子育てのハードルの一つ、「イヤイヤ期」。
これは小児医療の現場でもよく話題になります。
処方された薬を飲んでくれない。
とくに、漢方薬は、乳児期はなんとかお母さんの努力で飲ませられたけど、
1〜2歳になると、一旦飲めなくなるお子さんが多いのです。
どう対処して乗り切るべきか?
以前読んだ育児書では、これは!?と肯ける解説に出会えませんでした。
例えばこんな感じ;
「自我の芽生えにより自身の欲求を認識したり、感情のコントロールや気持ちの切り替え方を学んだり、自立への第一歩が始まる大切な時期」
「イヤイヤは、脳の機能、特に前頭前野の衝動抑制の部分が未発達なことが原因だと言われている。相手の立場に立ったり、客観的に周りを見ることは2〜3歳の子どもにはまだ難しく、自我や欲求との折り合いがつきにくい。そのため、反抗して癇癪を起こしたり、イヤイヤ行動を起こすのだ。成長により脳の機能と言語能力が発達し、行動ではなく言葉で気持ちを伝えられるようになってくれば、次第に収束して行くことが多い。」
「イヤイヤ期がおこるメカニズムは脳にある前頭前野が未発達であることに起因しているため、脳の成長とともに必ず終わりがくる」
・・・まあ、そうなんでしょうけど、じゃあどうすればいいの?
って感じになります。
ところが先日見ていたテレビ番組「すくすく子育て」で、目から鱗の落ちる解説に出会えました。
発達心理学が専門の遠藤利彦先生の言葉です;
「子どもが「イヤ!」と言い続けるのは、「これは違う」という気持ちがあるからです。そうやって、「イヤ」を繰り返すうちに、自分が好きなもの、自分がしたいことが少しずつわかりはじめます。イヤイヤ期は、このように自分を探していく時期だと考えてみましょう。」
「イヤイヤ期の子どもは、心の成長にともない、いろいろなことがわかりはじめます。すると、「あれもやりたい、これもよさそう」という思いがふくらんでいきます。でも、その気持ちは漠然としたもので、まだ“やりたいこと”を具体的に主張することはできないのです。一方で、「これはやりたいことと違う」についてはわかるので「イヤ」と言ってしまいます。
「違うこと」はわかるけど、はっきり「したいこと」が言えない。子どもの中ではフラストレーションがたまってしまい、子ども自身も困っているのです。親を困らせたくて「イヤ」と言っているわけではありません。
自分についての理解の水準が高まっていく時期でもあります。自分がどんな存在で、何が好きなのかわかっていくのです。“自分探し”が急速に進む、大事な時期だと考えてください。」
「違うこと」はわかるけど、はっきり「したいこと」が言えない。子どもの中ではフラストレーションがたまってしまい、子ども自身も困っているのです。親を困らせたくて「イヤ」と言っているわけではありません。
自分についての理解の水準が高まっていく時期でもあります。自分がどんな存在で、何が好きなのかわかっていくのです。“自分探し”が急速に進む、大事な時期だと考えてください。」
下線部の「「違うこと」はわかるけど、はっきり「したいこと」が言えない」がポイントですね。
アレもイヤ、コレもイヤ・・・でお母さんは「じゃあどうしたいの?」と結論を求めがちですが、
実は本人にもわかっていないのですね。
それを知っているといないのとでは、受け止める側の気持ちが違うと思います。
「<イヤイヤ期と子どもの自分探し>
子どもはどのように“自分探し”をするのか、自分探しとイヤイヤ期がどう関わっているのか、子どもの成長にそってみていきましょう。
・1歳ごろまで
まだイヤイヤをしない時期。赤ちゃんは鏡に映った自分を見ても、それが自分だと認識していません。自分の姿や特徴がまだよくわかっていない状態です。
・1歳半~2歳ごろ
自分の特徴や性別を認識しはじめます。鏡やカメラに映った自分の姿を見て「自分」だとわかるようになります。「自分」がわかるようになると、「自分以外の人」もはっきり認識するようになります。そのために、自分以外の人に対して「恥ずかしい」という感情や、友達と自分を比較して「うらやましい」という感情などを抱くようになります。
このように、自分と他者との区別がはっきりしてくるころに、イヤイヤ期が現れます。人が提案してくることは、例えそれが親であったとしても、「自分がやりたいこととは違う」と感じるようになるからです。「違う」という意思ははっきりしているのに、「これが好き」という好みが確立していないので、「イヤ」としか主張できないのです。
子どもはこのような経験を積み重ねることで、自分の好みや心地よい状態などを発見していきます。
このように、自分と他者との区別がはっきりしてくるころに、イヤイヤ期が現れます。人が提案してくることは、例えそれが親であったとしても、「自分がやりたいこととは違う」と感じるようになるからです。「違う」という意思ははっきりしているのに、「これが好き」という好みが確立していないので、「イヤ」としか主張できないのです。
子どもはこのような経験を積み重ねることで、自分の好みや心地よい状態などを発見していきます。
・2歳半~3歳ごろ
さらに“自分探し”が発展していく時期です。「人からどう見られているのか」を意識しはじめます。例えば、「○○ちゃん、すごいね」など、人からの評価に気づくような機会をもつことで、自分探しが進んでいきます。
また、自分の行動に対する、相手の反応も意識するようになります。例えば、友達のおもちゃを取ってしまったとき、相手の反応を見て「悪いことをしてしまった」と罪悪感などの複雑な感情を抱くようになります。
このような経験が、人の気持ちへの理解につながります。“他の人への思いやり”などの大人に近い感情が持てるようになると、やがてイヤイヤ期も落ち着いていきます。」
また、自分の行動に対する、相手の反応も意識するようになります。例えば、友達のおもちゃを取ってしまったとき、相手の反応を見て「悪いことをしてしまった」と罪悪感などの複雑な感情を抱くようになります。
このような経験が、人の気持ちへの理解につながります。“他の人への思いやり”などの大人に近い感情が持てるようになると、やがてイヤイヤ期も落ち着いていきます。」
・・・つまり、自分が望んでいることと何となく違うけど、かといって自分が何を望んでいるのかまだよくわからないから「イヤ」という表現しかできないと言うことなんですね。
その解決法として、「子どもの気持ちを言語化してあげる」地道で粘り強い作業がこの時期の肝、という。
同番組から、井桁容子さん(保育士)の言葉;
「親が子どもの気持ちを察するあまり、何でも取ってあげる「子どもの手の代わり」になってはいけません。何かをしてあげるときは、「“ボール”が欲しかったのね」のように子どもが求めていたことを言葉にしてあげることが大切です。言葉にすることで、子どもは「自分の要求を受け止めてもらえた」と確認できるので、気持ちが落ち着いていきます。また、「自分はこうしたかったんだ」という“自分探し”への手助けにもなります。
こうしたやりとりを重ねていくことで、子どもも「自分の思いを言葉にしよう」としていきます。イヤイヤの対応を“意思疎通の練習”と考えるのもいいですね。」
こうしたやりとりを重ねていくことで、子どもも「自分の思いを言葉にしよう」としていきます。イヤイヤの対応を“意思疎通の練習”と考えるのもいいですね。」
「子どもに理想の対応をしようとし過ぎる必要はありません。子どものイヤイヤの気持ちに、親が一緒になって揺れてあげることも大事なことです。例えば、子どもと一緒に泣いてもいいと思います。「一緒に泣いたらスッキリしたね」といったことがあっていいのです。子どもが「自分と同じだ」と感じて、「泣かなくてもいいよ」と言ってくれるかもしれませんよ。」
なるほど、なるほど。
いや〜、専門家ってすごい!