覚悟している。
インジェはとうとうジョンホの父親に連絡をした。
ところが、そのせいでジョンホはしたたかに殴られてしまったのである。
このままジョンホをあの家に置いておくわけにはいかない。
インジェは深く後悔した。
彼が学校へ通ってきているから、そこまで大きな問題ではないと思ってしまったのだ。
ジョンホが抱える問題は根深く、一教師の手に負えるものではなかった。
「保護施設を紹介することはできます。でも、無駄でしょう。
彼は適応できない。自分の人生は自分で責任を持たなくては」
セチャンの意見は冷静なものだった。
「本当に見放すんですか?でも、見放すのとサインを見逃すのはどう違うんです?
見逃すのはつらくて、見放すのは、平気なんですか?」
インジェは静かに涙を流しながら、セチャンを見つめた。
彼は、何も答えられなかった。
行き場のないジョンホは、しばらくナムスンの家に泊まることになった。
ジョンホを心配したジフンやイギョンも押しかけて、狭い部屋はいっぱいだ。
フンスもふくめた5人はぎゅうぎゅう詰めになって布団をかぶる。
ジョンホは壁にくっつくようにして、いつまでも眠れなかった。
暴力対策委員会前に、ジフンもイギョンも、ハギョンの母親に頭をさげて許しを乞う。
だが、ハギョンの母はそんな懇願に耳を貸すような人間ではない。
対策委員会は紛糾した。
不良や落ちこぼれを退学させても、抱え込んでも学校の評価は下がる。
いったいどうしたらいいのか……。
「ジョンホ、先生はあなたに学校へ通い続けて欲しい。うまくやるのよ?」
インジェの忠告をうるさそうにきいていたジョンホだったが、
委員会の席で驚くべき事がおこった。
ジョンホが謝ったのだ。
「許してください。あやまちは認めるから」
態度はぞんざいで投げやりだったが、「真面目になるよ」と言い切った。
「反省している態度じゃないわ」と、ハギョンの母はあくまでもかたくなだ。
しかし、当の娘が委員会を放棄して学校を逃げ出したとわかり、顔色が変わった。
教師たちは内心ほほえみ、ジョンホの更生を喜んだ。
セチャンの説得が功を奏し、ハギョンの母は矛を収めることになった。
委員会は開かれず、ジョンホは今まで通り、学校へ通える。
セチャンはジョンホに、保護施設を紹介しようと持ちかけたが、
ジョンホはその晩のうちにナムスンの家を出て行ってしまった。
ナムスンもフンスも気付いていたが、止めなかった。
セチャンは、退職届を出そうとしていた。
「生徒を重荷に感じます」
「全責任を追おうとするからだ。
生徒にとって教師は通りすがりの人間だ。
そこで何かしらの絆ができればそれは幸いなことだ。
世間がどんなにつらく冷たくても、その絆があれば生きる力がわく。
セチャン、どんな問題も1人の責任にすることはできないんだ。特に子供の問題はな」
チャン先生は、セチャンをそう諭した。
重荷を少しだけ、下ろすようにと。
ところが、またジョンホが学校へ来ない。
行く先もわからない。
「学校をやめます」とメールが来て、インジェはあわてて彼を探しに出かけた。
セチャンも一緒に心当たりを探し、家の前で待った。
他にいくところなどありはしないのだ。
だが、ジョンホは帰ってこなかった。
セチャンはあきらめず、待った。
そしてとうとう、帰ってきたジョンホを見つけた。
父親がケガをしたので、ジョンホは自分が働かなければならないと言う。
こんなことがあっていいのか?せっかくジョンホが立ち直ろうとしているのに……。
セチャンは思わず言った。
「金は俺が貸してやる」
ジョンホの答えは冷静だった。
「いつまで?」
来月も?再来月も?金に困った生徒がいたら、全員に金を貸してやるのか?
それに借りても、返せない。
卒業したってまともな就職はない。大学にも行けない。なら、今から稼いだ方がいい。
彼が生きていかなければならない社会は、たいへんに厳しいものなのだ。
わかっている。わかってはいたが、セチャンはつかんだ手を離せなかった。
「ジョンホ、飯を食おう」
セチャンの目にもジョンホの目にもうっすら涙がにじんでいる。
「忙しいんだ!」
セチャンの手が、ゆっくりと離れた。
ジョンホは一瞬何かを感じたようだったが、ゆっくりと門をくぐった。
「そんなに心配しないで。道は踏み外さないよ」
そして口の端で少しだけ微笑むと、家へ帰っていった。
セチャンは力なく、笑った。
学校へ戻ると、夜間補習を見ているインジェと目があった。
彼女は心配そうにこちらを見ている。
セチャンはふと笑うと、用意していた退職届を破り捨てた。
終業式の朝、インジェはジョンホにメールを出している。
「今日来れば三年生になれるわ。終礼までにきて」
「最後までご苦労なことで」
そういうセチャンの表情はすっきりしている。
教室で簡単に挨拶をして、2年2組は解散だ。
ナムスンとフンスは屋上で話している。
「信じられないな。俺らが3年なんて」
「そうだな。これからどうする?」
「さあな、これからゆっくり考える。お前は?」
「俺もだ」
「あーあ、学校って奴はほんとに……」
インジェは誰もいなくなった教室でジョンホを待っている。
セチャンが教室に入ってきた。
「ええっと……終礼中ですよね?」
インジェはにっこりと笑い、セチャンも笑った。
ふたりでゆっくり日が暮れるまで、ここで待つとしよう。
2年2組の教室で。
(おわり)
良かったぁぁぁぁぁ!
うんうん、ちっとも劇的な感じがなくて本当に良かった!
あ、勘違いしないでくださいね、褒めてるんですよ。
ジョンホを救えない無力感かーらーの、
退職届を破り捨てるまでのカン・セチャン。
良かったデスなぁ。
インジェ先生に吐露したことで、セチャンは救われたと思っていたのですが、
それはわたしの浅はかな勘違いでした。
ケ・ナリの事件がトラウマをよみがえらせ、
セチャン先生は一気に昔の先生に戻ってしまったかのようです。
生徒の人生を背負いきれずに退職届を書いてしまうセチャン先生……。
そりゃ無理だよ先生!誰もが他人の人生を背負えない。
あんたの言ってることは正しいんだよ!
本人がもがかなきゃ、あらがわなきゃ、道は開けないんだよぉぉぉぉぉぉ!
ただ、ね?
そういう勇気や力を持つためには、希望がなければ無理なのです。
そして希望とは、愛を源泉にして産まれるものなのです。
ジョンホはね、今までのようにやさぐれて学校をやめると言ったのではありません。
自分のために、たくさんの人が心を尽くしてくれたことが、
彼を変えたのです。
もう二度と、ジョンホは道を踏み外すことはないでしょう。
自分のために、頭を下げてくれた友人、必死になってくれた学校の先生、
なんだかんだ言いながら家に泊めてくれた奴ら、
被害者の女生徒すら、暴力対策委員会を阻止してくれた。
そんな事実が、やっと素直にジョンホの心に染みたんですよ~。
うう、すごい時間かかったよね……。
セチャンがあのまま手を放せなかったら、彼は学校へ戻れなかったと思います。
自殺してしまった女生徒との関係の二の舞というか、
背負いきれないものを背負って、また自滅してしまったと思う。
哀しいけど、あそこで手を放したからこそ、先生は先生を続けようと思えたんだね。
そして、手を放されたジョンホも一瞬意外というか、哀しそうな顔をする。
でもそれは、見放されたんじゃないってジョンホはわかっていると思うよ
最後にちょっとだけ笑ったジョンホの顔がすごくよくてホッとした。
ほんっとにここまで一瞬も笑わなかったもんね、この子。
改心したジョンホが安易に学校へ戻ってこない、という展開はよかったなぁ。
これですべてめでたしめでたしだったらあまりに嘘くさいもん。
いや、ドラマだし嘘だけど。
それに、学校へ帰ってくれば万事解決というわけではないんだもんね。
ジョンホがどうやって自分と向き合っていくか、
どう生きていこうと決心するか、が大事だったんだもんね。
でも、つらいね。ジョンホみたいな子が救われるチャンスを社会が作ってあげないといけないんだよ。
すごく難しいけどね。
それはみんなが許しあう社会を作ろうね、ってことだからね。
でも、人を許すって簡単にはできないことじゃん。
ヨンウがジフンを許せたのは、彼の心がピュアすぎるからでしょ。
みんながみんな、ああはいかないからさ。
無理かも知れないけど、インジェ先生は最後までジョンホにメールを出し、
セチャン先生も終わらない終礼に付き合う。
きっと来年も、ふたりはこの学校に居る。
ふたり担任制で、互いをたすけあいながら……。
うん、いいねぇ。いいラストだったな。
いつの間にかナムスンちに住んでるみたいなフンスも好きだよ。
実生活でも親友だというふたり。いいですよね。
ジョンホが家を出てったとき、ふたりが後をつけるのかと思ってたから、
そこだけは期待を裏切られたかなー。
ただね、今思うと、ふたりはジョンホの気持ちをよくわかってたと思うのね。
だからジョンホを黙って行かせたのよ。
インジェもセチャンも、教師としてすごくたいへんな苦労をしていると思うのね。
子どもに向き合い、親と衝突し、勉強を教え……。
でもね、実際世間の荒波に揉まれるのは子どもたち自身なのね。
フンスもナムスンも、不良少年だったでしょ?
ああいう子たちが向き合う現実って、先生たちはやっぱわかんないと思うのよ。
そして高校生。
かれらは自立した人間で、未熟だけれどひとりの人格を持った人なのよ。
かれらなりの筋の通し方や、プライドってものもあるはずなのよ。
ジョンホは、級友たちの温かい心に触れて、自分が恥ずかしくなったのだと思うの。
わがまま言って、暴力ふるって、お山の大将気取って、
でも先生には頭が上がらなくて、悪い先輩にはパシリにされ、
社会ではつまはじきにされるような自分が本気で嫌になったのよ。
いつまでもナムスンの家に保護されて、青少年保護センターに連れてかれて、
そんなのジョンホの自尊心が許さないよね?
ジョンホはね、やっと大人になったんだと思う。
ナムスンもフンスも、そういう彼の気持ちをちゃんとわかったんだと思う。
ふたりはジョンホの家よりぜんぜんマシなんだよね。
だって愛してくれる家族がいるから。
最終回らしくインジェ先生節も久々に聞けたのもよかった~。
「サインに気付けないのと、見捨てるのとは何が違うんですか?」
先生のこの表情、何度観たことか……。好きです。
インジェ先生のすごいところは、いつもズバッと本質を突いてくるところ。
そしてけっして声を荒げないところ。
抑えた声音と、必死で涙をこらえる様子が、
何にも増してグサッと刺さるんだよなぁ。
みんなが卒業するわけじゃない、ってのもいいよね。
三年生に進級するだけだから、終わり方もあっさりでいいな、って思った。
金八先生は毎度毎度すごいセレモニーだからさ……。
ジョンホは帰ってくるかもしれないし、帰ってこないかもしれない。
それでも先生は待ってる。
学校はそこにある。
ああ、ほんとによいドラマだった。
みんな、ゆれながら咲いている花だ、と心から思えるドラマだったよ~。
【追記】
今回、二度にわたってセチャンがジョンホに言う言葉があります。
「飯は食ってるのか?」
「一緒に飯を食おう」
この、ごはんに関する声かけの表現って、韓国独特の文化みたいなんですね。
どうしてる?あなたのこと、気にかけているよ、大丈夫?
こうしたさまざまなニュアンスを込めて、
「ごはん食べた?」「ごはん食べに行こう」と言うのが、あちらの挨拶のようです。
「同じ釜の飯を食う」という表現が日本語にもあります。
コミュニティに受け入れられるための通過儀礼として、食事を共にする、という文化も
世界のあちこちで見られます。
こういう感覚をなんとなくわかっていると、
セチャンがジョンホにかけた言葉がより深い感動を伴って心に響きます。
韓国では、鍋に取り箸とか別のおたまとかなくて、
自分のスプーンやお箸で平気でみんなの鍋を食べます。
日本では不衛生と思われるみたいですけど、わたし個人は割と平気。
自分の割り箸ひっくり返して、持ち手の方でとって食べる方がイヤだな。
ここまで来るのに時間はかかりましたが、
大事に大事に観たいなぁと思えるドラマでした。
みんな大好きだー!!!!
《あらすじ》
かつてセチャンが担任した少女は、問題ばかり起こす生徒だった。
家庭に問題があり、手を焼いた。
だが、セチャンは「僕を信じろ」といい、彼女を立ち直らせたいと願っていた。
そんな少女が「相談がある」とたずねてきたとき、セチャンは「後にしてくれ」と言ってしまったのだ。
様子がおかしいと感じていたのに、後回しにした。
彼女はトイレで首を吊り、セチャンの背中で息絶えた。
「責任を持つ」と言ったのに……。
インジェには、かける言葉が見つからなかった。
ジョンホは暴力対策委員会にかけられて退学になってしまうのだろうか?
事の発端となったウネは、かたくなに自分は悪くないと言い張る。
クラスの不良のために何かしてやる義理などなかった。
いったいこの子に、心はあるのだろうか?
勉強がどんなにできても、こんなに人の心を傷つけても平然としているなんて。
インジェはがっかりするが、自分の責任も痛感している。
大事なことを教えないで勉強ばかりさせて、怪物を育ててしまっているのは
自分たち教師の責任なのかもしれなかった。
ヘソンは、ケ・ナリを許した。
自分を求めていた親友の心を知ったから。
大事にしていた友達が、どんなに傷ついていたか、わかったから。
絆は再び結ばれて、ふたりはクラスに受け入れられた。
いじめられっ子だったヨンウは、ジフンを許した。
手紙を書いて、彼に謝ってくれたジフンに笑顔で礼を言ったのだ。
「お前の分まで謝っといたぞ」
ジフンはジョンホに声をかけた。
何も言わなかったが、ジョンホも何かを感じていたようだった。
ケ・ナリは、セチャンを許した。
「最初は好きじゃなかったけど、先生が来年も担任だったらいいな、と思ってる」
彼女の言葉に、セチャンは何を思ったのだろうか?
こうなると、問題はジョンホである。
暴力対策委員会には父親を呼ばなければならない。
だが、父親に言うくらいなら退学になるほうがマシだ。
彼はもう退学になることを覚悟している。
インジェはとうとうジョンホの父親に連絡をした。
ところが、そのせいでジョンホはしたたかに殴られてしまったのである。
このままジョンホをあの家に置いておくわけにはいかない。
インジェは深く後悔した。
彼が学校へ通ってきているから、そこまで大きな問題ではないと思ってしまったのだ。
ジョンホが抱える問題は根深く、一教師の手に負えるものではなかった。
「保護施設を紹介することはできます。でも、無駄でしょう。
彼は適応できない。自分の人生は自分で責任を持たなくては」
セチャンの意見は冷静なものだった。
「本当に見放すんですか?でも、見放すのとサインを見逃すのはどう違うんです?
見逃すのはつらくて、見放すのは、平気なんですか?」
インジェは静かに涙を流しながら、セチャンを見つめた。
彼は、何も答えられなかった。
行き場のないジョンホは、しばらくナムスンの家に泊まることになった。
ジョンホを心配したジフンやイギョンも押しかけて、狭い部屋はいっぱいだ。
フンスもふくめた5人はぎゅうぎゅう詰めになって布団をかぶる。
ジョンホは壁にくっつくようにして、いつまでも眠れなかった。
暴力対策委員会前に、ジフンもイギョンも、ハギョンの母親に頭をさげて許しを乞う。
だが、ハギョンの母はそんな懇願に耳を貸すような人間ではない。
対策委員会は紛糾した。
不良や落ちこぼれを退学させても、抱え込んでも学校の評価は下がる。
いったいどうしたらいいのか……。
「ジョンホ、先生はあなたに学校へ通い続けて欲しい。うまくやるのよ?」
インジェの忠告をうるさそうにきいていたジョンホだったが、
委員会の席で驚くべき事がおこった。
ジョンホが謝ったのだ。
「許してください。あやまちは認めるから」
態度はぞんざいで投げやりだったが、「真面目になるよ」と言い切った。
「反省している態度じゃないわ」と、ハギョンの母はあくまでもかたくなだ。
しかし、当の娘が委員会を放棄して学校を逃げ出したとわかり、顔色が変わった。
教師たちは内心ほほえみ、ジョンホの更生を喜んだ。
セチャンの説得が功を奏し、ハギョンの母は矛を収めることになった。
委員会は開かれず、ジョンホは今まで通り、学校へ通える。
セチャンはジョンホに、保護施設を紹介しようと持ちかけたが、
ジョンホはその晩のうちにナムスンの家を出て行ってしまった。
ナムスンもフンスも気付いていたが、止めなかった。
セチャンは、退職届を出そうとしていた。
「生徒を重荷に感じます」
「全責任を追おうとするからだ。
生徒にとって教師は通りすがりの人間だ。
そこで何かしらの絆ができればそれは幸いなことだ。
世間がどんなにつらく冷たくても、その絆があれば生きる力がわく。
セチャン、どんな問題も1人の責任にすることはできないんだ。特に子供の問題はな」
チャン先生は、セチャンをそう諭した。
重荷を少しだけ、下ろすようにと。
ところが、またジョンホが学校へ来ない。
行く先もわからない。
「学校をやめます」とメールが来て、インジェはあわてて彼を探しに出かけた。
セチャンも一緒に心当たりを探し、家の前で待った。
他にいくところなどありはしないのだ。
だが、ジョンホは帰ってこなかった。
セチャンはあきらめず、待った。
そしてとうとう、帰ってきたジョンホを見つけた。
父親がケガをしたので、ジョンホは自分が働かなければならないと言う。
こんなことがあっていいのか?せっかくジョンホが立ち直ろうとしているのに……。
セチャンは思わず言った。
「金は俺が貸してやる」
ジョンホの答えは冷静だった。
「いつまで?」
来月も?再来月も?金に困った生徒がいたら、全員に金を貸してやるのか?
それに借りても、返せない。
卒業したってまともな就職はない。大学にも行けない。なら、今から稼いだ方がいい。
彼が生きていかなければならない社会は、たいへんに厳しいものなのだ。
わかっている。わかってはいたが、セチャンはつかんだ手を離せなかった。
「ジョンホ、飯を食おう」
セチャンの目にもジョンホの目にもうっすら涙がにじんでいる。
「忙しいんだ!」
セチャンの手が、ゆっくりと離れた。
ジョンホは一瞬何かを感じたようだったが、ゆっくりと門をくぐった。
「そんなに心配しないで。道は踏み外さないよ」
そして口の端で少しだけ微笑むと、家へ帰っていった。
セチャンは力なく、笑った。
学校へ戻ると、夜間補習を見ているインジェと目があった。
彼女は心配そうにこちらを見ている。
セチャンはふと笑うと、用意していた退職届を破り捨てた。
終業式の朝、インジェはジョンホにメールを出している。
「今日来れば三年生になれるわ。終礼までにきて」
「最後までご苦労なことで」
そういうセチャンの表情はすっきりしている。
教室で簡単に挨拶をして、2年2組は解散だ。
ナムスンとフンスは屋上で話している。
「信じられないな。俺らが3年なんて」
「そうだな。これからどうする?」
「さあな、これからゆっくり考える。お前は?」
「俺もだ」
「あーあ、学校って奴はほんとに……」
インジェは誰もいなくなった教室でジョンホを待っている。
セチャンが教室に入ってきた。
「ええっと……終礼中ですよね?」
インジェはにっこりと笑い、セチャンも笑った。
ふたりでゆっくり日が暮れるまで、ここで待つとしよう。
2年2組の教室で。
(おわり)
良かったぁぁぁぁぁ!
うんうん、ちっとも劇的な感じがなくて本当に良かった!
あ、勘違いしないでくださいね、褒めてるんですよ。
ジョンホを救えない無力感かーらーの、
退職届を破り捨てるまでのカン・セチャン。
良かったデスなぁ。
インジェ先生に吐露したことで、セチャンは救われたと思っていたのですが、
それはわたしの浅はかな勘違いでした。
ケ・ナリの事件がトラウマをよみがえらせ、
セチャン先生は一気に昔の先生に戻ってしまったかのようです。
生徒の人生を背負いきれずに退職届を書いてしまうセチャン先生……。
そりゃ無理だよ先生!誰もが他人の人生を背負えない。
あんたの言ってることは正しいんだよ!
本人がもがかなきゃ、あらがわなきゃ、道は開けないんだよぉぉぉぉぉぉ!
ただ、ね?
そういう勇気や力を持つためには、希望がなければ無理なのです。
そして希望とは、愛を源泉にして産まれるものなのです。
ジョンホはね、今までのようにやさぐれて学校をやめると言ったのではありません。
自分のために、たくさんの人が心を尽くしてくれたことが、
彼を変えたのです。
もう二度と、ジョンホは道を踏み外すことはないでしょう。
自分のために、頭を下げてくれた友人、必死になってくれた学校の先生、
なんだかんだ言いながら家に泊めてくれた奴ら、
被害者の女生徒すら、暴力対策委員会を阻止してくれた。
そんな事実が、やっと素直にジョンホの心に染みたんですよ~。
うう、すごい時間かかったよね……。
セチャンがあのまま手を放せなかったら、彼は学校へ戻れなかったと思います。
自殺してしまった女生徒との関係の二の舞というか、
背負いきれないものを背負って、また自滅してしまったと思う。
哀しいけど、あそこで手を放したからこそ、先生は先生を続けようと思えたんだね。
そして、手を放されたジョンホも一瞬意外というか、哀しそうな顔をする。
でもそれは、見放されたんじゃないってジョンホはわかっていると思うよ
最後にちょっとだけ笑ったジョンホの顔がすごくよくてホッとした。
ほんっとにここまで一瞬も笑わなかったもんね、この子。
改心したジョンホが安易に学校へ戻ってこない、という展開はよかったなぁ。
これですべてめでたしめでたしだったらあまりに嘘くさいもん。
いや、ドラマだし嘘だけど。
それに、学校へ帰ってくれば万事解決というわけではないんだもんね。
ジョンホがどうやって自分と向き合っていくか、
どう生きていこうと決心するか、が大事だったんだもんね。
でも、つらいね。ジョンホみたいな子が救われるチャンスを社会が作ってあげないといけないんだよ。
すごく難しいけどね。
それはみんなが許しあう社会を作ろうね、ってことだからね。
でも、人を許すって簡単にはできないことじゃん。
ヨンウがジフンを許せたのは、彼の心がピュアすぎるからでしょ。
みんながみんな、ああはいかないからさ。
無理かも知れないけど、インジェ先生は最後までジョンホにメールを出し、
セチャン先生も終わらない終礼に付き合う。
きっと来年も、ふたりはこの学校に居る。
ふたり担任制で、互いをたすけあいながら……。
うん、いいねぇ。いいラストだったな。
いつの間にかナムスンちに住んでるみたいなフンスも好きだよ。
実生活でも親友だというふたり。いいですよね。
ジョンホが家を出てったとき、ふたりが後をつけるのかと思ってたから、
そこだけは期待を裏切られたかなー。
ただね、今思うと、ふたりはジョンホの気持ちをよくわかってたと思うのね。
だからジョンホを黙って行かせたのよ。
インジェもセチャンも、教師としてすごくたいへんな苦労をしていると思うのね。
子どもに向き合い、親と衝突し、勉強を教え……。
でもね、実際世間の荒波に揉まれるのは子どもたち自身なのね。
フンスもナムスンも、不良少年だったでしょ?
ああいう子たちが向き合う現実って、先生たちはやっぱわかんないと思うのよ。
そして高校生。
かれらは自立した人間で、未熟だけれどひとりの人格を持った人なのよ。
かれらなりの筋の通し方や、プライドってものもあるはずなのよ。
ジョンホは、級友たちの温かい心に触れて、自分が恥ずかしくなったのだと思うの。
わがまま言って、暴力ふるって、お山の大将気取って、
でも先生には頭が上がらなくて、悪い先輩にはパシリにされ、
社会ではつまはじきにされるような自分が本気で嫌になったのよ。
いつまでもナムスンの家に保護されて、青少年保護センターに連れてかれて、
そんなのジョンホの自尊心が許さないよね?
ジョンホはね、やっと大人になったんだと思う。
ナムスンもフンスも、そういう彼の気持ちをちゃんとわかったんだと思う。
ふたりはジョンホの家よりぜんぜんマシなんだよね。
だって愛してくれる家族がいるから。
最終回らしくインジェ先生節も久々に聞けたのもよかった~。
「サインに気付けないのと、見捨てるのとは何が違うんですか?」
先生のこの表情、何度観たことか……。好きです。
インジェ先生のすごいところは、いつもズバッと本質を突いてくるところ。
そしてけっして声を荒げないところ。
抑えた声音と、必死で涙をこらえる様子が、
何にも増してグサッと刺さるんだよなぁ。
みんなが卒業するわけじゃない、ってのもいいよね。
三年生に進級するだけだから、終わり方もあっさりでいいな、って思った。
金八先生は毎度毎度すごいセレモニーだからさ……。
ジョンホは帰ってくるかもしれないし、帰ってこないかもしれない。
それでも先生は待ってる。
学校はそこにある。
ああ、ほんとによいドラマだった。
みんな、ゆれながら咲いている花だ、と心から思えるドラマだったよ~。
【追記】
今回、二度にわたってセチャンがジョンホに言う言葉があります。
「飯は食ってるのか?」
「一緒に飯を食おう」
この、ごはんに関する声かけの表現って、韓国独特の文化みたいなんですね。
どうしてる?あなたのこと、気にかけているよ、大丈夫?
こうしたさまざまなニュアンスを込めて、
「ごはん食べた?」「ごはん食べに行こう」と言うのが、あちらの挨拶のようです。
「同じ釜の飯を食う」という表現が日本語にもあります。
コミュニティに受け入れられるための通過儀礼として、食事を共にする、という文化も
世界のあちこちで見られます。
こういう感覚をなんとなくわかっていると、
セチャンがジョンホにかけた言葉がより深い感動を伴って心に響きます。
韓国では、鍋に取り箸とか別のおたまとかなくて、
自分のスプーンやお箸で平気でみんなの鍋を食べます。
日本では不衛生と思われるみたいですけど、わたし個人は割と平気。
自分の割り箸ひっくり返して、持ち手の方でとって食べる方がイヤだな。
全体的に温かい雰囲気が流れていていいドラマと安心、一話から見直したら殺伐としていてビックリ!
ジョンホがカン先生に金貸してやるって言われて、いつまで?って返したのには鳥肌立ちました。
これでジョンホはもう大丈夫だ、ちゃんと生きていけると(^^)
ジョンホは善徳女王のポジョンの子役の子ですね。
あの恐い先生も同じく善徳女王のヨムジョンで、威厳のある役からおちゃらけた役まで、幅広く演じられてすごいなと思いました。
話それましたが、高二という設定がいい塩梅ですね。
これからも学校生活は続いていく、
大人になりかけていく思春期の子供たち〜
チャン先生とカン先生が互いに影響し合って良いコンビ(*^_^*)
「飯食べた?」サラッと言える人はかっこいいです。
こんなに素晴らしいブログを読んだ後に貼るのは恥ずかしいですが(;^_^A
良かったら遊びに来て下さい♪
ビスコさんだけにお知らせするすべがなかったのでここに貼りますが、不適切でしたら削除しますので!
http://ameblo.jp/atatakaihalu
早速遊びに行かせていただきました。
あかつきさんのブログ「ひつじのぺんだんと」http://ameblo.jp/atatakaihalu/
タイトルかわいいですね。
全然不適切とかじゃないので!また寄らせていただきますね!
「ゆれながら咲く花」はなんで最終回から?!
でも本当にいいドラマでしたね。
ジョンホの「いつまで?」はわたしもぞくっときました。
彼が大人になった瞬間のような気がしました。
もう、学校や先生や社会に甘えてはいられないジョンホ。
彼の子ども時代はみんなよりはやく終わりを告げたんだな。
ナムスンとフンスにはまだ1年あるからね。がんばれよ!
ジョンホ役の子、そう、善徳のポジョンの子役さんです。
この子が花郎?なんて意地悪な感想を持ってましたが、目がきれい。
年を重ねていい役者になってほしいものです。
オム先生も善徳のヨムジョンなんですよね~。
今回は、厳しいけど本当は生徒思いのいい先生でした。
またほかのドラマで会いたいなー。
ひっそりと好き勝手に書いてるので恥ずかしいですが(;^_^A
タイトルは、私が未年生まれなのと、
ブログを始めたときにたまたま羊のペンダントをつけてたからです(照)
イ・ジョンソクさんのファンになってから、たまたま番組表を見たら「ゆれながら〜」の最終回を放送してたんです。
普段なら絶対初回から見るのですが、このときはなぜか引き込まれてしまいました。
数年後の彼らに会いたいな〜
オム先生役の俳優さん、色々なドラマに出てますよね。
今、BSフジで善徳女王の7話を見ています。
みんな若い!笑
善徳女王のコメントも書きにいきます♪
私もチャンナラさん、大好きです!華奢でとても可愛らしいのに演技力も言うことなしという完璧さ。
チャンナラさんとチャンヒョクさんの共演した『運命のように君を愛してる』はご覧になりましたか?もう、、、、筆舌に尽くしがたい面白さ&涙流さずにみられない切なさの連続で主演のお二人の相性の良さは韓ドラ史上最高ではないかと思うほど(完全に我見)。チャンヒョクさんの魅力も全開です。
ぜひともビスコさんの感想が読んでみたいです。観て損なし!観ないと損なドラマだと思います。初めての身でありながら図々しいコメントになっていたらすみません。
これからも楽しく読ませて頂きます(^◇^)
偶然の出会いに感謝ですよ、ありがとうございます。
楽しんでいただけて嬉しいです。
しかもオススメドラマ情報ありがとうございます~!
「運命のように君を愛してる」タイトルは聞いたことありましたが、
なんとチャンヒョクさんが出ているんですと?!
わたしすごく好きなんですよ!
相手役はチャンナラさんなんだ!
このドラマでとても可愛くて芯のある演技で大好きになりました。
観ねば~。
タイトルが甘々なんでピンと来ていなかったので、
オススメしていただけて視野が広がりました。
最近忙しくてなかなか韓ドラ観ていませんが、次観るリストにのっけておきたいと思います。
またぜひコメントくださいね!