オリンピック選考会で吉田惇哉君が活躍しました。
高校生で第3位に入賞するというのは、アテネオリンピックの200m個人メドレーで入賞した森隆弘選手以来です。
その活躍の背景にあるものを考えてみます。
1、東京都水泳協会の強化方針
東京都水泳協会は、東京からオリンピック選手を輩出すべく、東京辰巳国際水泳場をはじめとし、東京都体育館、東洋大学などで強化練習を定期的に行っています。3月にも辰巳を各所属にコースを割り当てて頂き、良い環境でトレーニングを行うことができました。お世話になりましたスイミングクラブのコーチには大変感謝しております。
2、SS合宿での強化
吉田惇哉君は、毎月開かれているSS合宿に参加させていただいています。同じレベルの選手との練習はよい刺激になっているはずです。私は仕事の都合上参加できないのですが、練習メニューを作成して下さっているコーチには大変感謝しております。
3、日大豊山高校の新校舎プール
昨年四月より竣工した新校舎プールは10コースで、チームを細分化して練習することができます。それぞれのチームにスタッフがついて各選手の目標とする試合に向けて練習をすることができています。また、学校側のクラブ活動に対する応援はいうまでもありません。
4、日本大学の経済的援助
東京オリンピックが決定してから、母体である日本大学が附属高校のクラブに経済的援助を行っています。水泳部ではその資金を外部での合宿資金に充当したり、栄養補助として毎回の練習後にプロテインを摂取するという形で使用させていただいています。
5、日大豊山高校水泳部OB会の応援
水泳部OB会では幹事の方を中心として、特に吉田君のような合宿所の生徒に対して食事会などで応援してくださっています。また、OB会費により現役水泳部の援助を頂いております。
6、2年生までの指導の充実
現在は竹村が吉田惇哉君の指導を担当していますが、2年生の夏までは吉田光宏コーチ(現在は立教大学水泳部コーチ)が担当していました。1年生のときには伸び悩み、2年生の夏には全国JOCで見事に復活を遂げました。その指導をもとに今回の活躍があることは間違いありません。
7、感覚重視の練習メニュー
吉田惇哉君は水に対して繊細な感覚をもつ選手です。今回は年明けから泳ぎの感覚を重視した練習を繰り返し行ってきました。体力面はバタフライでも強化しました。
8、試合の雰囲気を力に変えることができる精神力
オリンピック選考会の決勝は独特の緊張感や雰囲気があります。4年後を見据え、早めに召集所に行き、その雰囲気をよく味わうように指示しました。その雰囲気を見事に自分の力へと変えたようです。
9、学習との両立
吉田惇哉君は学習成績が大変良好な生徒です。クラブ活動と学習との両立を図っています。学習が良いことは、トレーニングメニューの理解や自己管理、目標達成への計画づくりなどにつながっています。
10、徹底した自己管理
高い自己管理能力を備えた選手です。病気や故障もほとんどありません。最近は自分の感覚や調子の取り戻し方なども理解しています。コーチがいなくても自分で修正を図ることができます。
吉田惇哉君の活躍には優れた身体能力(特に心肺機能など)のみならず、様々な方からの応援と本人の自己理解があると考えています。
今後の益々の活躍を応援してください。
竹村知洋