Information publiée le 19 mars 2017 par Marc Escola (source : Kiyoko ISHIKAWA)
Du 25 mars 2017 au 26 mars 2017
Université de Tokyo
Colloque international
La Littérature algérienne, mais pourquoi ?
organisé par la Société Japonaise de Littérature Maghrébine
à l’Université de Tokyo, Campus Hongô
bâtiment Hôbun 1 Salle 113 Hongô 7-3-1, Bunkyô-ku, Tokyo
le 25 mars 2017
13h00 Cérémonie d’Ouverture : Son Excellence Monsieur Mohamed El Amine Bencherif (Ambassadeur d’Algérie au Japon)
13h10 Session 1
1. KIM Jung Sook(Université Pai Chai): « Une approche textuelle de la Trilogie Algérie de Mohammed Dib »
2. JIN In Hea (Université Mokwon) : « Les éléments légendaires et mythiques de la littérature algérienne – le cas de L'Honneur de la tribu de Rachid Mimouni »
3. AHN Hwajin (School of humanities & social science KAIST) : « Assia Djebar et la Voix de la femme algérienne »
15h30 Conférence 1 *avec traduction
Fazia FERAOUN (Université d’Alger) : « Les Femmes algériennes dans la société contemporaine : le moteur du changement» présidée et présentée par Etsuko AOYAGI (Université de Tsukuba)
16h30 Conférence 2 *avec traduction
Amel Chaouati (Cercle des Amis d’Assia Djebar) : « Assia Djebar. Une œuvre unverselle » présidée et présentée par Kiyoko Ishikawa (Université des arts et de la culture de Shizuoka)
........
le 26 mars 2017
10h00 Session 2
1. CHUNG Ji Yong (Université Sungkyunkwan) : « De la littérature française à la littérature algérienne : un choix personnel ? »
2. Hirofumi IBARAGI(Université Nanzan) : « Djamila Debèche, une conscience lucide dans la contradiction coloniale »
3. Mohamed MAHIOUT (Université de Cergy-Pontoise) : « L'aube au-delà du giallo. Lecture du roman d'Amine Aït-Hadi »
4. LEE Song Yi (Université de Pusan) : « La Transécriture dans la littérature féminine en Algérie et en Corée - Écrire entre les frontières, écrire les frontières »
5. Ali CHIBANI (Collège Pablo Neruda) : « Le sujet des langues dans "Ameur des Arcades et l'ordre" de Mouloud Mammeri »
14h00 Conférence 3 *avec traduction
Ali Feraoun (Fondation Mouloud Feraoun): « Mouloud Feraoun, écrivain algérien, le fondateur de la littérature algérienne d’expression française » présidée et présentée par Etsuko Aoyagi (Université de Tsukuba)
15h30 Clôture
* La projection d’un film sur Mouloud Feraoun est en cours de préparation.
Ce colloque est : organisé par La Société Japonaise de Littérature Maghrébine,
co-organisé par La Section des Etudes Littéraires Contemporaines (Univ. de Tokyo),
avec collaboration de L’Association Coréenne de Littérature Maghrébine.
https://www.fabula.org/actualites/colloque-internationalla-litterature-algerienne-mais-pourquoi-tokyo_78728.php
国際シンポジウム報告 「アルジェリア文、しかしなぜ?」(日本マグレブ文学研究会主催)
石川清子(静岡文化芸術大学)
2017年3月25日、26日、日本マグレブ文学研究会主催で表題のとおり、アルジェリア文学に特化した国際シンポジウムを東京大学本郷キャンパスで開催した。国内のみならずアルジェリア、フランス、韓国からの発表者を迎え、3本の基調講演を軸に、フランス語アルジェリア現代文学の発表7本と映画上映を含む、充実した2日間を過ごした。プログラムは以下fabulaのサイトを参照されたい(https://www.fabula.org/actualites/colloque-internationalla-litterature-algerienne-mais-pourquoi-tokyo_78728.php)。
使用言語はフランス語で、講演は幅広いオーディエンスを想定して日本語通訳をつけた。第1日目は3名の韓国研究者の発表とアルジェリア女性をめぐる2つの講演。2日目は、アルジェリア、韓国、日本からの4名による発表とアルジェリア仏語文学の祖と呼ばれる作家、ムルド・フェラウンのご長男アリ・フェラウン氏による講演が行なわれた。昨秋の青柳悦子氏によるフェラウン『貧者の息子』翻訳刊行(水声社)に合わせた開催でもある。第1日目は、一昨年急逝したアルジェリアの代表的作家アシア・ジェバール関連の発表と講演があり、さらに現代アルジェリア女性を社会学的に考察する講演もあったので、この日は〈アルジェリア女性と文学、社会〉が自然と中心テーマになった。この日の二つの講演を軸にシンポジウムを紹介したい。
一人目の講演者は、アリ氏の妹さんで社会学者のファジア・フェラウン氏。ジェバールの次世代と言ってもよいだろう。現在はアルジェ大学の社会学の教授だが、博士論文指導教授は、かのピエール・ブルデュー先生。講演題「現代社会におけるアルジェリア女性−−−−変革の原動力」が示すとおり、大きく変化するアルジェリア女性の現在の諸相を、1970年代と較べつつデータ数値をあげて紹介してくれた。例えば、抑圧のしるしと解釈されるイスラーム式ヴェールをつける女子学生は増えているが、それが彼女らの精神的自立を妨げてはいないこと、かつては男性占有の職業(警官、自動車教習所教官、パイロット、官公庁首長など)に女性が進出し、女性単独での行動が一般化したこと、平均結婚年齢が上がり、出生率が70年代の8.1人から2.3人に激減したことなど、私たちが漠然と抱くイスラーム圏の女性像を修正し、今日のアルジェリア女性を具体的に提示してくれた。
次いで、作家ジェバールについて講演したのは、アシア・ジェバール友の会会長、アメル・シャウアティ氏。〈友の会〉cercle des amis はファンクラブのような訳語だが、アカデミックな研究の枠にとらわれない、より広い領域からこのアルジェリア作家を読んでいこうと2005年に氏が起ち上げた協会で、カフェでの読書会や映画上映、講演会などを行なってきた。今では数多く活躍するアルジェリア女性作家の草分けとしてジェバールを紹介し、植民地支配下のもとフランス語で教育を受け、それを武器に独立後のアルジェリアの諸問題、とりわけ男女隔離とその抑圧を主題とする作品ゆえ、必然的に政治的な文脈で読まれることを強調した。同時に、その作品構造はアルジェリア女性の伝統的手工芸に通じることも指摘した。また、ジェバール作品が本国アルジェリアで読めるようになったのは最近のことで、アルジェリアでのフランス語女性作家受容の現状紹介も興味深かった。シャウアティ氏は、学業のため1992年にアルジェからパリに来たとさらりと自己紹介したが、〈失われた10年〉と呼ばれる壮絶な内戦時にあたることも示唆したかったにちがいない。
フランス語圏文学でもマグレブ文学でもなく、アルジェリア文学に限定したマイナーなシンポジウムなので、聴きにきてくれる人はいるだろうかと心配したが、文学愛好者、アルジェリアに関わりをもつ方々が遠方からも参加くださり、会場は活発な議論の場となった。また、駐日アルジェリア大使がご臨席くださり、開会の辞を賜った。大使からはアルジェリア菓子とナツメヤシの盛り皿の差し入れを頂戴し、アルジェリアの美味がポーズカフェ時のおしゃべりを一層盛り上げた。
研究者による両日の発表はいずれも、この文学に深く関わった日々の研鑽が窺えるものであった。韓国からの発表者は学期中ゆえに短い滞在となったが、いずれも質の高い発表で、隣国では着実にアルジェリア及びマグレブ文学研究が定着していることが感じられた。小規模なシンポジウムであったが、発表者、聴衆とも同じ関心を共有することができた友愛の場であったと、振り返りながら思う次第である。
(日仏女性研究学会発行「情報ファイル126号」2017年6月号より)
Du 25 mars 2017 au 26 mars 2017
Université de Tokyo
Colloque international
La Littérature algérienne, mais pourquoi ?
organisé par la Société Japonaise de Littérature Maghrébine
à l’Université de Tokyo, Campus Hongô
bâtiment Hôbun 1 Salle 113 Hongô 7-3-1, Bunkyô-ku, Tokyo
le 25 mars 2017
13h00 Cérémonie d’Ouverture : Son Excellence Monsieur Mohamed El Amine Bencherif (Ambassadeur d’Algérie au Japon)
13h10 Session 1
1. KIM Jung Sook(Université Pai Chai): « Une approche textuelle de la Trilogie Algérie de Mohammed Dib »
2. JIN In Hea (Université Mokwon) : « Les éléments légendaires et mythiques de la littérature algérienne – le cas de L'Honneur de la tribu de Rachid Mimouni »
3. AHN Hwajin (School of humanities & social science KAIST) : « Assia Djebar et la Voix de la femme algérienne »
15h30 Conférence 1 *avec traduction
Fazia FERAOUN (Université d’Alger) : « Les Femmes algériennes dans la société contemporaine : le moteur du changement» présidée et présentée par Etsuko AOYAGI (Université de Tsukuba)
16h30 Conférence 2 *avec traduction
Amel Chaouati (Cercle des Amis d’Assia Djebar) : « Assia Djebar. Une œuvre unverselle » présidée et présentée par Kiyoko Ishikawa (Université des arts et de la culture de Shizuoka)
........
le 26 mars 2017
10h00 Session 2
1. CHUNG Ji Yong (Université Sungkyunkwan) : « De la littérature française à la littérature algérienne : un choix personnel ? »
2. Hirofumi IBARAGI(Université Nanzan) : « Djamila Debèche, une conscience lucide dans la contradiction coloniale »
3. Mohamed MAHIOUT (Université de Cergy-Pontoise) : « L'aube au-delà du giallo. Lecture du roman d'Amine Aït-Hadi »
4. LEE Song Yi (Université de Pusan) : « La Transécriture dans la littérature féminine en Algérie et en Corée - Écrire entre les frontières, écrire les frontières »
5. Ali CHIBANI (Collège Pablo Neruda) : « Le sujet des langues dans "Ameur des Arcades et l'ordre" de Mouloud Mammeri »
14h00 Conférence 3 *avec traduction
Ali Feraoun (Fondation Mouloud Feraoun): « Mouloud Feraoun, écrivain algérien, le fondateur de la littérature algérienne d’expression française » présidée et présentée par Etsuko Aoyagi (Université de Tsukuba)
15h30 Clôture
* La projection d’un film sur Mouloud Feraoun est en cours de préparation.
Ce colloque est : organisé par La Société Japonaise de Littérature Maghrébine,
co-organisé par La Section des Etudes Littéraires Contemporaines (Univ. de Tokyo),
avec collaboration de L’Association Coréenne de Littérature Maghrébine.
https://www.fabula.org/actualites/colloque-internationalla-litterature-algerienne-mais-pourquoi-tokyo_78728.php
国際シンポジウム報告 「アルジェリア文、しかしなぜ?」(日本マグレブ文学研究会主催)
石川清子(静岡文化芸術大学)
2017年3月25日、26日、日本マグレブ文学研究会主催で表題のとおり、アルジェリア文学に特化した国際シンポジウムを東京大学本郷キャンパスで開催した。国内のみならずアルジェリア、フランス、韓国からの発表者を迎え、3本の基調講演を軸に、フランス語アルジェリア現代文学の発表7本と映画上映を含む、充実した2日間を過ごした。プログラムは以下fabulaのサイトを参照されたい(https://www.fabula.org/actualites/colloque-internationalla-litterature-algerienne-mais-pourquoi-tokyo_78728.php)。
使用言語はフランス語で、講演は幅広いオーディエンスを想定して日本語通訳をつけた。第1日目は3名の韓国研究者の発表とアルジェリア女性をめぐる2つの講演。2日目は、アルジェリア、韓国、日本からの4名による発表とアルジェリア仏語文学の祖と呼ばれる作家、ムルド・フェラウンのご長男アリ・フェラウン氏による講演が行なわれた。昨秋の青柳悦子氏によるフェラウン『貧者の息子』翻訳刊行(水声社)に合わせた開催でもある。第1日目は、一昨年急逝したアルジェリアの代表的作家アシア・ジェバール関連の発表と講演があり、さらに現代アルジェリア女性を社会学的に考察する講演もあったので、この日は〈アルジェリア女性と文学、社会〉が自然と中心テーマになった。この日の二つの講演を軸にシンポジウムを紹介したい。
一人目の講演者は、アリ氏の妹さんで社会学者のファジア・フェラウン氏。ジェバールの次世代と言ってもよいだろう。現在はアルジェ大学の社会学の教授だが、博士論文指導教授は、かのピエール・ブルデュー先生。講演題「現代社会におけるアルジェリア女性−−−−変革の原動力」が示すとおり、大きく変化するアルジェリア女性の現在の諸相を、1970年代と較べつつデータ数値をあげて紹介してくれた。例えば、抑圧のしるしと解釈されるイスラーム式ヴェールをつける女子学生は増えているが、それが彼女らの精神的自立を妨げてはいないこと、かつては男性占有の職業(警官、自動車教習所教官、パイロット、官公庁首長など)に女性が進出し、女性単独での行動が一般化したこと、平均結婚年齢が上がり、出生率が70年代の8.1人から2.3人に激減したことなど、私たちが漠然と抱くイスラーム圏の女性像を修正し、今日のアルジェリア女性を具体的に提示してくれた。
次いで、作家ジェバールについて講演したのは、アシア・ジェバール友の会会長、アメル・シャウアティ氏。〈友の会〉cercle des amis はファンクラブのような訳語だが、アカデミックな研究の枠にとらわれない、より広い領域からこのアルジェリア作家を読んでいこうと2005年に氏が起ち上げた協会で、カフェでの読書会や映画上映、講演会などを行なってきた。今では数多く活躍するアルジェリア女性作家の草分けとしてジェバールを紹介し、植民地支配下のもとフランス語で教育を受け、それを武器に独立後のアルジェリアの諸問題、とりわけ男女隔離とその抑圧を主題とする作品ゆえ、必然的に政治的な文脈で読まれることを強調した。同時に、その作品構造はアルジェリア女性の伝統的手工芸に通じることも指摘した。また、ジェバール作品が本国アルジェリアで読めるようになったのは最近のことで、アルジェリアでのフランス語女性作家受容の現状紹介も興味深かった。シャウアティ氏は、学業のため1992年にアルジェからパリに来たとさらりと自己紹介したが、〈失われた10年〉と呼ばれる壮絶な内戦時にあたることも示唆したかったにちがいない。
フランス語圏文学でもマグレブ文学でもなく、アルジェリア文学に限定したマイナーなシンポジウムなので、聴きにきてくれる人はいるだろうかと心配したが、文学愛好者、アルジェリアに関わりをもつ方々が遠方からも参加くださり、会場は活発な議論の場となった。また、駐日アルジェリア大使がご臨席くださり、開会の辞を賜った。大使からはアルジェリア菓子とナツメヤシの盛り皿の差し入れを頂戴し、アルジェリアの美味がポーズカフェ時のおしゃべりを一層盛り上げた。
研究者による両日の発表はいずれも、この文学に深く関わった日々の研鑽が窺えるものであった。韓国からの発表者は学期中ゆえに短い滞在となったが、いずれも質の高い発表で、隣国では着実にアルジェリア及びマグレブ文学研究が定着していることが感じられた。小規模なシンポジウムであったが、発表者、聴衆とも同じ関心を共有することができた友愛の場であったと、振り返りながら思う次第である。
(日仏女性研究学会発行「情報ファイル126号」2017年6月号より)