西尾治子 のブログ Blog Haruko Nishio:ジョルジュ・サンド George Sand

日本G・サンド研究会・仏文学/女性文学/ジェンダー研究
本ブログ記事の無断転載および無断引用をお断りします。
 

謹賀新年 Bonne et heureuse année 2017!

2017年01月01日 | 文学一般 海外




明けましておめでとうございます。
昨年は本ブログをご訪問下さいまして、ありがとうございました。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


新年早々、誕生したばかり?の興味深い新刊書をご案内いたします。

1)『男らしさの歴史 1 男らしさの創出 』〔古代から啓蒙時代まで〕
  (男らしさの歴史(全3巻))
  アラン・コルバン (監修), ジャン=ジャック・クルティーヌ (監修),
  ジョルジュ・ヴィガレロ (監修),
  鷲見 洋一 (翻訳), 小倉 孝誠 (翻訳), 岑村 傑 (翻訳)

  単行本: 792ページ
  出版社: 藤原書店 (2016/11/26)

日本の読者へ アラン・コルバン(小倉孝誠訳)
序文 アラン・コルバン/ジャン=ジャック・クルティーヌ/ジョルジュ・ヴィガレロ
(小倉孝誠訳)

第I巻序文 男らしさ、古代から近代まで ジョルジュ・ヴィガレロ(鷲見洋一訳)

第I部 古代ギリシア人にとっての男らしさ モーリス・サルトル(後平澪子訳)

第II部 古代ローマ人にとっての男らしさ――男(ウィル)、男らしさ(ウィリリタス)、
美徳(ウィルトゥス) ジャン=ポール・チュイリエ(後平澪子訳)

第III部 蛮族の世界――男らしさの混合と変容 ブリュノ・デュメジル(小川直之訳)

第IV部 中世、力、血 クロード・トマセ(小川直之訳)

第V部 近代世界、絶対的男らしさ (十六―十八世紀)
近代的男らしさ 確信と問題 ジョルジュ・ヴィガレロ(寺田元一訳)

第1章 男らしさとそれにとって「異他なるもの」――逆説的な男性性の描像
ローレンス・D・クリツマン(寺田元一訳)

第2章 僧侶の男らしさ ジャン=マリ・ルガル(寺田元一訳)

第3章 男の熱さ ヨーロッパの男らしさと医学思想 ラファエル・マンドレシ
(寺田元一訳)

第4章 ルイ十四世もしくは絶対的男らしさ? スタニス・ペレーズ(片木智年訳)

第5章 戦士から軍人へ エルヴェ・ドレヴィヨン(片木智年訳)

第6章 曖昧なジャンルと演劇的実験 クリスティアン・ビエ(片木智年訳)

第7章 絵画の証言 ナダイェ・ラナイリー=ダーヘン(篠原洋治訳)

第8章 発見された大地の男らしさと未開人 ジョルジュ・ヴィガレロ(篠原洋治訳)

第VI部 啓蒙と不安な男らしさ

第1章 民衆の男らしささまざま アルレット・ファルジュ(鷲見洋一訳)

第2章 エクササイズの遊戯、娯楽と男らしさ エリザベト・ベルマス(鷲見洋一訳)

第3章 フィクションの男たち ミシェル・ドロン(鷲見洋一訳)

原注
監訳者解説(鷲見洋一)

出版社からのコメント
ギリシア語の「アンドレイア」は、戦争、武勇、性の支配などという含意も含めて、格付けのための枠組をなしている。たとえば、ただの男ではなく、もっとも「価値」ある男を、男性という性を代表する者ではなく、男らしさというものをこの上なく見事に、段違いに代表している者のことなのである。
モデルは時代を超えて存続する。長期にわたって戦闘訓練を受け、闘争能力こそわが身の誉れと心得るスパルタの若者と、おなじように長いこと訓練を受け、決闘に勝利してこそ名を成せると信じる若い中世の騎士との間には、遠い係累を考えられるかも知れないのだ。力と支配にかかわるコードを事細かに覚えて身に付けることは、長いこと、男として一人前になるための最初の指標であった。
(「第I巻序文」より)

男らしさは古くからの伝統を刻印されている。それは単に男性的であるということではなく、男性の本質そのものであり、男性の最も完全な部分ではないにしても、その最も「高貴な」部分を指す。男らしさとは徳であり、完成ということになる。
フランス語の男らしさvirilitéという語の由来になっているローマ時代のvirilitasは、「精力的な」夫という明瞭に定義された性的特質を有しており、いまだに規範であり続けている。精力的な夫とは体が頑強で生殖能力が高いというだけでなく、同時に冷静で、たくましくてかつ慎み深く、勇敢でかつ節度ある夫という意味である。
それは力強さと徳の理想、自信と成熟、確信と支配力を示す。男は挑戦するものだという伝統的な状況がそこから生まれる。男は「自己制御」と同じくらい「完璧さ」や優越性を目指さなければならない。そしてまた性的影響力と心理的影響力が結びつき、肉体的な力と精神的な力が結びつき、腕力とたくましさが勇気や「偉大さ」を伴う、というように多くの長所が交錯している。
(「序文」より)


2)小川直之 著『失われた写本を求めて』 翰林院 2016年12月





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする