今回は自閉症の方の理解啓発のために、やや厳しい話をします。
読んでいただきたいのは、とくに障害認定区分の調査員の方、支援員の方、教師の皆さんにお伝えします。もしも、すでに実施している方は、修正した対応をお願いします。場合によっては、深刻な人権問題です。
まず理解しなければいけない自閉症の方の特性と誘導尋問になりうる場面を提示します。
● 反響言語(コミュニケーションの困難さ)
自閉症の方は、理解と表出のコミュニケーションの困難さをもちます。
その中で、彼らのよく知られる特性として反響言語があります。
理解していなくても、言われたこと聞いたことを繰り返します。ものです。
反響言語には、大きく2つあります。
即時(性)反響言語:言われたことを瞬時に繰り返す反響言語
遅延(性)反響言語:コマーシャルやニュース、実況中継などを自由時間などに繰り返します。
※以前は「オーム返し」と言われていましたが、適切ではありません。今は、反響言語、エコラリアなどが普通です。
実際に私が見た、ある認定調査員と自閉症の方の会話です。
調査員 「おはようございます」
ABC 「おはようございます」
調査員「ABCくんお名前は?」
ABC「ABCくん」
調査員「あら~お名前言えるのね。えらいえらい」
ABC「えらいね」
調査員「コミュニケーションは問題ありませんね」
これは誘導尋問ですよね!
反響言語は表出と理解のコミュニケーション困難さからくる状態です。理解なくして、表現した内容を本人からの情報ととる聞きだし方のは無理に聞きだす誘導尋問と変わりありません。
● 自閉症の方は字義通り解釈します
自閉症の方は、言われたこと、書かれてあることをそのまんま受け止め解釈します。
言われたことを信じてしまいます。しかも、一度入った情報を修正することがあります。
様々なな場面で、本人の意図は反する決定事項を誘導尋問することはできるのです。
認定調査の方の中には、
「こんな状態なら就職は難しい」
「区分判定3以上で就職は無理だよ?」
「一人暮らしは無理だよ?」
だとか答えを決めて、それを口頭で説明される。
それを本人が聞いたらどんな影響があるかも知らずに。
これは、誘導尋問ですよね。
難しいのは、本人が自分にとって幸福な選択ができないことが多い点です。時には曖昧に導かずにはっきりと導く必要があります。
例えば、その時には、科学的でもあり、社会的な現状、メリット、デメリットをあわせて情報提供した上での、自己決定に導くことを希望します。
● 悪意がなくても誘導尋問には違いありません
悪意がなくても、専門的な機関が、自閉症の特性を知ろうともせずに、上記の特性を悪用することは誘導尋問であり、人権問題です。
罪もおかしていないのに、犯罪者にされる場合だってあるのです。
本人の人生に関わることですので、難しい部分ではありますが、
丁寧に配慮が必要と考えます。
これは、モラルの問題なんです。私は、ある程度手順を踏んで、かれらをハッピーな方に導く仕事をしています。だから支援者の都合で導くことも可能と思います。しかし、そんなことはやらない。なぜならばモラルをもっているからです。
●私からの提案
本人のサービス提供や将来に関する決定に関する調査や話し合いでは。
・反響言語と字義通りの解釈などの特性による尋問の禁止。
・担当者の自閉症の特性に関する研修を実施する。
・本人の自閉症の特性を熟知した第3者を必ず同席させる。
【最後に】
当事者、家族の方で、様々な機関担当の対応があやしいと思ったら、すぐ疑問点を提示て、説明請求をしてください。また、この記事を印刷して提示してください。
(障害区分判定に関しては:上記の内容について、認定調査員に周知徹底されているはずです。昨年の中央研修では私が作成した特性解説シートを活用して説明があっていると思います。)
P O I N T
□反響言語は表出と理解のコミュニケーション困難さからくる状態です。
□選択のある質問には、いくつかの違ったパターンでの質問をするか(例えば提示順番を変えたり、言い回しを変える)、または本人にあった視覚的提示の上で実施する。
□自閉症の方が字義通り解釈をすることに配慮した説明を。
□メリット・デメリット(自己評価、他者評価をあわせて)を整理した自己決定に導く。
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