皐月賞は速い馬が、菊花賞は強い馬が、そして、ダービーでは運の強い馬が勝つといわれるが、「運のみ」では、決してダービーを勝つことはできない。そして、この時期になると、「選び抜かれた精鋭18頭による戦い」のキャッチコピーが紙面に踊るのは、毎年のお約束。だが、蓋を開けてみれば「玉石混淆」というのが実態。実力があってこその運であり、いくら運があったとしても、「石」がダービーという栄冠を手に入れることはできないのだ。
いつのダービーだったかは忘れたが、かつてフジTVのスーパー競馬でこんなことがあった。
当時、アシスタントの鈴木淑子の本命は、どう考えても無理筋な馬。結果は案の定シンガリ負け。レース後、司会者がそのことについてツッコミを入れた。すると鈴木は、負け惜しみがてらにこう言い放った。
鈴木 「でも、同世代に産れた何千頭の中で18番目に強いということですから。ね、大川先生?」
それまで、苦笑いしつつも、まるで我が娘を労わるような眼差しで傍らで聞いていた大川慶次郎だったが、急に振られたこともあり、慌ててついつい本音が出たのか、すかさず、こう切り返した。
大川 「そんなことを言っているから、君はいつまでたっても素人って言われるんだよ!(このド素人が!)」
( )内は実際には聞こえてこなかったが、心の中ではこう言いたかったに違いない。助け舟を求めて大川に振ったものの、自分の思惑とは全く逆の言葉をマジで返され、憐れ淑子さんは半泣き状態になってしまったのである。
これまでダービーを一度も獲ったことがない当方に、他人様のことをアレコレ言う資格はないのだが、大川先生が言いたいことはよくわかる。つまり、橋にも棒にもかからない、ダービーに出走すること自体が目標の、所謂メモリアル馬が、毎年必ず18頭の中に紛れ込んでいる。よって、馬券を買う方は、そういった馬たちをしっかりと見抜かなければならないということだ。
ここに三つのハードルがある。「優駿の条件」という名のハードルである。いわば、「玉石混淆」のダービー出走馬の中から「石」を篩い落とす足切りラインである。このラインをクリアした馬こそが「玉」、即ち「真の精鋭」なのである。
以下、馬場改修後の03年から09年までの過去7年で、ダービーで3着以内に入った馬のデータを基に、篩にかけていく。
■優駿の条件Ⅰ~重賞勝利実績■
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3着以内に入った21頭のうち19頭に重賞勝利実績があった。また、残る2頭については、いずれも重賞で2着2回、そのうち一つはG1でのものである。
ダービーに出てくる以上、トライアルで権利を取るか、重賞で2着以内に入り賞金を上積みしなければならないので、この条件は当然といえば当然。おそらく、出走馬中の大半の馬は、この条件をクリアするであろう。
■優駿の条件Ⅱ~前走2着以内(前走レース不問)■
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該当馬は21頭中15頭。
【前走着順別成績】
1着:5-4-1
2着:1-0-4
3着以下:1-3-2
■優駿の条件Ⅲ~前走上り3F順位3位以内(前走レース不問)■
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該当馬は21頭中15頭。
【前走上り3F順位別成績】
1位:4-1-2
2位:1-2-2
3位:1-1-1
4位以下:1-3-2
ここで誤解してはいけないのが、この条件をクリアした馬すべてがダービー馬になれるわけではないということ。条件をクリアした馬は、あくまでもダービーで3着以内に入る可能性が高いだけで、決してダービー馬になることを保証するものではない。そして、二週連続の1着同着がない限り、その中からダービー馬の称号を手にすることができるのは、当たり前だが一頭だけである。
「運も実力のうち」とはよくいうが、実力のない者に決して運はやって来ないのが現実。そして、実力だけがあっても、運がなければ芽が出ないことも、また事実。
99%の実力と1%の運。これが正解。
そして、この1%は、誰にもどうすることは出来ない。
唯一、気紛れな勝利の女神を除いては―
=つづく=
いつのダービーだったかは忘れたが、かつてフジTVのスーパー競馬でこんなことがあった。
当時、アシスタントの鈴木淑子の本命は、どう考えても無理筋な馬。結果は案の定シンガリ負け。レース後、司会者がそのことについてツッコミを入れた。すると鈴木は、負け惜しみがてらにこう言い放った。
鈴木 「でも、同世代に産れた何千頭の中で18番目に強いということですから。ね、大川先生?」
それまで、苦笑いしつつも、まるで我が娘を労わるような眼差しで傍らで聞いていた大川慶次郎だったが、急に振られたこともあり、慌ててついつい本音が出たのか、すかさず、こう切り返した。
大川 「そんなことを言っているから、君はいつまでたっても素人って言われるんだよ!(このド素人が!)」
( )内は実際には聞こえてこなかったが、心の中ではこう言いたかったに違いない。助け舟を求めて大川に振ったものの、自分の思惑とは全く逆の言葉をマジで返され、憐れ淑子さんは半泣き状態になってしまったのである。
これまでダービーを一度も獲ったことがない当方に、他人様のことをアレコレ言う資格はないのだが、大川先生が言いたいことはよくわかる。つまり、橋にも棒にもかからない、ダービーに出走すること自体が目標の、所謂メモリアル馬が、毎年必ず18頭の中に紛れ込んでいる。よって、馬券を買う方は、そういった馬たちをしっかりと見抜かなければならないということだ。
ここに三つのハードルがある。「優駿の条件」という名のハードルである。いわば、「玉石混淆」のダービー出走馬の中から「石」を篩い落とす足切りラインである。このラインをクリアした馬こそが「玉」、即ち「真の精鋭」なのである。
以下、馬場改修後の03年から09年までの過去7年で、ダービーで3着以内に入った馬のデータを基に、篩にかけていく。
■優駿の条件Ⅰ~重賞勝利実績■
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3着以内に入った21頭のうち19頭に重賞勝利実績があった。また、残る2頭については、いずれも重賞で2着2回、そのうち一つはG1でのものである。
ダービーに出てくる以上、トライアルで権利を取るか、重賞で2着以内に入り賞金を上積みしなければならないので、この条件は当然といえば当然。おそらく、出走馬中の大半の馬は、この条件をクリアするであろう。
■優駿の条件Ⅱ~前走2着以内(前走レース不問)■
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該当馬は21頭中15頭。
【前走着順別成績】
1着:5-4-1
2着:1-0-4
3着以下:1-3-2
■優駿の条件Ⅲ~前走上り3F順位3位以内(前走レース不問)■
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該当馬は21頭中15頭。
【前走上り3F順位別成績】
1位:4-1-2
2位:1-2-2
3位:1-1-1
4位以下:1-3-2
ここで誤解してはいけないのが、この条件をクリアした馬すべてがダービー馬になれるわけではないということ。条件をクリアした馬は、あくまでもダービーで3着以内に入る可能性が高いだけで、決してダービー馬になることを保証するものではない。そして、二週連続の1着同着がない限り、その中からダービー馬の称号を手にすることができるのは、当たり前だが一頭だけである。
「運も実力のうち」とはよくいうが、実力のない者に決して運はやって来ないのが現実。そして、実力だけがあっても、運がなければ芽が出ないことも、また事実。
99%の実力と1%の運。これが正解。
そして、この1%は、誰にもどうすることは出来ない。
唯一、気紛れな勝利の女神を除いては―
=つづく=
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