我が成人支援センターでは、一般的なSST(ソーシャルスキルトレーニング)教材を直接的には使いません。これまでの、何人かのスタッフから質問されたり、外部から「なんでやらないのか」ときかれましたが。
これからも一般的に行われているSST教材は参考にしても、直接的に使うつもりがありません。理由はいろいろありますが、少なくとも以下の内容について答えられないSST教材はつかわない。
(どの地域に言っても、SSTについて共感を求められるので、そのたびに意見を言うのはちょっと大変なので、一応。私の視点を書いておきます。)
● 目的に疑問
そんなに勉強しているわけではないのですが、いろいろ話を聴いても、多くのSSTはやっぱり社会性のトレーニング、鍛える作業、行き過ぎると、自閉症の社会性を改善する動きになるような。
でも自閉症の社会性の特性は、本質的な社会的な違いで、改善ではなく、その違いを押さえながら、日常の中でどうしたらいいのかが基本。だから、鍛えたり、訓練するのではない。
社会的な場面の状況理解は大事にしてます。定型発達の理解を押し付けたりはしない。状況把握と、各場面での振舞い方を1場面1場面整理することのほうが重要。
(このあたりは、まだ勉強不足で、よく整理できていない部分。)
● 個別化されていない
1つのSSTの教材を様々なクライアントに使う例を目にする。
しかし、社会性についての支援は個別化が大原則。
うちでは、個別の特性を踏まえて、オーダーメードで教材や資料を作っています。
これまで、これは良いという教材にであったことはあまりなくて。視点を参考にするころはあっても、やっぱり基本はオーダーメイド。
ダメな支援者では、うまくいかないのを、本人の問題にする人がいるが、無理に形が定まりすぎた教材自体があっていないことに注目できていない。
● 般化の特性が考慮されていない(イメージと関係性の理解への配慮)
1つのセッションで理解したことは、あくまでその場面の理解。社会的な振舞い方は、やっぱりOJT=現場で1場面、1場面、丁寧に支援・指導することが重要。
1つの絵カードをつかって、さも理解しているように振舞っているのを見て喜んではいけない。様々な教材は、その教材の理解にすぎない。その教材で理解したことが日常の場面とつながらない場合があることを意識しないといけない。
関係の理解の困難さを考えても、教材は教材、理解しているように振舞っても、日常の場面は日常の場面。
● どこがゴールなのかが見えない
SSTのもう1つの問題点は、ある一定のレベルを目指すみたいな錯角に落ちいる。
でも、それを目指してたら、きっと私たちのクライアントは、一生社会に出られない。
自立とは、ある一定の力をつけてからあるものではなく。それぞれが、その時その時での自立的でなくてはいけません。
ソーシャルスキルも、ある一定の力をつけることではなく、その時点での本人の特性にあった社会的な生活があるんです。
● 構造化及び支援つきの社会的行動(振る舞い)
私たちがよくやるソーシャルスキルの支援は。構造化という支援の中で、社会的な経験をする。
しかし、その状況を社会的なスキルが伸びたと判断される。でも、それはスキルは伸びていない。あくまで、支援付の社会的な経験である。しかし、その中でソーシャルスキルに気付く方もいる(?、まだ自分の中で研究途上です。)
私たちができるのは、社会的なスキルを引き上げる作業ではなく気付く経験づくりなんです。
引き上げる作業は、彼らに無理なハードルをつくる。そして、社会性の障害を一生かかえる彼らに、変わらなければならないという価値観を押し付けてしまう危険すらあるんです。
もちろん、社会的なルールを教えることは重要。個別化し、般化のプロセスを意識しながら、曖昧な価値観ではなく、具体的な理屈(理論)とやるべき振る舞い、行動
、やってはいけない振る舞い、行動を伝えることが重要だと思います。
オフィシャルサイト新【BOUZAN NOTE!!】はこちらから
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