日大豊山水泳部 活動日誌

インターハイでの総合優勝を目指して、日々練習に励んでいます。

理論と実践

2018-12-12 11:44:40 | 活動方針

練習を考えるうえでいつも念頭に入れていることは、理論をいかに実践に結び付けるか、ということです。

第一に重要なことは、水泳の練習や人体の仕組みに関する知識を蓄えることです。

私も20代の頃、マグリシオ著の『スイミングファステスト』やNSCAの『ストレングストレーニング&コンディショニング』をじっくり読み、他には分子栄養学研究所で栄養学を学んだり、専門学校で人体の生理学や解剖学を学んできました。

その時に学んだ知識をもとにトレーニングを組み立てていますが、理論がそのまま実践に当てはまるかというとそうもいかない部分は多いです。

例えばマグリシオの本によると、持久力を高めるためのトレーニングはトータル2000m~4000mで、1回に泳ぐ距離は200m以上、レスト時間は10~30秒となっており、これを週に4.5回、基本的に専門種目で泳ぐこととなっています。

これを練習メニューにすると、200m×20本(2:40)や400×10(5:00)、800×4(10:30)をすべて専門種目で泳ぐことになります。

このメニューに耐えられれば相当なる持久力は養われるはずですが、これを週に4.5回も常に出し続けていたら、おそらくバタフライや平泳ぎの選手はフォームが乱れ、いずれ心身ともに崩壊することでしょう。

このことはすべてが理論どおりにはいかないことを示しています。

最近は練習内容を強度や脈拍でカテゴリーに分類し、持久力トレーニングをEN1・EN2・EN3、スピード練習をSP1・SP2・SP3というように区分し、年間の割合を計算しているコーチも多いと思います。

パソコンを使えば練習カテゴリーや時間の計算などは簡単に行うことができます。

私も上記のような理論に基づいて練習メニューを組み立ててはいますが、あえてパソコンは使わず、手書きにこだわっています。

その理由は、数字を使った理論だけにとらわれず、常に実践を考えて練習を組み立てたいからです。

例えばこの日の練習はEN1を中心としたメニューで、1セット600m以上、休息時間は50mにつき5~10秒というマグリシオの理論に基づいてつくられています。

そのなかに含まれているKICK練習や600m→50mへ距離を落としていくトータル4000m以上をFr中心で行うプル・スイムのディセンディングセットにはこれまでの経験が生かされています。

日大豊山に伝わる「55の教え」のその15にも「実践的な練習をする」というものがあります。(https://blog.goo.ne.jp/buzanswim/e/1d5d7f78432c2dd9076691fee5058239

前監督の井上先生にもよく言われたことですが、練習メニューを考えるときにコーチの自己満足になるようなメニューを作ってはならない、選手が喜ぶようなゴマカシのメニューであってはならない、ということです。

長年、競泳コーチとして経験を積んでこられた方から話を聞くと、不思議なことに理論と一致していることが多いということを実感しています。

そのため、常にレースのことを考えて、実践に生かせる練習をつくろうと心掛けています。

例えば日大豊山水泳部では、昔からパドルやフィンなどの道具を使った練習はほとんど行いません。

ドリル練習ではよく使用しますが、強化練習ではほとんど使いません。

その理由は、大会では道具の使用はないからです。

今まで道具を使った練習をもっとすればよかったなどと後悔したこともありません。

練習内容は実践的で厳しいものになりますが、それに耐えられないようであれば試合で勝つこともできません。

「55の教え」その7に「自信がつく練習をする」というものがあります。

https://blog.goo.ne.jp/buzanswim/e/cf4267dab90f219f8f594c4ba05a93e1

理論をもとにしていますが、それにとらわれすぎずに経験を生かし、選手の自信がつく練習メニューをつくることを心掛けています。

竹村知洋

 

 

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スイミングマガジン2019年1月号発売

2018-12-12 09:15:23 | ニュース

スイミングマガジンの2019年1月号が発売されました。

これまで連載していたドリルマニュアルが今月号で完結しました。

7ヶ月間にわたって掲載していただいたスイミングマガジンの編集の方々に厚く御礼申し上げます。

『身になる練習法 日大豊山式4泳法強化法』や今回のスイマガの連載で様々な方々に言われたことですが、こんなにすべてのことを表に出すのは珍しいということです。

日大豊山水泳部では、もともと何も秘密にしていることはありません。

練習見学や体験はいつでも受け付けています。

ここでスイマガや本に書かれていることで注意しなければならない点があります。

当たり前のことかもしれませんが、常にマニュアルどおりにはいかないということです。

知識はあくまで指針であって、それがそのとおりにすべての選手に当てはまるわけではありません。

特に私の場合は、中高生の男子を中心に見ていますから女子選手には当てはまらないことが多いはずです。

ドリルや練習にある程度の指針はあったとしても、選手の特性や状況、目標とする試合によって柔軟に対応していく必要があります。

むしろ、計画やマニュアルの通りに順調に行くことのほうが少ないといってよいと思います。

そのようなときに重要な武器になるのは、「経験」です。

練習やフォーム、身体のことなど色々な引き出しを多く持っておくことで、いかなることがあっても対処がしやすくなっていきます。

私の今までの経験からいっても、選手を育成していく上で苦労がなく常に伸び続けた選手など一人もいません。

経験は多くのコーチと情報交換をすることや自ら多くの選手を長年にわたってみていくことでしか培われないものです。

スイマガの今月号ではKITAJIMA KOSUKE CUPで日本高校新記録を樹立した吉田啓祐君の活躍も取り上げられています。

竹村知洋

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ドリル・フォームのこと

2018-12-11 15:20:06 | 活動方針

7ヶ月にわたって連載してきた『スイミング・マガジン』の「ドリルマニュアル」は2019年1月号で完結しました。

フォームをつくるうえで一番大切にしていることは、「大きな筋肉の力を発揮させる」ということです。

泳ぐときの形は大切ですが、形だけにこだわりすぎて速く泳ぐこととのつながりが失われては元も子もありません。

大きな筋肉とは、体幹を中心とした筋肉のことで、腰背部や腹筋、大胸筋のことです。

私がいつも想定しているのは、生活の場を陸上から海中へと移していったイルカやくじらなどの哺乳類の泳ぎ方です。

どこかでイルカを見る機会があったら、是非、泳ぐ姿をよく観察してみてください。

これらの動物は腕や足がほぼ失われ、体幹の力を使って泳いでいます。

最も効率よく、速く泳ぐ方法を身につけた動物たちです。

それに比べ、人間の身体は陸上で歩行するようにできていますから、泳ぐことは得意ではありません。

特に大きな頭がじゃまになりますし、肘や膝などの大きな関節も水中では動きの妨げになります。

それを考えて、いかにイルカやくじらの動きに近づかせるか、というのがフォームをつくるうえでのポイントとなります。

連載してきたドリルマニュアルや『身になる練習法』で紹介しているドリルはその一点に集約されています。

もっと簡単にフォームの要点をまとめると「大きな筋肉の力を小さな筋肉に伝えていくこと」ということになります。

陸上でのトレーニングに関しても体幹の強化が重要となる理由もここにあります。

このような理由からフォームをつくるときは、体幹に力を入れる練習とフィンを使ったドルフィンキックからはじめます。

そして最終的には、「魚になるまで泳ぎこむ」ではなく、「イルカになるまで泳ぎこむ」です。

竹村知洋

 

 

 

 

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文武両道

2018-12-10 08:00:14 | 活動方針

今回は高校時代に「文武両道」を実現した生徒を紹介します。

高校3年生の庄野敢大君です。

佐賀県出身の選手で、寮生活をしながら3年間学習とクラブの両立によく努力しました。

学習では常にクラスでトップ、学年でも特進クラスに入れる成績を保ち、全付属生で受験する基礎学力テストでも上位の成績を収めました。

高校2年生の夏以降は寮長を務め、合宿所では中心的な役割をしっかりと果たしてくれました。

水泳では高校3年生の関東大会でベストタイムを更新し200mバタフライで決勝に進出、インターハイに出場しました。

将来は教員になることを目指しており、来春からは日本大学文理学部の教育学科に進学します。

文理学部の教育学科は、日本大学の中でも大変人気のある最難関の学科で、学習で進学するのは大変なことです。

来年から日本大学水泳部に所属し、競泳も続けていきます。

大学時代にも身体と知性を鍛え、将来はどこにいっても通用する立派な教員になることでしょう。

将来のことを考えると水泳で就職することは難しいことであり、速く泳ぐこと事体が役に立つわけではありません。

あくまでも学習が第一であり、それとともに水泳で身体を鍛えて、チームとして人間関係を育むことを目指しています。

水泳部の練習は平日は18:30頃、土曜日は17:00頃には終わり、日曜日はOFFですから学習する時間は十分に確保されています。

Bチームは試験前の1週間から試験中は休みにしています。

そのため水泳部は水泳大会の実績のみならず、学習でも優秀な生徒が多いです。

特にBチームには特進クラスに在籍している生徒も多く、例年GMARCHの合格者がいます。

現在の鎌田コーチも早稲田大学の学生で、水泳部に中高の6年間在籍し、高校時代はマネージャーとして活躍した人物です。

日大豊山水泳部の出身者は、教員やコーチをはじめとして指導的な仕事をする卒業生が多いです。

私は社会科教員として授業を担当していますが教えられる生徒は限られていますので、おそらく先輩から後輩へと学習や就職に関することも伝わっているのでしょう。

在籍中のみならず卒業後もよい関係を保ち、学生時代の経験を生かして指導的な立場として活躍しているOBがたくさんいるというのは大変頼もしいものです。

これからも「文武両道」を実現できる水泳部であり続けたいと思います。

竹村知洋

 

 

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本日の練習メニュー

2018-12-08 16:06:18 | 日常

 

すべてS1のHARD!

“The・男”の練習メニューです。

精神力の粘りが必要とされます。

皆、よく粘れていました。

明日は、1日休みです。

身体を休めたら、試験勉強にしっかり集中して下さい。

この練習の苦しさに比べたら、試験勉強のつらさなど軽いものです。

さあ、帰ってご飯を食べて、勉強だ!

竹村知洋

 

 

 

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