一路、トウキョウのエグム支部に向かいます。
100:
私たちを乗せた機体は、東シナ海の上空を飛ぶ。
「ユカの言った通りになったな」
私は言いながら、全く同じ言葉を数年前に口にしたことがあるのを思
い出していた。
その感触を振り切るように、私は機体を加速させる。
やがて、陸地が見えて来た。
あれは…。
050:
ホンコンを飛び立ったセイバーフィッシュは、数時間の飛行の後、日
本列島の上空に差しかかった。
「酷いモノだな…」
眼下の光景を見て、私は嘆息した。ジオンの士官学校時代に地球圏の
地勢については何度も講義を受けている筈なのだが、現在見ている日本
列島の形状は、その時のモノとはまるで違っている。旧世紀時代から地
球連邦成立後にかけて高度技術産業の基地となった日本は、ジオン公国
の悪夢─コロニー落としの格好の標的となったのだ。
141:
フクオカ、オオサカ、ナゴヤ、そして…トウキョウ。日本の主要都市
の大半がコロニー落としで半壊した。
「ユカは、日本の出身なのかな?」
私は助手席で行儀良く座っている少女に声をかけた。
「ええ…トウキョウの直ぐ近くのムサシノという街です。静かで良い所
ですよ…でも、生まれたのはフォン・ブラウン市なんです。4つ迄は月
に住んでました」
「それじゃ、一年戦争の頃は?」
「地球にいました。丁度、7つか8つの頃かな…」
そこ迄話し、ユカは不意にビクッと身体を震わせた。
「今でも忘れません…トウキョウにコロニーが落ちた日のことを。空全
体が頭上に迫って来るんです…」
彼女は私の腕にピッタリ寄り添って来た。怯えた表情が明らかに見て
取れる。
「ゴメンなさい…見ず知らずの貴方にこんなことをして…でも、怖いん
です…」
私は彼女の体温を感じながら後ろで束ねた髪を撫でた。
「怖がることはない…悪いことを聞いてしまったな」
「いえ…気にしないで下さい」
戦いの犠牲者がここにもひとり、紛れもなく存在している。
372:
・Bにチェックがある:322
・ない:127
322:
旧トウキョウ迄後数十kmという時になり、機体が左右に振動を始め
た。
ホンコンを飛び立つ際、翼に受けた損傷が今頃になってトラブルに発
展したらしい。
「余り良くない状況だな…」
機体の揺れを制御するのに苦労しながら呟いた言葉を、ユカは敏感に
聞きつけた。
「墜ちそうなんですか?」
「いや…何とか保つかも知れんが…保証はできんな」
答えながら、私は決断を迫られていることを自覚した。
安全策を採るなら、手近な場所を見つけて不時着する手もある…。
・不時着をする:005
・いや、まだ大丈夫だ:354
※不時着する方が良策です。
005:
もう機体は長くは保つまい。ならば、機体がまだ制御できる内に不時
着するのが得策だろう。私は旧トウキョウベイの海上に着水することに
した。
「しっかり掴まっておけ!」
海面すれすれに機体を降下させ、できるだけ衝撃が少ないように着水
を試みる。
・体力P+BPが16以上:303
・15以下:234
303:
軽い衝撃。セイバーフィッシュの機体が海面に接触したのだ。しかし、
着水は成功したと言って差し支えないだろう。衝撃の大部分が海面に吸
収され、身体にはほとんど影響がなかった。接触した瞬間、非常脱出装
置を使用し、パラシュートによる自由落下に移る。
066:
やがて、我々は暗く鉛色に沈んだ海面下に達した。パラシュートが絡
みつかぬよう、非常用に切り離しスイッチを押す。直ぐ様、パラシュー
トは外れ、私はユカの姿を捜した。
「ここです!」
見ると、30m程先にユカの姿が在った。
私はクロールでそこまで泳ぎ着いた。ユカが前方を指差す。
「あそこにセイバーフィッシュが!」
確かに落下した我々の機体だ。我々は何の苦もなく機体に取りついた。
何とか不時着したところで、次回に続きます。
100:
私たちを乗せた機体は、東シナ海の上空を飛ぶ。
「ユカの言った通りになったな」
私は言いながら、全く同じ言葉を数年前に口にしたことがあるのを思
い出していた。
その感触を振り切るように、私は機体を加速させる。
やがて、陸地が見えて来た。
あれは…。
050:
ホンコンを飛び立ったセイバーフィッシュは、数時間の飛行の後、日
本列島の上空に差しかかった。
「酷いモノだな…」
眼下の光景を見て、私は嘆息した。ジオンの士官学校時代に地球圏の
地勢については何度も講義を受けている筈なのだが、現在見ている日本
列島の形状は、その時のモノとはまるで違っている。旧世紀時代から地
球連邦成立後にかけて高度技術産業の基地となった日本は、ジオン公国
の悪夢─コロニー落としの格好の標的となったのだ。
141:
フクオカ、オオサカ、ナゴヤ、そして…トウキョウ。日本の主要都市
の大半がコロニー落としで半壊した。
「ユカは、日本の出身なのかな?」
私は助手席で行儀良く座っている少女に声をかけた。
「ええ…トウキョウの直ぐ近くのムサシノという街です。静かで良い所
ですよ…でも、生まれたのはフォン・ブラウン市なんです。4つ迄は月
に住んでました」
「それじゃ、一年戦争の頃は?」
「地球にいました。丁度、7つか8つの頃かな…」
そこ迄話し、ユカは不意にビクッと身体を震わせた。
「今でも忘れません…トウキョウにコロニーが落ちた日のことを。空全
体が頭上に迫って来るんです…」
彼女は私の腕にピッタリ寄り添って来た。怯えた表情が明らかに見て
取れる。
「ゴメンなさい…見ず知らずの貴方にこんなことをして…でも、怖いん
です…」
私は彼女の体温を感じながら後ろで束ねた髪を撫でた。
「怖がることはない…悪いことを聞いてしまったな」
「いえ…気にしないで下さい」
戦いの犠牲者がここにもひとり、紛れもなく存在している。
372:
・Bにチェックがある:322
・ない:127
322:
旧トウキョウ迄後数十kmという時になり、機体が左右に振動を始め
た。
ホンコンを飛び立つ際、翼に受けた損傷が今頃になってトラブルに発
展したらしい。
「余り良くない状況だな…」
機体の揺れを制御するのに苦労しながら呟いた言葉を、ユカは敏感に
聞きつけた。
「墜ちそうなんですか?」
「いや…何とか保つかも知れんが…保証はできんな」
答えながら、私は決断を迫られていることを自覚した。
安全策を採るなら、手近な場所を見つけて不時着する手もある…。
・不時着をする:005
・いや、まだ大丈夫だ:354
※不時着する方が良策です。
005:
もう機体は長くは保つまい。ならば、機体がまだ制御できる内に不時
着するのが得策だろう。私は旧トウキョウベイの海上に着水することに
した。
「しっかり掴まっておけ!」
海面すれすれに機体を降下させ、できるだけ衝撃が少ないように着水
を試みる。
・体力P+BPが16以上:303
・15以下:234
303:
軽い衝撃。セイバーフィッシュの機体が海面に接触したのだ。しかし、
着水は成功したと言って差し支えないだろう。衝撃の大部分が海面に吸
収され、身体にはほとんど影響がなかった。接触した瞬間、非常脱出装
置を使用し、パラシュートによる自由落下に移る。
066:
やがて、我々は暗く鉛色に沈んだ海面下に達した。パラシュートが絡
みつかぬよう、非常用に切り離しスイッチを押す。直ぐ様、パラシュー
トは外れ、私はユカの姿を捜した。
「ここです!」
見ると、30m程先にユカの姿が在った。
私はクロールでそこまで泳ぎ着いた。ユカが前方を指差す。
「あそこにセイバーフィッシュが!」
確かに落下した我々の機体だ。我々は何の苦もなく機体に取りついた。
何とか不時着したところで、次回に続きます。