平安時代の中期、貧しい下級貴族の娘・まひろ(紫式部)は幼い日、身分を隠して散楽を見ていた右大臣家の三男・三郎(藤原道長)と親しくなる。しかしある日、三郎に会おうと急ぐまひろは、偶然三郎の兄・藤原道兼を落馬させ、激高した道兼に母を殺害されてしまう。まひろは父・藤原為時に道兼の所業を訴えるが、為時は右大臣・藤原兼家の斡旋で東宮・師貞親王(花山天皇)教育係の職を得ており、この事件を表沙汰にしなかった。まひろは以来、父との確執を抱えたまま成人を迎え、反対を押し切って市中で代書屋として創作をすることに生きがいを見出す日々の中、元服した三郎こと道長と再会する。
代筆するシーンなどでは、左利きの吉高が右手で筆を走らせて美しい習字を披露。「役者本人が実際に書いているところを写したい」と、彼女はこだわって左利きなのに右で書字。かなり努力をしたと思う。
まひろと三郎の二人は身分の違いから、愛していても結ばれない、結ばれないから求め合う。恋愛のすれ違いのもどかしさと切なさを根幹のテーマとしながら、貴族の権力抗争、庶民の死と隣り合わせの厳しい日常を描き、源氏物語が書かれた平安時代は生きることが切実だったことがリアルに感じられる。
また、帝と話す時の言葉遣いの優雅さ、書の場面での字の美しさ、女性達がどの時代よりも強く生き生きしている事にも魅力を感じる。
ストーリーはまだ半年以上続くが、これから紫式部がどのように稀代の作家として開眼していくのかが楽しみ。
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