□風魔の小次郎外伝 飛鳥無明帖
聖剣の章〈後の巻〉【黄金剣】
聖剣の章〈後の巻〉【黄金剣】
武蔵は、地雷坊の金剛棒に打ち据えられる夢を見て、目覚めます。
武蔵は、地雷坊からの果たし状を受け、地蔵河原で、待っていました。
やや遡りまして。
地雷坊は、武蔵に果たし状を送ったことを、壬生に話し、邪魔をするなと。
地雷坊は、聖剣でもあれば別だが、金剛棒に勝るものなどないと、豪語。
武蔵は、絵里奈の病状が思わしくなく、彼女の命脈を保つためには、
夜叉姫に縋り、申し出を受けるほか無いかと、心を決めます。
で、逃げたと噂を立てられれば、傭兵の仕事が来なくなるとして、
絵里奈のいる病院を後にし、地雷坊との果たし合いに赴きます。
冒頭に戻りまして。
地雷坊を待つ武蔵に、何者かが語り掛けて来ます。
やっときましたね。さあ早く手にするのです。その手におまえの黄金剣を!
武蔵が気が付くと、黄金の山に刺さる黄金剣が眼前にありました。
武蔵は、黄金剣に手を伸ばし、掴むと、黄金剣がスルリと抜けます。
月面における聖剣戦争の光景が、武蔵の脳裡に映し出されます……。
武蔵は、昏倒から目覚めると、その傍らには、長刀が刺さっていました。
ただの長刀ですが、手に取ってみると、武蔵は、発する気を感じます。
そこへ、この間のケリを付けに来たぜと、地雷坊が現れます。
言うが早いか、地雷坊は、金剛棒を武蔵目掛け、振り下ろします。
武蔵は、サッと避け、先程の長刀を構え、地雷坊に向き直ります。
地雷坊も、武蔵の長刀から、異様な気を感じ取り、これが噂に聞く
聖剣なのかと自問しますが、それを否定し、金剛棒を振り下ろします。
武蔵の双眸がギラリと光り、地雷坊の金剛棒を撫で斬りにします。
その剣撃は、金剛棒だけに留まらず、地雷坊にも襲い掛かります。
地雷坊は、武蔵の長刀が伝説の聖剣だと確信し、地面に倒れ伏します。
武蔵も、その剣撃を見て、手にした長刀を黄金剣だとの確証を得ます。
その後、武蔵は、誠士館を訪れ、壬生への借りを返したいと言い、
夜叉姫の戦力になることを伝えます。ただし、妹の命のある限り。
瞬間、武蔵の体を、一陣の風が吹き抜けますが、杞憂とします。
武蔵は、どんな風が吹いてこようとも、絵里奈の命を守ると誓います。
次章「死国の巻」に続くそうです。
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