この年は、サンドの劇作品 "Claudie" がパリの La Porte Saint Martin で上演されたため、体調がすぐれないにもかかわらず、サンドは1月半ばにパリとノアンを往復しています。2月には、"Claudie"の25回目の上演。大成功だったことがわかります。
パレ・ロワイヤル劇場での最初の公演は、2月22日。全部で43回上演された"Claudie"の最終公演は、3月3日。以降の上演は、
Nohant に近い町、La Chatreの劇場に移っています。
"Claudie"以外に、この年はサンドの劇作 "Moliere" が5月に La Gaiete 座にて上演されており、 Le National, La Republique, L'Asemblee national, La Patrie, Le Constitutionnel, La Presse などの各紙面が挙って "Moliere" の批評文を掲載。ゴーチエ Gautier も、批評文を寄せたうちの一人でした。
サンドはこの年、1月、3月、5月、11月の4回、パリに赴いています。旅行が簡単ではなかった時代に何度もパリと中部フランスを往復していたのでした。
2月15日からは、Revue des deux Mondes誌に、"Le Chateau des Desertes "『デゼルトの城』の連載が開始され、11月には『デゼルトの城』は単行本となって書店に並べられました。12月には、"Le mariage de Victorine" 『ヴィクトリーヌの結婚』の出版、このほか、サンド全集に搭載される作品のためにNotice やPrefaceを次々と執筆し、手紙も連日書き送るなど、この年に限らず、四十年に及ぶ作家生活を通し、サンドのエネルギッシュな創作活動は衰えをみせることなく、延々と続いたのでした。
3月に初めてNohantを訪れた出版社社長エッツエル Hetzel は、10月にも再度サンドの館を訪問しています。エッツエルは、サンドに要求することが多い面倒な編集長だったらしく、これに抗議して書いた手紙のなかの、Je vous embrasse tout de meme mais en faisant grimace.という言葉 は、サンドの編集者に対する不満な気持ちをよく顕しているように思われます。
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Claudie :
http://books.google.com/books?id=bSFbAAAAQAAJ&dq=Claudie++sand&hl=ja&source=gbs_navlinks_s
Moliere :
http://books.google.com/books?id=WMYDAAAAQAAJ&pg=PA142&dq=Moliere++sand&as_brr=3&hl=ja&cd=5#v=onepage&q=&f=false